北九州市震災がれき焼却後に、寄せられた周辺自治体の人たちの体調変化の記録、資料、陳情書を、2013年7/11に、北九の子供を守るネットワーク代表と北川医師が北九州市役所に提出されました。その後の記者会見は、当番の共同通信一社(新聞をもっていない)しか来なかったそうです。
上の3本の動画を見ると、北九州市の市民の声や実態を軽視し、無視するという、市やマスコミの姿勢が今もずっと続いているということがよくわかります。市民がアポをとって市役所を訪れても、立ってでしか対応しないという実態(環境局と秘書室)を、市民は知らなければいけないと思います。こうして市民がブログやツイッターで拡散しないことには、このような行政の実態は知らされません。
PM2.5の日本の基準値は1年平均値 15μg/m3以下 かつ 1日平均値 70以下(今までは35だったが今年の2月に70へ変更 )
WHOの基準値は 1年平均 10μg 1日平均 25μg
日本の基準値はもともとWHO基準値の1.5倍でしたが、今年の2月からWHO基準値の約3倍に引き上げられています。
WHOの基準⇒http://whqlibdoc.who.int/hq/2006/WHO_SDE_PHE_OEH_06.02_eng.pdf#search='WHO+PM2.5'
日本の基準は⇒http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info/attach/report20130227.pdf
北九の子供を守るネットワークのブログ より転載いたします。
2012年9月17日北九州市災害廃棄物本焼却開始以降に発生した市民の体調異変(PDF)
●全身症状・・・・悪寒、微熱、倦怠感、発熱、脱力感、リンパの腫れ、ガン、インフルエンザ、めまい、骨芽細胞腫、アナフィラキシーショック、白血球減少など
●皮膚・爪・毛髪・・・・全身発疹、かゆみ、脱毛、特発性血小板減少性紫斑病、紫斑病、水疱瘡、アトピー悪化、蕁麻疹、紫斑、できもの、ふけ症状など
●骨・関節・筋肉・・・骨折多発、肩こり、膝痛、、靭帯損傷、腰痛、全身痛、筋肉こわばり、関節痛、ぎっくり腰、背中の痛み、関節痛、すね痛、足のつり、こむら返り
●頭・・・・頭痛、集中力の減退、物忘れ、こめかみの傷み、めまい、ふらつき、ぼーっとする
●眼・・・・眼球の痛み、目の奥の痛み、目の周りの痛み、ちかちかする、ものもらい、出血性結膜炎、虹視症疑い、目のかゆみ、目脂、飛蚊症、充血、目のかすみ
●鼻・・・・鼻血多発、鼻腔の痛み、鼻づまり、鼻水、副鼻腔炎、鼻声、鼻の中のできもの、鼻炎
●口・・・口内炎、歯茎の腫れ、口内血腫、口唇ヘルペス、舌にできもの、舌のしびれ、歯茎の痛み、くしゃみ
●喉・気管支・・・喉の痛み、咳、痰、気管支炎、児童に咳多発、扁桃炎、喘息、喘息再発、喘息の悪化、喉のいがいが感
●胸部・心臓・肺・・・胸痛、心臓の痛み、動悸、肺炎、心筋梗塞、不整脈、心臓疾患で救急搬送、肺気腫、呼吸困難
●消化器・・・・・下痢、腹痛、嘔吐、吐き気、成人の嘔吐下痢多発、ノロウイルス、胃痛、食欲不振
●その他の状況
悪臭、児童の体調不良・早退多発、親族の相次ぐ死亡、突然死の多発、連続する白血病、染色体異常による新生児死亡、交通事故の多発、体調不良者の増加、救急搬送と交通事故の多発、持病の急激な悪化、特定の企業グループでの死亡増加、児童のウイルス性疾患多発、集中力欠如による怪我、高齢ではない層の死亡多発、交通事故の多発、病気の急激な進行、突然死、住民死亡の多発、生徒・児童の体調不良多発、腎臓付近の違和感や痛み、多くの生徒がマスク、野鳥の減少、救急車・ヘリの増加、中耳炎再発、おねしょ、手の震え
(北九の子供を守るネットワーク健康調査班 2013年7月4日 現在)
放射性物質の焼却による健康被害の窓口設置と放射性物質の焼却停止指導の陳情書(PDF)
陳情書の参考の資料です。出典は、
『ゴミ焼却炉の健康に対する影響 イギリス環境医学学会 第4次報告書』2008年6月第二版
The Health Effects of Waste Incinerators 4th Report of the British Society for Ecological Medicine
Second Edition June 2008
http://www.ecomed.org.uk/content/IncineratorReport_v3.pdf
監修 ジェレミー・トンプソン博士 オナー・アンソニー博士 Dr. Jeremy Thompson Dr. Honor Anthony
まえがき 省略(翻訳部分では省略)
目次
重要部分抜粋
1.はじめに
2.焼却炉および燃焼源からの排出
2.1 微粒子
2.2 重金属
2.3 酸化窒素
2.4 有機汚染物質
3.汚染物質の健康に対する影響
3.1 微粒子
3.2 重金属
3.3 酸化窒素とオゾン
3.4 毒性有機物質
3.5 遺伝子への影響
3.6 免疫系への影響
3.7 相乗効果
4.焼却炉近辺の疾病率と死亡率増加
4.1 癌
4.2 異常出産
4.3 虚血性心疾患
4.4 コメント
5.疾病発生率と汚染
5.1 癌
5.2 神経疾患
5.3 精神疾患
5.4 暴力と犯罪
6.ハイ リスク グループ
6.1 胎児
6.2 母乳授乳児
6.3 子供
6.4 化学物質過敏者
7.過去の失敗と予防原則
7.1 予防原則
7.2 過去の失敗に学ぶ
8.代替廃棄物処理技術
8.1 リサイクル 再利用 堆肥化
8.2 ゴミ減量
8.3 ごみゼロ
8.4 プラスチック問題
8.5 有機物の嫌気的分解処理
8.6 機械的生物処理 MBT
8.7 高度熱処理技術(ATT)とガス化プラズマ
8.8 温室効果ガス
9.焼却炉のコスト
9.1 焼却炉のコスト
9.2 焼却炉の健康コスト
9.3 汚染減少による経済的利益
9.4 汚染による健康被害に関するその他の研究
10.その他の重要事項に関する考察
10.1 灰の問題
10.2 焼却炉と放射能
10.3 汚染物質拡散
10.4 セメント窯
11.監視
12.リスク評価
13.公衆の権利と国際条約
14.まとめ
15.提案
参考文献 略(翻訳部分では省略)
重要事項まとめ
自治体ごみ焼却場近隣における成人および小児のがん、異常出産発生率が高いことが大規模調査によってあきらかになった。結果は一貫して焼却炉との因果関係を示している。若干数の小規模な疫学調査もこの解釈を裏付けており、焼却炉により幅広い疾病が発生することを暗示している。 微粒子、毒性金属、既知の発がん物質や変異原性物質、内分泌かく乱物質を含む200種を超える有機化学物質の主供給源は焼却炉排出物である。ダイオキシン同様、ゴミ焼却炉排出物にはどのような被害を発生するかわからない未確認混合物が含まれている。ゴミの性質は変化し続けており、焼却炉からの排出物や健康への悪影響もまた変化し続けている。
現在の安全評価は隣接地における急性毒性を避けるためのものであり、汚染物質が食物連鎖に入って生物蓄積し、長い間にはより広い地域で慢性病を引き起こすことを無視している。これまで排出物の長期的影響評価が公的に行なわれたことはない。 ゴミ焼却炉では焼却前のごみ(圧縮した場合)から体積比30−50%の底灰と飛灰が生じ、埋立地への移動が必要となる。最新焼却炉の汚染減少装置は単に毒物、特にダイオキシンや重金属を排気から飛灰へと移行させるだけである。この飛灰は軽く、風で運ばれやすく、多くは粒子径が小さい。これがかなりの、しかもほとんど知られていない健康被害を起こしている。 アメリカで行われた2つの大規模調査(他の要素を補正後)の結果、微小粒子(PM2,5)による大気汚染で、心臓血管系死亡率、肺がん死亡率、その他あらゆる死因による死亡率の増加がみられた。さらに最近行われた、閉経後女性の羅患率、死亡率調査もこの結果を裏付けており、より高濃度の微小粒子に暴露した女性の心血管系死亡率は76%増、脳血管系死亡率は83%増となっている。微小粒子は主に燃焼過程で発生し、ゴミ焼却炉から大量に排出される。 高濃度の微小粒子は喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の羅患率上昇に関係している。 毒性金属や有機毒(発がん物質を含む)が存在する焼却炉内で発生した微小粒子は、これらの汚染物質を吸着して人体の血流や細胞内に運び込む。 体内に蓄積した毒性金属は子供の自閉症、言語障害、情緒不安定、注意欠陥多動性障害、学習困難、非行、成人における暴力、痴呆、鬱、パーキンソン病といった一連の問題行動に関係している。自閉症や学習困難発生率増加は水銀汚染地域周辺に顕著である。例外なくゴミ焼却炉排気には毒性金属が含まれており、飛灰には毒性金属が高濃度に存在する。
科学汚染物質への感受性は先天的、後天的要素で変わってくるが、胎児への影響が最大となる。深刻な曝露による感作で生涯にわたり化学物質過敏症となることもある。 複合化学物質の毒性に関する研究はほとんど行われていない。研究結果がある場合、その多くで相乗効果が証明されている。相乗効果により排出汚染物質の毒性が大幅に増加するが、この危険性は評価されていない。 工業化の進展に伴い癌と喘息は容赦なく増加してきた。癌発生率は毒性廃棄物処理施設や化学工業施設と地理的関連があり、住民の曝露減少が急がれる。 イギリスには放射能汚染物質も焼却するごみ焼却炉があり、放射性微粒子を排出している。呼吸により体内に入った放射性物質はα線及びβ線を放射することになる。体外から放射されるα線β線の危険性は低いが、体内からの放射は強力な破壊力を生じる。このような体内被曝の危険性に関する学術研究は行われていない。 多環芳香族炭化水素のような化学汚染物質や重金属は遺伝子変異を起こすことがわかっている。これはつまり現在の世代のみならず、将来の世代にも危険を及ぼすということである。 残念ながらゴミ焼却炉の精密な計測は出来ていない。計測はたまにしか行われず、計測する化合物の種類も限られており、計測水準は適切であるとみなされ、生物学的監視は行われていない。新たな設備の認可は、安全性の化学的計測方法であると推定される計測模擬データに依存してきた。この手法の汚染物質レベル予測精度はわずか30%であり、二次生成される微粒子や化学的相互作用の重要性を無視している。 最新の汚染処理設備により、焼却炉からの排出物は安全であると言われてきたが、安全性の確立は不可能であり、模範的な処理条件における排出にしかそれは当てはまらない。より重要なのは通常運転時以外の、焼却開始時や焼却終了時のように短時間に大量の汚染物質が排出される時である。大変有害な2排出物―微粒子と重金属はなかなか取り除けない。
2-3年以内に胎児や幼児に対する有害作用の疑惑が、中立的な健康観察精密調査により見えてくる可能性はあるが、新規に設置するゴミ焼却炉の安全性を前もって立証することはできない。この種の調査は適切に実施されておらず、しかも個々の設備は短期的には統計上の有意に到達しない。その他の有害作用、成人癌などの発症には、少なくとも10-20年の時間差がある。だからこそ予防原則の適用が必要である。 ゴミ焼却場の健康被害を避け、より多くのエネルギー産出し、健康コストを考慮に入れればより安価な代替ゴミ処理方法が存在する。 現在、ゴミ焼却炉は国連人権委員会における人権、ヨーロッパ人権委員会における人間の権利、またストックホルム会議、1990年の環境保護採決に違反している。ゴミ焼却炉の排出物リスクは胎児、幼児、子供で最も高く、彼らの人権は無視侵害されている。これはいずれの委員会においてもその趣旨に反している。またゴミ焼却炉を健康被害が最大となる貧困地域に配置するという現在の政策もそうである。 第二版の参考文献を見直すと、前回の結論に対する確信が深まる。 微粒子および超微粒子関連を含めた最近の研究によると、ゴミ焼却炉による損害は起動時や終了時と言った非通常運転時排出調査とともにゴミ焼却炉の危険性が以前考えられていた以上に大きいことが立証されている。ゴミ焼却炉の健康リスク証拠は蓄積されており、無視するにはあまりに顕著である。より良く安価で危険性の低いゴミ処理方法がある現在、ゴミ焼却炉の利用を正当化することはできず、今以上のゴミ焼却炉建設を認めることはできない。1.はじめに
ゴミ量とゴミの潜在毒性は増加している。ごみ埋め立て地利用は限界に達しており、ゴミ焼却はゴミ問題解決方法としてますます脚光を浴びてきている。当報告書ではゴミ焼却炉関連文献を精査している。
ゴミ焼却炉の汚染発生源は2つある。一つは大気中に排出される無数の汚染物質である。地元が被る急性毒性による影響を防ぐために、主要な排出化学物質の蓄積に関してはいくらか注意が向けられてきたが、これは問題の一部分にすぎない。これらの化学物質の多くには毒性があるとともに油断できない生物蓄積を起こすため、時間とともに体内に蓄積潜伏して非常に少量の暴露で多様な慢性被害を与える。これら汚染物質の危険性、とりわけ複合汚染に関してはわかっていない。おまけに焼却炉はごみを灰にするが、この灰の中にはダイオキシンや重金属など高濃度の毒性物質が含まれており、将来世代への深刻な汚染問題となりつつある。すでに汚染物質はごみ埋め立て地から染み出して水源汚染を引き起こしているのがわかっている。大量の焼却灰を発生するゴミ焼却は決して埋立地問題を解決できないことに留意しなければならない。
ゴミ焼却炉排出物に曝露した人や職業的に曝露した人に関する研究はさほど多くない(4.を参照のこと)が、当該地域人口において予測される以上に高い癌や出産異常、虚血性心疾患の増加がゴミ焼却炉労働者に報告されている。これは気がかりな報告であるが、それだけでも二つの事実を除いて起こりうる危険性に対する警鐘を科学界に投げかけることとなる。第一にあらゆる種類の環境汚染曝露に関連する慢性影響の立証困難は衆知のことである。第二にゴミ焼却炉やその他の燃焼設備より排出されることがわかっている各燃焼産物による健康被害に関連する証拠の量である。
当報告書の目的はあらゆる証拠を調べ、次世代ゴミ焼却炉に関連する将来的な危険を偏りなく考察することである。この調査企画には十分な理由がある。毒物への曝露による健康被害があきらかになるには数十年を要することが歴史的にわかっているが、後になって振り返ってみると、注意を払われないままだった初期徴候も多々存在していた。環境汚染曝露の影響をあらかじめ予測することは稀だからである。例えばイギリスの旧式ゴミ焼却炉が食糧の主要ダイオキシン汚染源になろうとは予想されていなかった。証拠の評価に当たっては、胎児の毒性物質曝露による損傷増加に関する研究や化学物質同士の相乗作用による危険性、化学物質過敏症の人がかかえる一般人より高い危険性、危険性影響評価の難しさ、監視に関する問題点、ゴミ焼却炉による健康被害等の関連性があると思われる他分野のデータを精査している。
2.ゴミ焼却炉やその他の焼却源からの排出物
ゴミ焼却炉排出物の正確な組成はどのようなゴミがいつ燃やされたか、焼却施設の能率、実施されている汚染防止処置によって変わってくる。公共のゴミ焼却炉は重金属や人工的な有機化学物質に汚染されたありとあらゆるゴミを取り込む。これらは焼却中、より毒性の強い物質を生じることがある。健康被害に関して言うならば、最も重要な三つの排出物は微粒子、重金属、人工化学物質の燃焼生成物である。サイズの小さな微粒子表面に重金属や人工科学物質の燃焼生成物が吸着されると、大変危険なことになる。化学物質のさまざまな燃焼生成物は二酸化硫黄、窒素酸化物、100種を超える揮発性有機化合物(VOC)、ダイオキシン、芳香族炭化水素(PAH)、ポリ塩化ビフェニール(PCB),フランである。
2.1 微粒子
微粒子は空気中の微小な粒子で、サイズによって分類される。PM10は直径10ミクロン以下、微細粒子PM2,5は直径2.5ミクロン以下、超微細粒子PM0.1は直径0.1ミクロン以下である。ゴミ焼却炉は膨大な量のPM2,5およびPM0.1を発生する。ゴミ焼却炉は排気1立方メートル当たり10mgまでの微粒子排出が許可されている。一般的に使用されているバグフィルターは篩のような役目を果たし、小さな粒子を効率的に通過させ、危険性の低い大きな粒子の通過を遮断する。このようなフィルターはPM2.5の5−30%をブロックするが、PM0.1はブロックされることなくフィルターを素通りする。事実、ゴミ焼却炉から排出される微粒子の大半は危険性の高い超微細粒子である。バグフィルターは微細粒子、特に直径0.2-0.3ミクロンのかなり健康被害を起こしやすい粒子除去には非効率的である。健康被害は粒子の重量ではなく、サイズと数によって確定する。粒子径の大きな微粒子重量のほうが重くなるため、重量による微粒子量測定では、安全性に関して間違った印象を与えることになる。窒素酸化物排出削減装置は、実際にはPM2.5の排出を増加する可能性がある。この過程で使用されるアンモニアと、煙突内を上昇する際に水蒸気と二酸化硫黄が結びついて発生した硫黄酸化物が反応して微粒子を二次生成する。これらの二次生成微粒子はフィルターの向こう側で発生し、そのまま排出されるため、総排出微粒子量は簡単に倍増することになる。現在の設計方法は二次生成微粒子を考慮していない。(12章を参照のこと)
調査によると、毒性金属はより小さい微粒子表面に蓄積し、芳香族炭化水素(PAH)の95%は微細粒子(PM3より小さいもの)に蓄積する。PAHには毒性及び発がん性があり、肺がんリスクを7.8倍に高める。
2.2 重金属
ゴミ焼却炉は排気1立方メートル当たり10mgの微粒子と1mgの金属排出を許可されている。この制限値はほとんど意味がない。たとえ制限値以下でも、焼却炉から毎秒ごとに排出される排気量は大きく異なるので、排出される微粒子と金属の総量もかなり異なることになる。さらに鉛は別として、重金属に関しては環境大気に関する法定基準がなく、大気中の重金属レベルは計測する必要が無いという懸念がある。
車の排気ガスに比べると、ゴミ焼却炉からの排気は微粒子に対して非常に高い割合の金属が許可されている。高温のゴミ焼却炉内で金属ごみ、プラスチックゴミ、その他から金属が放出される。排出された重金属の多く、例えばカドミウムはとても低い濃度でも毒性がある。重金属はゴミ焼却炉から排出される最小の微粒子に選択的に結合することによって小さな微粒子の毒性を強める。この事実からして、ゴミ焼却炉から排出される微粒子は車や他の排出源から排出される微粒子より危険性が高い。
2.3 窒素酸化物
ゴミ焼却炉における酸化窒素除去率は約60%であり、酸化窒素は窒素酸化物へ変化してスモッグや酸性雨となる。一酸化二窒素と揮発性有機化合物(VOC)は太陽光線を浴びると別の汚染物質、オゾンを発生する。
2.4 有機汚染物質
ゴミ焼却炉からは様々な有機汚染物質が排出される。これにはPAH(芳香族炭化水素)、PCB(ポリ塩化ビフェニール)、ダイオキシン、フラン、フタル酸エステル、ケトン、アルデヒド、有機酸、アルケンが含まれる。
過去に燃やされていたゴミとは異なり、現在燃やされているゴミには多量の重金属とプラスチックが含まれており、健康と環境への負荷が非常に高い。その一例が組成の90%以上が有機塩素から成るPVC(ポリ塩化ビニル)である。ドアや窓に幅広く使われており、40年の耐用年数を考えるとゴミへの流入量の増加が予測される。これによってゴミに含まれる有機塩素は軽く1%を超え、ゴミはヨーロッパ廃棄物指標(European Waste Directive)によると、危険とみなされることになる。
複合物の多くには持続的な毒性、生物蓄積性があることがわかっている。その中には免疫系への影響や染色体との結合、ホルモン調節かく乱、発癌性、行動変化や知能低下を引き起こす物質の含有が報告されている。これらの物質の多くの毒性データは非常に限られており、懸念されるところである。ゴミの性質が変化し続けるということは、新たな物質が生み出され排出されるということである。例えばポリ臭化ジフェニルエーテルは電気製品に多用されており、ゴミ焼却炉への流入が増加し続けている。これらは脳の成長と甲状腺に影響し、動物の問題行動と学習困難を引き起すことがわかってきた。
3.汚染物質の健康に対する影響
3.1微小粒子
調査報告が増え続け、微小粒子の健康に対する危険性があきらかになってきた。さまざまな研究の結果、微小粒子のサイズが小さければ小さいほど健康に対して悪影響があることが明確になってきた。WHOのデータである下記のグラフによると、PM2.5はPM10sよりも一日当たり死亡率が高くなることを示している。
図1.PM濃度による一日当たり死亡者数増加 WHO Air quality guidelines 1999 chapter3より(原文11ページのグラフ参照のこと)
小さな微粒子は鼻や細気管支で取り除かれず、その小ささゆえに呼吸により肺の奥深くに入ると、そのまま血流に入り込み長時間血中に存在し続ける。その後微粒子は細胞膜を通過して細胞核へ侵入し、DNAに作用する。WHOによるとPM2.5は驚くほど低濃度で健康被害を生じ、安全な敷居値は存在しない。最小の微粒子、特に超微粒子(PM0.1)はそのサイズの小ささと相対的な表面積の広さゆえ高い化学反応性を持っている。最小サイズ微粒子がより危険なのは、単位重量当たり何千倍もの数の微粒子が存在することである。ゴミ焼却炉内では重金属、ダイオキシン、その他化学物質が微粒子表面に付着して、毒性を増すことになる。人体には肺奥深くの汚れを効果的に取り除くメカニズムが備わっていない。このように小さな微粒子は自然界のほんの一部にしか存在しないからである。
ゴミ焼却炉は微粒子の効率的な発生源であり、死亡率に対して大きな影響がある微小サイズの微粒子を主として生産する。ゴミ焼却炉には致死的な潜在能力が備わっているのは確かである。
a) 微粒子汚染物質の疫学的研究
微細粒子は呼吸器障害と心血管障害、肺がんと関連がある。
PM2.5汚染レベルの増加に伴い死亡率が上がることを、アメリカにおける2つの大規模調査が示している。1993年、6都市で8111人を14〜16年間(1974−1991年)追跡調査した結果が発表されている。この調査にはのべ111076(人×年)がかかわっている。喫煙やその他の個人的要素を斟酌して大気汚染の影響を調べているが、予想通り最大のリスク要因は喫煙であった(調整死亡率は1.59)。しかし、個人的要素を斟酌すると、死亡率は都市部における微粒子、硫黄粒子レベルと非常に顕著な関連(p<0.005)があることがあきらかになった。最高汚染都市における全原因調整死亡率は最低汚染都市と比較した場合1.26になる。これはPM2.5、一立方メートル当たり18.6㎍の差である。心肺疾患による死亡率は37%増加し、肺がん死亡率も37%高くなる。
アメリカ癌学会の1982年から1989年までの追跡調査によると、成人552,138人(癌予防第二次調査より引用)を調査し、1980年における硫酸化合物による大気汚染平均濃度と1979年から1983年にかけての微粒子濃度中央値に対する死亡を分析した。どちらの調査も患者の居住地域のEPA(米環境保護局)データを適用している。
やはり肺がんと喫煙の間には大きな関連があったが(修正死亡リスク率9.73)、硫酸化合物と微粒子はあらゆる種類の死亡率、心肺疾患による死亡率との関連が顕著だった。硫酸化合物は肺がんとの関連性もある。喫煙その他の変動要因を修正すると、
PM2,5が一立方メートル当たり24,5㎍高いと全原因死亡率が17%増加し、心肺疾患による死亡率は31%増加する。この結果は非常に重要な意味を持ち、EPAはPM2.5の規制制限値を提案、1997年には国家環境大気質基準(NAAQS)を制定した。これらの規制には産業界から異議申し立てがあったが、最終的には連邦最高裁判所によって支持された。広範囲な独立監査により、全研究データは厳格に精査され、オリジナルデータの再分析が行われた。
死亡率、急性及び慢性的な健康への影響を基に、これら新たな規制の健康に対する寄与を計算すると、一年に320億ドルと見積もられる。入院や早まった死による労働日数の損失減少により、2003年9月、行政管理予算局は過去10年間の利益を1200億から1930億ドルと見積もったとホワイトハウスは報告している。(9.1を参照のこと)この調査はたった3個の健康指標しか考察していないので、本来の利益を過小評価していると思われる。
このデータからゴミ焼却炉及びPM2,5を発生する設備は莫大な健康被害と死亡率増加を生じていることがわかる。
(翻訳途中につき 概要です。ご了承ください)
北九州市が受け入れ焼却した震災がれきには、農薬、消毒薬、芳香剤、防腐剤がトン単位で散布されていました。
スミオチンはPRTR法で使用量の報告義務のある有害化学物質です。トン単位の放射性物質と一緒の焼却は世界初のことです。
このスミチオンは有機リン酸系農薬の一種であり、薬剤そのものも、補助成分であるキシレンやエチルベンゼンも、PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)の対象となる化学物質(計462物質)のうち、「特定第一種指定化学物質」(15種、いずれも発がん性、生殖細胞変異原性及び生殖発生毒性が認められている)。以下に経済産業省のサイトから作成した、特定第一種指定化学物質のリストをあげる。「フェニトロチオン」が、スミチオンに相当する。
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/prtr/pdf/sindai1.pdf より
揮発性炭化水素 ベンゼン、トルエン、キシレン等
有機塩素系化合物 ダイオキシン類、トリクロロエチレン、塩化ビニル等
農薬 臭化メチル、フェニトロチオン、クロルピリホス等
金属化合物 鉛及びその化合物、ヒ素及びその無機化合物、ニッケル化合物、六価クロム化合物等
オゾン層破壊物質 CFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC等
その他 石綿(アスベスト)等
スミチオンは劇毒物には指定されていないが、農業生産者の間ではその毒性はよく知られており、吸入した場合、けいれん、ひきつけ、めまい、咳、頭痛、汗、荒い呼吸、吐き気、意識不明、瞳孔収縮、筋肉けいれんなどの中毒症状がおきることが報告されている。
以下に、海外文献に論拠したスミチオンによる健康被害の例をあげる。
●吐き気、嘔吐、腹部けいれん、下痢、唾液と気道粘液過剰分泌(よだれ)
●鼻水、胸のしめつけ感
●頭痛、めまい、衰弱
●目がかすむ、薄暗さを感じる、縮瞳、涙が出る、毛様体筋けいれん
●全身の脱力感、筋肉が調節できない、会話不明瞭
●眠けが強い、混迷、精神錯乱
●呼吸困難、口鼻の泡、チアノーゼ、気管支けいれん、頻呼吸
●失禁、痙攣、昏睡
中毒症状が重くなると、徐脈、低血圧、胸痛、あるいはそれと反対の頻脈、高血圧、不正脈をおこし、やがて心筋炎、呼吸中枢不全、呼吸筋麻痺や気管支収縮へと至り、呼吸停止から死亡に至る。
しかも宮城県は、震災がれきの化学物質の検査はしていないということが、市民グループの文書開示請求によってわかりました。
http://ameblo.jp/kitakyu-mamoru/entry-11415777570.html より
さらに、2013年 7/12に行われた、バンダジェフスキー博士の福岡講演の質疑応答にて、化学物質とセシウム137の複合汚染について語られました 。
バンダジェフスキー博士の医師向けセミナーのテキストに、鉛を含むガソリンの排気、多数の工場から出る廃棄物の影響を受けた工業都市のゴメリ在住の子どもの血液データが掲載されています。
「鉛はセシウム137と共にエネルギー供給を阻害し、生命維持のために重要な臓器の細胞の壊死を促進する」
「体内に取り込んだセシウム137その他の放射性物質、鉛などの化学元素が長期にわたって作用した結果、子供の心内で発生した代謝障害と電気パルスの伝導障害の組み合わせは、将来死に至る病的機能障害の発生を促す好ましくない前駆症状である」
とあります。
北九州市が受け入れした震災がれきには放射性セシウムが降り注ぎ、さらに農薬がかけられていました。それを燃やされ、煙突から微粒子となって放出されました。そして、がれき焼却終了後は、新門司焼却場とほど近い、苅田町の三菱マテリアルで鉛汚染土が受け入れられセメント焼成されています。
そのことも含めて、健康調査PDFを、しっかりとご覧いただきたいと思います。