管理人より
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ヤブロコフ博士12/14講演 質疑応答部分 文字おこし 青色はヤブロコフ博士
1:04〜あたりから
Q:内部被ばくを考える市民研究会の川根と申します。中学校で理科の教諭をしております。ヤブロコフ先生の著書が出ることを心待ちにしておりました。今回の事故で東京でもヨウ素とともにテルルが大気中に舞ってきております。テルルについて先生のお考えをお聞かせください。核種の危険性とか・・・
A:非常に重要な核種です。テルルもヨウ素と同様に甲状腺に対して作用します。
Q:蓄積するということですか?
A:甲状腺に蓄積されるということですが、この甲状腺腫瘍というのは良性であることが多いというようなことが言われますけれども、実際にはそんなことはなくて、甲状腺腫瘍が悪性のものにゆっくり移行します。そしてチェルノブイリにおいては4年後に甲状腺ガンがたくさん発生しています。それからチェルノブイリのときに、最初に目立った症状として出てきたのは白血病です。それから目の水晶体が曇るということです。そして、被曝してから数時間後には染色体異常が始まりました。ちなみに突然変異というのは、個人の被曝をはかる場合の非常にわかりやすい標識です。それぞれの人がそれぞれの突然変異というものを持っています。
Q:ギリシャの汚染分布図なんですが、これはなぜ、セシウムと放射性銀が違うのかということと、これはどこが調査したのかということと、どんな影響があるかの3点です。
A:(最初の汚染地図がどうして違うのかということに関してはまだ、答えていただいてないですけど)、放射性銀の作用については、わからないということです。今度出版される本には、放射性銀だけではなくて、ギリシャのいろいろな核種による汚染地図が載っているということです。どうしてギリシャについて関心を持たれたのですか?
Q:日本でもギリシャと同じように放射線核種によって分布が違うのではないかと思ったからです。
Q:最後のグラフの説明がわからなかったのでもう一回お願いします。横軸は何年から統計をとっているのでしょうか?乳幼児の死亡率なんですけれども事故の前から上がってるってことでしょうか?
A:2002年から今までのデータです。左端が2002年です。増えたのは福島の事故のあとからということです。点線のあと。
Q:エイトビットニュースの沢田と申します。今日本では2つ大きく議論がありまして福島の方でも、汚染の状況はひどいけれどもなかなか移住ができないと思っている方、また同じく東京も移住したほうがいいと思ってるかもしれないけど、本当に移住しなきゃいけないのか、危機感がわかってないというところがあります。こういう議論の中、福島も東京も含めて、先生の目から見て、移住すべきか否か、どういう対策を取ったらいいかメッセージいただけますか?
A:チェルノブイリの事故で、示されたことは移住したということが全ての人にとってよかったというわけではないということです。高濃度汚染地域というのは非常に複雑な形をしております。高線量地域からはすぐに避難すべきだと思いますから、今すぐに汚染地図を作るべきだと思います。それと今言い落としましたが、それは20km圏とかそういう同心円状のところというのではなくて実際に高線量の地域から避難移住しなくてはいけないということです。みなさんもご存知かもしれませんが、アメリカ人が上空から福島を見たときには50km圏からは自国民は移住させるということを決めたわけです。チェルノブイリの教訓というのは、放射能汚染の中に生活することになった人々の生活をいかに楽にするかということです。血液検査を行って誰が実際に被曝しているかを明らかにすることです。それからもちろん定期的にホールボディカウンターで検査を受けなくてはいけません。(たぶん口の粘膜?)その細胞を調べることで被曝の程度を調べることができるそうです。
Q:高濃度の地域に関しては避難すべきだと?高濃度と判断するのは空間線量か土壌汚染なのかという指標の二つと、先生はどこの数値から高濃度とおっしゃられてるのでしょうか?
A:空間線量で地面から1mのところです。これが標準的な空間線量を図る地点です。
Q:そこで数値としては何以上ですか?
A:チェルノブイリの基準から判断しまして555kbq/m2 です。これ以上の地帯は高汚染・・しかし、チェルノブイリからまだ25年しか経っていないわけですので、仮に先ほど言った数値以下でも長く続けば危険なことに変わりはありません。これは、科学的なというより私が感じていることなのですが、1平方キロメートルあたり0.1キュリーとか0.2キュリーであっても危険であり、そこから逃げ出すべきだと思います。1キュリーの放射線のもとでは食品においても、様々な検査(生検?)が必要になってきます。
司会:先ほどヤブロコフさんが言った555kBq/m2というのは、ご存知の方も多いと思うんですが、チェルノブイリの避難区域の避難の義務ゾーンが555kbq/?以上です。今、0.1キュリーでも不安だとおっしゃった・・・そのキュリーと・・・ちょっと説明していただいてよろしいですか?
川根:昔はキュリー/k?という単位だったんですが今はベクレルを使っています。ベクレル/?です。1キュリー/k?は3.7万ベクレル/?、1キュリー/k?は3.7万ベクレル/?です。kBq ってあまり好きじゃないので万にしちゃってますけど、kBqになおすと37kBq/?。1キュリー/k?は37kBq/?
司会:ちなみに37kBq/?というのはチェルノブイリ避難区域の一番下のゾーンの下限ですね。
A: 1キュリー/k?のもとでも、食物に対してどういうふうに、お湯で煮てから食べないといけないかとか、きのこでもどの種類のは食べてよくてどの種類は食べていけないとかベリー類についても同様です。私はこちらの方面の専門家ではないですが、これについては非常に多くの文献があります。
Q:先生が言われた0.1キュリー/ k?でも危ない・・・?
司会:一番下のゾーンの下限のさらに1/10でも不安だということですね・・
A:0.1より少なければ危険ではないという・・。
Q:1986年から1991年、チェルノブイリの事故からソ連の解体までのあいだで、どのように思われたり、旧ソ連の体制の中で、先生の立場で、チェルノブイリのことを今のように話せたのかどうか聞きたい。(質問概要)
A:チェルノブイリ事故のあと、広島に原爆が落とされた時と同様に、3年半のあいだは完全に秘密にされていました。ソ連の最後の大統領だったゴルバチョフは、ソ連邦の崩壊の原因のひとつはチェルノブイリ事故であったと認めています。このチェルノブイリについて語ることができるようになったのは、この事故が起きて5年経ってから、ようやく話ができるようになりました。
Q:先ほど0.1キュリー/ k?以上は危険だというお話をされていましたが、東日本にはたぶん、セシウムだけで1万ベクレル/?を超えるところが点在している状況だと、実際1万ベクレル/?程度の土地でチェルノブイリの経験でどのぐらいの健康被害が生じているかというのを教えていただきたい。
A:実際には0.3キュリー/k?というのがみられた場所というのはなくて、0〜1キュリーまでの地点ということで、1キュリー/k?のところでは様々な臓器の障害がみられます。そしてこのいろいろな臓器における変化というのは、すぐに見出されたというものではなくて8〜10年後に医者によって見つけられたものです。
Q:年齢と被曝の感受性について示したグラフ(ゴフマン説)はどう思うか?
A:ゴフマンは私が考えるには、違うことを言っていると思うんですけれども、ロシアにはゴフマンより前からクレムカルスカヤ(?)という人が放射線の人体に対する影響というものを研究していまして、その中で、まず第一に子供ですけれども、子供と妊娠した女性そして老人にとって放射能の作用が大きいというふうに言っています。もちろんいくつかの面において、たとえば精巣に対する放射線の影響は、老人はあまり受けないわけなんですけれども、それは老人にとってあまり問題ではないということになります。
【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】 ?〜?
ヤブロコフ博士 参考資料 2012/12/15
http://www.foejapan.org/energy/evt/pdf/121215_a.pdf
市民社会にとってのチェルノブイリ原発事故の教訓 アレクセイ・V・ヤブロコフ