『中国の癌村』 ※翻訳は当ブログ読者の方によるものです。ありがとうございます。
中国の癌村は、「忘れ去られた片隅」と呼ばれている。中国共産党が改革開放を高らかにうたった30年の発展の一方で、農村は廃棄物とゴミが堆積される場となった。淮河をはじめとする多くの深刻な汚染のある河川が、沿岸に住む農民たちに奇形、中風(半身不随)、知的障害、各種癌などの異常な症状を集中的に引き起こしており、農民たちの生命を残酷に脅かしてる。ある統計によると、全国の農村の少なくとも3億人が安全な水を得ることが困難であり、癌がまるで疫病のように絶え間なく広がっているとのことである。
科学的廃棄物が黄河の浅瀬に打ち上げられている。
工場と村は一枚の壁で隔てられているにすぎない。
村人にはこの状況に既に慣れてしまっている。
工場の廃棄物が河川に流れ込んでいる。
広東省―湖の中には固形の廃棄物が散在している。
住民は顔を抑え有毒なガスをさけている。
下水道は、黄河の廃棄物を押し流している。
大量の工場と汚染処理工場が長江の岸辺にある。
ここは内モンゴルの石炭火力発電所。
汚染された工業用地は長江にある。
内モンゴルの工業地区から出た液体廃棄物は黄河に流れ込む。
工場から毎日大量の化学物質の含まれた排水が長江に流れ込んでいる。
河北省,冶金工場の汚染は深刻で現地の住民の健康に害を及ぼしている。
当該工場の敷地は絶え間なく拡大している。
100を超える化学工場が江蘇省の沿海地区に存在している。
工場の排水の一部が直接海に廃棄されている。
工業廃水が長江に直接流れ込む。
山西省―中国で最も環境が劣悪とされる場所の一つ。
山西省は先天性の奇形を持つ子供が中国で最も多い。
この写真の農家では17人の障害のある子供を引き取って育てている。
黄河付近の悪臭に羊飼いは鼻を覆う。
甘粛省の15歳の少年、2年生で学校を退学し黒竜江省へ出稼ぎにやってきた。
不衛生な環境で働く彼の収入は一日16元($2.2)。
内モンゴルの工業地区は鉱山(石炭)労働から帰ってきた農民。
多くは没落した地域からの移民で、過剰に塵埃を吸うことによって1〜2年以内に病気になる。
汚染水が原因で64歳の汪包嵊は2003年から癌を患っている。
体の傷口の痛みで横になって眠ることができず、座ったまま眠らなければならない。
45歳の孫暁軍もまた被害者だ。彼女は手も足も動かすことができない。治療も意味がない。
66歳の趙昆は末期の食道癌だ。妻は癌で亡くなった。彼は今も貧困の中にある。
綿花畑で数時間仕事をした後、農民は鉱山労働者となる。
汚染地区の子ども。
健康を損なった賠償を求め、被害者たちは自らの血をもって署名した。
雲南省の農村では、毎年癌によって20人が死亡している。
11歳の徐力は骨癌を患っている。
河北省の村では50数名が癌を患っている。
4歳の少女と祖父が少女の母の墓に墓参りにやってきた。彼女の母は胃癌で亡くなった。
中国癌症村について動画検索していて見つけたものですが、上の画像、あどけなさの残る15歳の少年が鉱山で働かされています。この画像を見て2重の意味で本当に辛くなりました。この鉱物はなんでしょうか?白っぽい岩石なので石灰岩かな?と思いましたが、何かわかりません。マスクもつけずに真っ白になって粉塵をかぶって働いています。この少年が相当粉塵を吸い込んでしまっていると思うとたまりません。小さいハンマーを持っています。ゴーグルをしていますので石を割る作業なのでしょう。破片が飛んで目に入る危険性もあるということです。
児童労働の問題と、鉱山などにおける健康被害の問題。貧困や差別の問題もあると思います。
粉塵自体が健康を害す元であることは、当ブログでは繰り返し記事にしてきました。動画の解説の中にはどこの鉱山で何の鉱山かは書かれてなかったのですが、もしかしてアスベスト鉱山ではないかと思って調べてみました。
労災被災者の権利のためのアジア・ネットワーク
サンジ・パンディタ
The Asian Network for the Rights of Occupational
Accident Victims (ANROAV)
http://worldasbestosreport.org/banjan07/grassroots.pdf より
アジアからのアスベストはインド・中国産がほとんどということがわかりました。船舶の解体時に出るアスベストの問題は初めて知りました。結局、リサイクル時や産廃の問題・・・原発、がれきやクリアランス問題と似てますね。
中国のアスベスト利用状況の検討 (長崎大学工学部研究報告 第37巻 第68号 平成19年1月)http://www.lb.nagasaki-u.ac.jp/reports/kougaku/pdf/37_68_08.pdf より
(1)中国では、アスベストの発現と利用歴史が早い。中国は早い時期にアスベストを発現し、人類の生産活動に利用した。その歴史は2500年以上である。
(2)中国のアスベスト資源が豊富である。今の年産量は世界3位になる。その中、温石綿が大部に占める。
(3)中国のアスベストの利用が広い。アスベストのいろいろな特性があるため、中国のアスベスト利用が幅広いである。今なおアスベスト製品は3000種類以上がある
(4)中国のアスベスト被害がひどい状況になっている。アスベストが広い範囲で利用されているため、被害がひどいと考えられる。統計のデータより、もっと多い被害者がいたあるいは出ていると考えられる。
(5)中国のアスベストの被害意識がまた浅い。現在、中国は青石綿の利用だけ禁止しているが、温石綿が生産活動中に非常に幅広く利用されているため、その利用があまり禁止されていない。
角閃石石綿を原料としての石綿スレートなど建築材料を使用禁止する。2001年に角閃石石綿(青石綿)の製品を淘汰する。
インドのアスベスト鉱山の実態はこちら⇒http://www.ide.go.jp/Japanese/Serial/Photoessay/201105.html
http://d-arch.ide.go.jp/idedp/ZWT/ZWT201105_011.pdf
アスベスト対策情報 http://park3.wakwak.com/~banjan/index.html
日本石綿協会 http://www.jati.or.jp/
いろいろ検索してみると、「石綿ムラ」が存在することに気づきます。ひと握りの人の富のためにたくさんの弱者が犠牲になっているしくみは、原発ムラと全く同じ。
私たちが住んでる家や、公共の建物、職場、自動車、船舶などに石綿が使用されています。自宅で使っていなくても「自分に関係ない」ということはありません。施工業者、現場作業者だけが吸入の危険が大きいのだからと、目を伏せますか?それとも、「管理されていれば大丈夫」というバイアスでいきますか?
4/13淡路島震度6の地震が起きました。 巨大地震が起き、家屋が倒壊すれば大量のアスベストが飛散します。津波で沿岸部工場が流されても、スレートなどのがれきに含まれるアスベストが飛散します。被災者になれば、現場作業者でなくても鉱山労働者でなくても吸い込む危険は十分にあります。
日本では2006年に禁止になりましたが、それまでにたくさんの労働者が犠牲になりました。今でも呼吸器などの病気で苦しんでいる人がたくさんいます。↓
石の綿―マンガで読むアスベスト問題 神戸大学人文学研究科倫理創成プロジェクト,京都精華大学機能マンガ研究プロジェクト,松田 毅 かもがわ出版上の画像の15歳の少年が働いているのが、結局何の鉱山かはわかりませんでしたが、このような状況を許している今の世の中の仕組みそのものに疑問を感じます。