ほとんどまともに報道されていませんが、環境省が、放射性物質の管理・規制する権限を自治体から環境省に一本化する
「環境法改正案」が衆議院を通過しました。
これまでの法体系では、放射性物質+その汚染物質は、
1)原子力発電所
2)医療機関
3)原子力研究機関内で
取り扱われるはずのものでしたが、福島第一原発事故によってこれらの前提が吹っ飛んだため、
一般環境中に放出中の放射性物質が、2次汚染をもたらさないように監視・監督・規制しなければならなくなり、その法体系整備が急がれていました。
これが成立すると、今まで自治体レベルで放射性物質を規制したり管理したりしていたのが、全て環境省の権限になるため、できなくなります。
例えば震災瓦礫の受け入れについて、それぞれの自治体は自分で判断し、受け入れたところも受け入れない判断をしたところもありました。
(例えば:徳島県などは、焼却に伴い発生する有害物質の安全性に懸念があるとして瓦礫は受け入れませんでした。奈良県では住民が自治体事務所に抗議の電話を沢山した結果、瓦礫受け入れを断念しました。
このように、都道府県に権限があれば住民の声はまだ届くチャンネルがあります。
環境省に国民が声をいくら届けても現実的に変えさせるのは難しい、でも放射性物質についてはまだ地域主権が残っているのです)
、、、がっ!!!!
今回環境省は、何故か
「放射性物質についてのみ」自治体ではなく環境省に権限を移す!と言う法改正。
1)現行の大気汚染防止法
第4章22条:
*都道府県知事は、大気の汚染状況を常時監視しなければならない。
*都道府県知事は、前項の常時監視の結果を環境大臣に報告しなければならない。
第24条 都道府県知事は、自分の区域の大気の汚染状況を公表しなければならない。
2)今回「改正」される個所
*第22条第1項中の「大気の汚染」→「放射性物質によるものを除く」
*「都道府県知事は」→「環境省令で定めるところにより」を追加
* 環境大臣は、環境省令で定めるところにより、
放射性物質(環境省令で定めるもののみ)による大気の汚染状況を常時監視しなければならない。
*「都道府県知事は」→「 環境大臣は」、
環境省令で定める放射性物質による大気の汚染状況を公表しなければならない。
☆放射性物質の規制、管理、監視する権限を
地域主権から 「広域瓦礫処理」を推進する環境省に 任せる事について。
☆都道府県に放射性物質管理や規制の権限がなくなったら?
☆何故こんなに重要な法改正が国民に知らされないのか?
* アメリカでもそうでしたが、 国民の知らない間にしれっと通過する法案は要注意です!
*日米を取材していてつくづく実感する事、それは、本当に怖いのは、政治家や官僚の暴言、ではなく
「法改正」!!!
(秋に提出されるあの法案もしかり、、)
国民には知る権利があります。「権力の監視役」が機能していないなら、こうやってネットや口コミで広げるしかありません。
(でも結構EUやアメリカを見てるとこのやり方もあなどれませんよ! )
共感する方は、拡散をお願いします。
(この問題はゴミ問題を考える第一人者である環境ジャーナリストの青木泰氏、池田こみちさんが詳しいです。この法律の詳細について、市民を集めて説明会などもされています。私も以前何度かインタビューさせて頂いています)
(管理人)放射能大気汚染によって、二次被曝させられるシステムがどんどん作られていきます。しかもメディアが取り上げないのでネットで日々情報を追いかける脱原発市民しか情報共有できないっていうのも歯がゆいです。どんなに原発反対しても、ネット環境になければ知りようがない。おそろしいことです。 市民運動しても市民の声がますます届きにくくされていきます。
環境ジャーナリスト青木泰さんからのメールを転載します。これは6/11分です。
皆様へ 拡散お願いします。
環境省が、放射性物質の管理・規制を環境省に集約し、放射能汚染規制を実質放棄する画策を行おうとしています。
心当たりの参議院議員にお伝えください。すでに衆議院では法案が通りました。参議院で改訂法案をストップしましょう!
これまでの法体系では、放射性物質、及びその汚染物質は、大きくは3つの施設(原子力発電所、医療機関、原子力研究機関)内で取り扱われるとし、一般環境中では、取り扱われることがないという建前の下に、環境基本法をはじめ、環境6法では、放射性物質及び、その汚染物質は、適用除外してきました。そうした中で、福一の事故が起き一般環境中に放射性物質は、放出され汚染をもたらしました。
これまでの法体系が破綻した点について、国の責任、事故責任者への処罰、そして法令上の穴について、どのように対処するかが、大きな課題ですが、その一方で一般環境中に放出された放射性物質が、取り扱いによっては、2次汚染をもたらさないように監視・監督・規制する必要があり、そのような法体系の整備が急がれていました。
ところが、今回入手した情報では、環境省は、従来有害物の監視・規制について都道府県知事に権限があったものを、放射性物質については環境省にあると言う法改正を行おうとしています。
以下入手した情報を整理しました。いま全体像については、326事務局で整理しています。又メディアへの対応、国会議員の質問など準備中です。ご注目ください。又ストップするための独自の取り組みのぜひお願いします。
(今日は、流用化問題で、会計検査院に行き、2時半から衆議院会館で記者会見です。)
環境法 法改正の裏面 青木メモ
1)現行法ー大気汚染防止法の内容
第四章 大気の汚染の状況の監視等
(常時監視)
第二十二条 都道府県知事は、大気の汚染の状況を常時監視しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の常時監視の結果を環境大臣に報告しなければならない。
(緊急時の措置)
(公表)
第二十四条 都道府県知事は、当該都道府県の区域に係る大気の汚染の状況を公表しなければならない。
2)今回の「改訂」=改悪
第二十二条第一項中「大気の汚染」を「環境省令で定めるところにより、大気の汚染(放射性物質によるものを除く。第二十四条第一項において同じ。)」に改め、同条第二項中「都道府県知事は」の下に「、環境省令で定めるところにより」を加え、同条に次の一項を加える。
3環境大臣は、環境省令で定めるところにより、放射性物質(環境省令で定めるものに限る。第二十四条第二項において同じ。)による大気の汚染の状況を常時監視しなければならない。
第二十四条中「都道府県知事は」の下に「、環境省令で定めるところにより」を加え、同条に次の一項を加える。
2環境大臣は、環境省令で定めるところにより、放射性物質による大気の汚染の状況を公表しなければならない。
3)解説
常時監視とその結果の公表の役割は、これまでの法令では、都道府県知事となっていたのを、都道府県知事が監視し、公表する「大気汚染」については、大気の汚染(放射性物質によるものを除く。第二十四条第一項において同じ。)」とし、放射性物質を除外する改訂法令にしています。
その上で、監視の役割を環境省が取り上げています。
つまり、大気汚染の監視は、これまで都道府県知事の任務であったものを、環境省が取り上げる改訂が、今回の狙いといえます。
大気汚染にしろ水質汚濁の防止にせよ、日本の環境行政が少なくとも、今日の環境規制を実現できたのは、都道府県が環境規制の権限を持ってきたからであり、これをがれき処理や除染の大規模事業を進める環境省が、権限を持つことは放射性物質と、放射能汚染物質については何もしないを宣言したことになります。
これは地方分権の流れにも反し、今後環境省令で定められる放射性物質の規制内容と合わせて考えても、大問題です。
326政府交渉ネット http://gareki326.jimdo.com/ より
「放射性物質による環境の汚染の防止に関する環境法令」の 改悪に反対する決議への賛同(個人・団体・グループ)の呼び掛け〜「第183回国会閉会日に当たっての宣言」〜
「放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案」(閣法第62号)が、第183回国会本会議で可決成立しました。
この法案は、1970年のいわゆる「公害国会」で成立した環境法令の制定の歴史や、今回の改正の契機となった福島第一原発事故による放射性物質の放出によってもたらされた極めて深刻な環境の汚染と将来に続く人類への健康への影響の大きさを考えると、決して看過することのできない問題点を有した法改正であると言わざるをえません。
まず第一に、これまで放射性物質を扱ってきた原子力発電所をはじめ核燃料再処理設備等の各種原子力関連施設は、環境中に放射性物質が放出されて環境の汚染をもたらすことは起こり得ないとの前提理由から、環境基本法をはじめ、水質汚濁防止法や大気汚染防止法など12の環境関連法では、「放射性物質及びその汚染物」は適用除外扱いとされてきました。これらの原子力関連施設における放射性物質の取り扱いについては、原子力基本法をはじめ、原子炉等規制法及び放射線障害防止法等の原子力関連法令に委ねられてきました。
ところが、2011年3月11日の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故によって、放射性物質及びその汚染物は一般環境中に大放出され、大気や水質、土壌、森林、農地など国土を形成するあらゆる環境の汚染をもたらしました。この時点で、すべての関連する環境法令の改正を行って、「放射性物質及びその汚染物」に対する環境規制措置を講じる必要があったにもかかわらず、政府は2011年8月末に議員立法によって「放射性物質汚染対処特別措置法」が制定されたことを受けて、今後環境法体系の下で、放射性物質による環境の汚染の防止のための措置を行うことができるようにするため、昨年の第180回国会において成立した「原子力規制委員会設置法」の附則により、環境基本法第13条の適用除外規定を削除しました。
しかし、環境関連法の憲法ともいうべき「環境基本法」の重要条項を改正するに際して、政府は本来であれば、中央環境審議会に諮問を行い、その答申を受けた後に、地方自治体をはじめ国民へのパブリックコメント等の手続を経たうえで改正すべきところを、その手続きをいっさい行うことなく、しかも「原子力規制委員会設置法」の附則により改正を行うに至ったことは、これまでの環境立法上から鑑みても、許容されることではありません。
さらに、環境基本法の改正を踏まえて、政府は直ちに個別環境関連法令の整備に着手すべきところをその手続を怠り、個別環境関連法の改正手続が行われたのは、この4月19日、閣議において「放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案」が安倍内閣により閣議決定され、地方自治体への事前説明や国民に対するパブリックコメント等の機会もなく、閣議決定当日に国会に上程されました。
環境委員会には平成25年5月21日 第11号(全2件) 「大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号) 」と「放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六二号) 」として、抱き合わせで提出されたところが、ひとつのポイントです。
5月28日衆議院本会議では、ほとんど質疑されることなく全会一致で可決されました。6月13日参議院環境委員会では、今回の法改正の問題点を質問する議員に石原環境大臣は真正面から答弁することなく、すべて官僚に答えさせると言う場面が続きました。結果ひとりの議員を除き賛成多数で可決されてしまっています。6月17日 に可決成立しました。
しかし、今回の国会で提案された改正法律案は、環境関連12法のうちの大気汚染防止法、水質汚濁防止法、環境影響評価法及び南極地域の環境の保護に関する法律の4つの法律案のみです。
政府は大震災発生の一昨年3月11日以来、放射性物質汚染対処特別措置法及び災害廃棄物処理特別措置法に基づいて、災害廃棄物の広域処理事業や8000ベクレル/kgを超える指定廃棄物や除染土の処理処分事業について、多額の経費を投じて行ってきています。しかし、環境法令の一つでもある廃棄物処理法に関して、放射線特措法では、廃棄物の定義において、「放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。」との適用除外規定を削除しましたが、廃棄物処理法自体は、この適用除外規定が今も設けられたままになっています。そのため、廃棄物処理法のなかでの放射性部室の指定やそれに対する汚染対処策等の規定がなく、放置されています。そしてこの間、廃棄物処理法や大気汚染防止法及び水質汚濁防止法に定めのないまま、放射性物質を含んだ災害廃棄物や汚染された稲わら、下水汚泥などが焼却処理されたり、埋立処分等がされることによって、汚染の広域拡散、環境汚染の拡大をもたらしてきました。いかに水面下で違法な処理が行われてきているかは、除染事業等に従事している労働者が、除染した樹木等を通常の市町村の一般廃棄物を焼却している清掃工場等に持ち込んで焼却処理が行われていることを内部告発で訴えていることからも明らかであり、しかも、これは氷山の一角ではないかと思われます。
政府は、今国会での提案趣旨に関する説明の中で、今回の4つの法律以外の個別環境法の改正については、現行の放射性物質汚染対処特別措置法の附則に、施行3年後の施行状況についての検討や関係法律の見直しを含めた規定が盛り込まれていることを理由に、廃棄物処理法や土壌汚染対策法などの改正を先送りとしています。
また、今回の大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の改正についても、放射性物質を取り扱うすべての施設や事業に対する全面的な法規制措置の適用並びに地方自治体の権限の強化等についてはまったく改正の対象外としており、今回の改正で盛り込まれる新たな規定は、大気及び水質の常時監視とその公表を環境大臣の専管事項として定め、これまで汚染物質に対する規制や監視等の一切の権限を有してきた都道府県及び政令市等の権限を、放射性物質に関しては環境大臣の権限に集中する結果にしていることは、極めて由々しきことと言わざるを得ません。
しかも、常時監視の対象としている放射性物質の種類は、セシウム134、セシウム137及びストロンチウム90の3種類のみに限定していることは、到底容認できることではありません。
このような法改「悪」ともいうべき法改正案が、衆参両議院を通じてほぼ全会一致で通過させてしまったことを、運動を進める上で大きな反省点と捉えています。
私たちは、今回の原発事故による放射性物質の放出による環境汚染の事態の進行を深く憂慮し、今回の法案が多くの国民が議論する反省材料として、従前から取り組んできたダイオキシン類や水銀などの環境汚染物質に加えて、これまで環境法の対象外とされてきた放射性物質もあらたに規制対象物質に加えたうえで、今まで以上に放射性物質を含むすべての有害化学物質の予防原則の徹底と、「汚染なき社会」の形成に向けて、全力で取り組んでいくことをここに宣言したいと思います。
2013年6月26日