【動画字幕文字おこし】
とてもグリーンな光景とは言えない 中国のレアアース精製は危険なビジネスだ
有害な化学物質を使用し、労働者は何の防護もしていない
磁石に使われるイットリウムやセリウムは伝導性が高い
温暖化防止の鍵となる低炭素技術はレアアースにかかっている
あなたはプリウスを買えば地球が救えると思っているだろうか
だがモーターにネオジムが1kg バッテリーには10kg以上のランタンが使われている
どちらも中国から輸入されたレアアースだ
環境保護派は風車が好きだが、3MW風車の永久磁石には2tのレアアースが使われている
バオトウ(包頭)レアアース研究所の所長が永久磁石を見せてくれた
彼は問題を認識している
「環境問題としてフッ素など有害物質による大気汚染、強酸性の排水、放射性物質などがあります
中国は世界のレアアースの95パーセントを供給しているので、汚染は中国にとって問題となっています」
中国は改善を迫られていますが、これは業界だけでなく世界全体の問題なのです
当局は埋蔵量が世界最大の内モンゴル、バヤンオボー(白雲鄂博)のDVDを私たちに渡した
現地は撮影させてもらえなかった だが、包頭で選鉱クズの湖を発見した
泥まみれのレアアースが近くの工場で精製されるのを待っている
私たちのパソコンや携帯電話にここで精製されたレアアースが使用される
近くの農場に廃液が漏れ出し、農民が被害を被っている
「包頭の環境当局がここの水を検査した 飲用にも灌漑にも適さないと言われた」
内モンゴルの凍てつく気候の中、大規模な風力発電所がある。
中国は風力発電のリーダーを目指している
低酸素社会の未来のチャンピオンは、労働者や農民の払う犠牲にまだ気づかない
COP15で各国首脳はCO2排出削減を話し合う それはレアアースなくして実現しない
そして全てを中国に頼ることはできないのだ
リンゼイ・ヒルサム イギリスチャンネル4ニュース 包頭 2009年12月4日
翻訳:鶴田由紀
(管理人より)
中国の労働者が、防護もなしにレアアースの精錬作業をしている動画です。
精錬という工程の危険性を過小評価する、再エネ関連利害関係者の嫌がらせが後を絶たないのであげときますが、一番痛いところでしょうね。
採掘・製錬時に放射性物質を撒き散らすレアメタル・レアアースは自然エネルギーにも使われている事実
日本でも金属精錬企業が廃棄物で周辺環境を汚染しています。(住友金属ですね・・・)
宮崎県日向市 産業廃棄物のゴミの山が目の前で非常に困ってます
石油文明のもとでの工業生産システムとはこういうことです。
地下資源を掘って、工業生産すれば必ず、廃物、廃熱、廃水が出る。
このことを企業人は、「科学技術を使うなら仕方ないことだ」とか 「品質管理していれば安全だ」と言うのです。傲慢な話です。
自然エネルギーを盲信する市民は、太陽や風といった自然が魔法で電気に変身してくれると思っているのでしょうか?発電装置は高度な工業製品です。
エネルギー供給技術の優劣と、パソコンや携帯などの通信手段とをごっちゃにしてはおかしいので、
「パソコン使ってブログ書くならレアアースの事を言うな」という議論はしません。個人的にはパソコンや携帯は原発問題を解決する手段として使います。それが終わればやめます。
ハイテク機器を使う人、自然エネを推進する人ひとりひとりが、レアアースについて「ご都合」で見て見ぬふりするのでなく、じっくり考えることだと思います。
1. 工業文明とはなにか
はじめに、工業あるいは工業文明とは何かを定義しておくことにします。一般的に工業とは、原材料資源に何らかの加工を行って製品を作ることを指します。
人力文明や畜力文明においても日常的に使う道具を作っていました。道具を作ることに特化した職人や職能集団によって加工を行うことを手工業と呼ぶことにします。
やがて富の集積によって、職能集団が工場において大規模・組織的に製品を作り始めました。そこに、動力装置として蒸気機関が導入され、機械加工によって製品を作り出すようになりました。この機械加工による工業のことを狭義の工業という言葉で表すことにします。
工業製品が生活のあらゆる局面で利用されている人間の社会システム(ハードウェア)を工業化社会と呼ぶことにします。工業化社会における文化・経済システム・政治システムなどの上部構造を含む総体を工業文明と定義します。
2. 持続可能な文明と有限の文明
人力文明・畜力文明と石炭文明・石油文明は全く質的に異なる文明です。
人力や畜力は動物の運動能力です。人間や動物は地球生態系の中で世代交代を繰り返し、絶えず更新されてゆきます。生態系あるいは人類が絶滅しない限り人力文明や畜力文明は存続し続けることが出来ます。ただし、人力や畜力によって維持できる文明の規模はそれほど大きくはありません。
これに対して石炭や石油は鉱物資源=有限の資源です。有限の資源を使用すれば、有限の時間で枯渇することは自明です。つまり、石炭文明や石油文明は有限の期間で終焉を迎えることが初めから決まっているのです。また、有限の資源は沢山使うほど早く枯渇します。そのかわり、短期的には人力や畜力とは比べ物にならないほどの大きな力を発揮することが出来ます。石炭文明以降の文明を工業文明と呼ぶことが出来ます。
近年、国や行政のスローガンとして、“持続可能な発展”に類する言葉をよく聞きます。しかし、工業文明を前提とする限り持続可能な発展はあり得ず、必ず終焉が来るというのが自然科学的な結論です。
まして“発展”=工業的生産の増大を求めれば求めるほど、必然的に終焉は早く来ることになるのです。
3. 工業生産の理論と基本エネルギー
工業生産とは、原材料資源に工業的なエネルギーや副次的な資源を投入して製品を製造する過程です。これを単純な模式図で表すと次の通りです。
左から右への矢印は、原材料資源の加工によって製品が出来る流れです。生産過程において投入したエネルギーが生産設備を駆動して最終的に廃熱となり、、低エントロピー資源が原材料資源から不純物を取り除き、製品が作られます。生産設備も次第に損耗して廃物へと変化します。
工業生産では、最終的に得られる製品の使用価値を得ることが目的です。一般的に、この使用価値を生産過程に投入した原材料や副次的な資源、工業的エネルギーによって絶対的に評価することは不可能です。同じ使用価値を持つ製品を作る複数の生産プロセスがある場合、生産過程に投入した原材料や副次的な資源、工業的エネルギーが少ないほど効率の高い生産システムだという相対的な評価が出来るだけです。
工業生産に利用される工業的なエネルギーも工業製品です。ここでは、燃料石油の製造を考えることにします。まず、エネルギー生産という工業生産過程においてエネルギー産出比を次のように定義します。
エネルギー産出比=(製品の持つエネルギー)/(生産のために投入されたエネルギー)
工業製品(商業的に流通するものという意味)としての原油を製造する場合、油田に油井を掘り、地下にある原油を汲み上げます。油田において、燃料石油1単位(カロリーベース)を原油を汲み出す生産設備の製造と運用のために投入したときに、原油50単位(カロリーベース)が得られるとします。カロリーベースで考えると、油田における原油生産のエネルギー産出比=50÷1=50です。ただしこの場合、投入する燃料石油と原油は質的に違いがあることに注意することが必要です。
原油から燃料石油を製造するためには、更に原油を石油精製工場まで運搬して分留しなければなりません。そのためには更に燃料石油を4単位投入することが必要だとします。最終的に、燃料石油製造のエネルギー産出比=50÷(1+4)=10になります。
註1)原油を精製する過程でアスファルトなど、燃料に利用しない成分が取り除かれるため、50単位の原油から得られる燃料石油の持つエネルギーは50単位よりも小さくなりますが、ここでは話を単純にするために無視することにします。
註2)同じ油田の原油から生産される燃料石油でも、油田から石油精製工場や消費地までの距離によって輸送に投入される燃料石油の量が異なるため、製品のエネルギー産出比は異なります。
つまり、燃料石油1単位を燃料石油生産に投入することによって10単位の燃料石油が得られるのです。その内1単位を石油燃料の再生産に投入することにすれば、残りの9単位のエネルギーは石油燃料製造以外の工業生産過程に投入することが出来ます。
これで、工業文明を支える基本的なエネルギー(資源)の必要条件が明らかになりました。
工業的なエネルギーあるいはエネルギー資源(燃料)を、自らの持つエネルギーだけで再生産することが可能で、更に他の工業生産システムにエネルギーを供給する能力があることです。
つまり、エネルギー産出比が1.0よりも大きいことが工業文明を支える基本エネルギーの必要条件です。
また、エネルギー産出比の大きいエネルギー(資源)ほど絶対的に優れたエネルギー(資源)です。
エネルギー産出比<1.0のエネルギー(資源)は基本エネルギーとはなり得ません。
エネルギー供給という工業生産システムは、エネルギー産出比によって絶対的な評価が可能なのです。
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