http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013051202000122.html
効果薄い? 子宮頸がんの予防ワクチン 2013年5月12日 東京新聞
先月から定期接種化された子宮頸(けい)がんの予防ワクチンについて「効果が薄いのでは」との声が上がっている。子宮頸がんは「唯一、予防できるがん」といわれ急速にワクチンの導入が進んだ一方、重篤な副作用とみられる報告も相次いでいる。メリット(予防効果)とデメリット(副作用)のバランスを検証し直す必要はないのか。 (上田千秋)
子宮頸がんワクチン「副反応」 朝日新聞 2013年5月2日◆市民ら対象、勉強会 あす杉並で
子宮頸(けい)がん予防をうたったワクチン接種がきっかけで、各地の女子中高生に痛みやまひなどの深刻な症状が起きている問題で、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」は28日、市民や議員を対象にした「子宮頸がんワクチン緊急勉強会」を杉並区で開く。
問題のワクチンは「サーバリックス」「ガーダシル」の2種。今月から小6〜高1の女子に接種が「努力義務」となった。
だが3月、同区内の女子中学生に接種後重い症例が出たことが判明すると、各地で問題が顕在化。父母らで作られた「被害者連絡会」には、300人余の被害相談が寄せられた。
厚労省はこうした症状を、因果関係はわからないものの接種を引き金に生じた「副反応」と位置づけ、病院や製薬メーカーに報告を求めている。
昨年12月末現在で両ワクチンは829万本販売され、副反応報告は1926人。うち「重篤」とされる報告は計861人だ。厚労省が「実質は軽度」とみている約半数の「失神や失神寸前」を除いても、100万本当たり52人に「脱力」「歩けない」「まひ」などの重い副反応が出た計算だ。これはインフルエンザワクチンの重い副反応の20倍以上。1人3本接種のため、リスクはさらに高い。
厚労省は、サーバリックスの「重篤」報告に筋力低下や感覚まひなどが出る神経疾患「ギランバレー症候群」や「急性散在性脳脊髄(せきずい)炎」が12件あった点を重視。3月の副反応検討会では、医師や接種者に注意を促すワクチンの添付書類に、新たにこの二つを「副反応」として加筆するようメーカー側に指示した。
だが、この問題に詳しい宮城県の佐藤荘太郎・内科医は「重い副反応を訴える1人1人の症例を詳細にみると、神経疾患や自己免疫の異常を思わせる症状はもっと多く、もっと絡み合って出ている」と警告する。
28日の勉強会では、症例の共通点などを紹介。民間の薬害監視団体「薬害オンブズパースン会議」の隈本邦彦・江戸川大学教授が、このワクチンの費用対効果や諸外国の研究などを解説する。接種の実務を担う地方自治体の議員に向けても「自治体のチェックポイント」「議会質疑に使えるデータ」などを紹介する。
「あんさんぶる荻窪」(荻窪5丁目)4階で、午前10時〜午後5時。市民は無料。議員は23区内が3千円、区外・都外が2千円。問い合わせは連絡会(042・594・1337)へ。(斎藤智子)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013051102000117.html
子宮頸がんワクチン 副作用、実態調べて 被害者連絡会 2013年5月11日 東京新聞
子宮頸(けい)がん予防ワクチンの接種をきっかけに、深刻な「副作用」を訴える女子中高生が各地で相次いでいる問題。被害者の親らでつくる民間団体のメンバーが十日、全国の小中高や大学などの被害実態を調査するよう、下村博文文部科学相に要望書を提出した。保護者らを動かすのは「学校現場に被害の実態を知ってもらい、被害に苦しむ人たちの役に立ちたい」という切実な願いだ。 (加藤文)
要望したのは、被害者の親や議員らでつくる「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」。要望書では、小中学校や高校、専門学校、大学などを長期欠席している女子生徒らが、直前にワクチンを接種していなかったかの確認のほか、被害に苦しむ実態を学校に周知してほしいと訴えた。連絡会によると、下村文科相からは調査に前向きな回答があったという。
厚生労働省によると、国内では二〇一一年に子宮頸がんで二千七百三十七人が死亡した。〇九年に承認された予防ワクチンは、昨年十二月末までに推計で三百四十二万人が接種。病院などから痛みやけいれんが起きた事例の報告は因果関係が明らかでないものを含め千九百二十六人で、うち「重篤」とみられる報告は死亡した一人を含め、計八百六十一人に上った。連絡会は三月二十五日に発足。これまでに被害を訴える相談は三百件を超えた。今後も相談を受け付ける。問い合わせは連絡会=電042(594)1337=へ。
◆苦しむ娘 無念の両親「娘のためとはいえ、取り返しのつかないことをしてしまった。ワクチン接種以外、原因は考えられない」。今も深刻な副作用に苦しむ福島県の高校二年の長女(16)の両親は下村文科相と面会後、東京・霞が関の文科省記者クラブで記者会見し、無念の気持ちを率直に語った。
両親によると、スポーツ万能だった長女が子宮頸がんワクチンを初めて接種したのは、中学三年だった二〇一一年八月。翌月の二回目の接種後、手首やふくらはぎなどの痛みを訴え始めた。一二年四月の三回目の接種後には、症状がさらに悪化。四〇度を超す高熱が続き、約二カ月入院した。
血液検査で、全身に痛みを伴う免疫疾患の難病「全身性エリテマトーデス」と診断された。医師には入院治療を続けるよう言われたが、苦労して入った希望の高校だったため、長女は退院し復学。今もステロイド剤などを毎日飲んで症状を抑え、何とか高校に通っているという。
父親(42)は「何回も娘の体調を説明して理解を求めたが、高校からは、このままでは出席日数が足りず留年になるとしか言われず、特に配慮してもらえなかった」と振り返る。
ワクチン接種と長女の病気との因果関係についても、医師からは何の説明も受けていないという。
母親(41)は、四月からワクチンが定期接種になったことに触れ「娘と同じような被害が拡大するのでは」と心配する。「これ以上、娘のような被害者を出したくない」と気丈に語った。
<子宮頸がんワクチン> 子宮の入り口にできるがんで、性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)によって発症するとされる。国内で使用されている子宮頸がんワクチンは、2009年に承認された「サーバリックス」と「ガーダシル」の2種類。予防接種法の一部改正で今年4月、小学6年〜高校1年の女子に対する予防接種が原則無料で受けられる定期接種になった。