今まで、何度もバイオマス発電についてはブログ記事化してきましたが、これでもかと国策で進めています。恐ろしくなるほど。ちょっと長いですが最後まで読んでいただけたらと思います。
なんと内閣府・総務省・文科省・農水省・経産省・国交省・環境省 の7府省で100地区も推せ推せです。
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/saisei/honbu/pdf/07dai3kaikyougikaisiryou3-1-2.pdf より画像転載。
「未利用資源」「地域循環型」「産業創出」という甘い言葉が散りばめられてますがそんなに簡単なことでしょうか?
この豪華パンフレットを見てください。ふんだんにお金が使われてる感じです。
バイオ燃料のいま 化石燃料への挑戦 http://www.enecho.meti.go.jp/energy/newenergy/biomass.pdf
●発 行:資源エネルギー庁
●編 集:財団法人 新エネルギー財団 http://www.nef.or.jp/
このように政府は再生可能エネルギー・循環型社会推進という大義名分を作り、貴重な日本の森林資源を使ってバイオマスという形でビジネス化しようとしています。バイオマスと一口に言っても、燃焼させるだけじゃなくて発酵系、エタノールなどいろいろありますね。いろんな業者がいることでしょう。
福島原発事故後は東北の森林は放射能汚染を受け、高濃度汚染地域の汚染木屑や、汚染木質がれき、樹皮、落ち葉、腐葉土などは、放射性物質が付着していますので、本来なら集中管理しなければならないレベルの放射性廃棄物となりました。もちろん燃やすなんてとんでもないことです。
琵琶湖汚染木材チップ問題テレビ報道と放射能汚染地域の樹皮(バーク)について
こちらの資料をご覧下さい。↓
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/1114-fa7d.html より
元の記事: 「福島:汚染された日本の樹冠」/フィガロ紙(11月14日)
(Yves Miserey, « Fukushima : contamination de la cime des forêts japonaises », Le Figaro. 2012.11.14) http://www.lefigaro.fr/environnement/2012/11/14/01029-20121114ARTFIG00566-fukushima-contamination-de-la-cime-des-forets-japonaises.php
「燃やすな、危険」日本の木々に残留する多量のセシウム:筑波大学研究チームが科学誌に発表/フィガロ紙(11月14日)
筑波大学の加藤弘亮(かとう ひろあき)研究員(生命環境科学)らの研究チームは11月10日、福島原発事故から6ヶ月後の時点で、空気中に放出されたセシウム137の60%が針葉樹林を中心とする森林に残留していたとする研究結果を科学誌『地球物理学研究』(Geophysical Research Letters)に発表した。国土全体の70%を森林が占める日本において極めて深刻な発見といえる。
原子力災害による環境への被害に関する調査は、これまで人口が密集する都市圏や農業用地を中心に実施されてきており、森林地帯に関する調査結果が発表されるのは稀なケースだ。
「森林地帯はこれまで原子力災害の被害調査から取り残されてきました。これは間違ったやり方です。」
環境汚染分野の専門家である仏フランシュコンテ大学のピエールマリー・バド教授は指摘する。実際には森林には葉や針状葉があるために地表や丘よりも空気との接合面が大きく、結果として多量の放射性物質を取り込む可能性がある。葉に蓄積したセシウムは数年間の間地表に落ちずに留まり、遅れて爆発する「爆弾」となりうるのだ。
加藤研究員らは福島原発から150キロの距離にある栃木県で調査を実施した。この地域の森林は直接放射性降下物にさらされた汚染が最もひどい地域の森林に比較すると比較的放射線量が低かったが、針葉樹林の樹冠における放射線量についてはチェルノブイリ原発事故当時のフランス・メルカントゥール地方およびヴォージュ地方で記録された汚染レベルに近い高レベルを記録した。セシウム137の半減期は30年である。日本の針葉樹林を構成する杉とヒノキにはほぼ同じレベルのセシウムが蓄積されていた。バド教授によると、針葉樹の葉の形状(細かさ)によって放射性物質とともに葉に付着するホコリの量が決まると言う。
森林に付着した放射性物質は、時間と共に地表を汚染すると見られている。加藤研究員らの研究チームは、汚染された森林で伐採された木材の使用を監視し、暖房用に木材を焼却する事を禁止すべきであると提言している。汚染された木材を焼却すれば、放射性物質が凝縮した灰が発生するからだ。森林内の散歩やキノコ類・液果類(みかん、トマト、ぶどう等)の摂取、野生動物の摂取が健康に及ぼす被害についても検証が必要だ。バド教授によれば、数年後、地表から25〜30センチの深さまでしみ込んだ放射性物質は、再び樹木に取り込まれる。それが正に、チェルノブイリ原発事故でまき散らされた放射性降下物によって現在ヨーロッパで起きていることなのである。(抜粋、一部編集)
大分県日田市に日田ウッドパワー木質バイオマス発電所というところがあります。
http://www.kyushu.meti.go.jp/report/0903_cool/16.pdf より抜粋画像 2008年の資料
この資料の中に、バークを使うことが書かれています。
バーク=樹皮は汚染地域においては、最も放射能汚染度が高い部分です。福島で処理に困った高濃度汚染バークが7〜8万トンあるというテレビ報道がつい先日ありました。
そして、発電所のファーストエコは福島県白河市にも発電所を持っています。http://www.fesco.co.jp/corporate/outline/hwp.html
燃料会社モリショウも日本樹木リサイクル協会という全国組織。どこから木材が運ばれてもおかしくはありません。
東北から1〜2日もあればトラックで日本全国どこまでも運べるのが日本の物流です。滋賀県汚染チップトラック追跡の際も、あっちこっち迷走したことがテレビで報道されました。
今、燃やされてる木がどこの木なのか、わからないのは問題です。
日田ウッドパワーに電凸してみました。以下、佐藤氏の回答
大分県日田市大字東有田字新山2813-10
TEL : 0973-22-2366
FAX : 0973-22-2386
Q:チップはどこの木を使っているのか?
A:チップ会社からチップを購入している。日田の100km圏内の業者から調達。(輸送費の点から)
割合としては半分が未利用材(大分県内)、半分が建築廃材などのリサイクル材(福岡・大分・熊本)。
燃料会社のモリショウは日本フォレストに。そこだけでなく50の業者からチップを買っている。日本樹木リサイクル協会に入っている業者もいればそうでない業者もいる。一応チップには証明書があるのでどこの木であるかはその証明書を信用するしかない。
東北の放射能汚染の事実は認識しており、日田で燃やす木材に関しては、焼却灰の問題や職員の安全も考えて対応している。
福島県の白河の発電所のチップが来ることはない。福島では測定をして燃やしている。
日田ウッドパワーで震災がれきを燃やして欲しいという申し出もあったがお断りした。
焼却灰に関しては、福島も日田も近隣のセメント会社でリサイクルしている。
Q:チップ業者が東北の汚染木を混ぜていた場合に、それを発見し、燃やさないといった対応は可能か?
A:そういった対応はしていない。取引のある業者を信用している。
Q:通常買うより安い価格で汚染チップが入ってきたら、汚染チップを購入するのではないか?
A:取引のある業者を信頼してそちらを優先させる。遠くまで運んでくることはないと考えている。
この担当者の回答では、私は安心することはできませんでした。高濃度汚染地域の樹皮などの木屑が、地元の木屑と絶対混ざらないと保証できるのか?責任取れるのか?と思いました。
日田の100km圏内の業者から調達といっても、業者はお金になればなんでもやるかも知れないし、100km圏内の港に汚染チップが着けばどうなるの?世界中どこからでも来ますよね。だとすると、いくらでも滋賀県の汚染チップ問題のような事が起きる可能性があります。
この資料をご覧下さい。
第34回原子力委員会資料第6号 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2013/siryo34/siryo6.pdf
このPDFの中の4ページ目に
【参考】東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う事業
「注)これらの事業は、原子力の研究、開発及び利用を目的とする事業ではないが、原子力関係経費と関連の深い事業であるため、参考として記載する。」
と表がありますが、この中に汚染木に関する予算が書かれています。
担当省庁は農林水産省。
なんと、放射性物質被害林産物処理支援事業
「地域林産物の流通安定化を図るため、滞留する樹皮、ほだ木等の放射性物質被害林産物の処理対策として、廃棄物処理施設での焼却及び運搬費用、一時保管費用、樹皮の圧縮機の設置等を支援する。」
に4億5千200万円もの予算が付いています。
一時預かりしただけでも金儲けになるわけです。
さらに、関連で、放射性物質対処型森林・林業復興対策実証事業
に平成25年度21億8千700万円、平成26年度40億3千600万円もの予算が付いています。
「伐採に伴い発生する副産物の減容化」とわかりにくく書いてありますが、
「切り倒した木を燃やす」ということです。
このような事業では、放射性廃棄物を集中管理するどころか、逆に、放射性物質を再び、日本全国へ撒き散らす事業です。水源地に入れば住民の口に入るのは時間の問題。燃やせば煙突から、ガス、放射性PM 微粒子となって再拡散、浮遊します。吸い込めば内部被曝。チェルノブイリの森林火災と同じ。
日本中の誰もが、追加被曝させられる危険性があるということです。どんなに微量でも安全ではないというのが人工放射性物質です。
さらにこの表をみると、「除染」や「減容化」に億単位のお金がじゃぶじゃぶ流れ込んでいます。
放射性廃棄物は集中管理するというのが原則なのに、この有様。
農林水産省の事業も、再生可能エネルギー事業も、新たに放射能汚染を拡大するだけの公害事業。
汚染チップを燃やせば、何重にも補助金をかすめ取ることができるといったからくりが、素人にもわかります。
しかも、同じ事業でも年度が変わったら、担当省庁も変わったりして、わかりにくくされているという実態もあります。なんかずる賢いですね。
各省庁のHPを探しても、こういったPDFが見つからないこともあります。ネット環境にない一般市民に追跡・検証できるわけがありません。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/pdf/25hukko15.pdf#search
こうやってみてくると、環境ジャーナリストの山本節子さんの言われたことがそのまま当てはまりますね・・・!
がれき問題は政府の目くらまし策で、本当の狙いは、高濃度放射性廃棄物の処理である。高濃度放射性廃棄物を『住民にいかに知られないように処理するか』が、本来の目的だった
(環境ジャーナリスト山本節子)
再エネと循環型社会推進(廃棄物リサイクル)は表裏一体。
助成金・交付金・補助金まみれ。だからだれもその矛盾(放射性物質拡散につながること)を指摘しないんですね。
「脱原発→再生可能エネルギー」自体を問い直さなければと思います。
放射性物質拡散のにつながる再エネを、長年、自然エネルギー普及に関わってきたという脱原発市民や環境NPO、市民派地方議員が、放射性物質拡散を検証しない事態が各地で起こっています。