九電、再生エネ買い取り事実上中断へ 太陽光発電急増で 2014年9月20日17時06分
九州電力は、民間業者などが太陽光など再生可能エネルギーで発電した電力の受け入れを一時「保留」として、事実上中断する検討を始めた。九州では太陽光発電が急増し、電力の安定供給に支障が出かねないためだ。九電は7月下旬に一部の離島で受け入れ中断を決めたが、その範囲が九州全域に広がる可能性が出ている。
民間業者や個人が太陽光や風力などで発電した電力は、国の固定価格買い取り制度(FIT)に基づき電力会社が買い取る。自然エネルギー普及のため買い取り価格は比較的高めで、民間業者が相次いで太陽光発電などを導入している。
なかでも土地が安く日照時間が長い九州は、太陽光発電が盛んだ。九電管内の太陽光発電の出力は7月末時点で339万キロワット。九電は2020年度に600万キロワットになると見込むが、足もとではそれを上回るペースで増えている。九電のピーク需要は1500万〜1700万キロワット程度で、太陽光発電の割合は今後高まる可能性が高い。
ただ、太陽光の発電量は晴れている時は多いが、曇りや雨で急減する。太陽光で足りない分は火力発電などで補うが、太陽光の割合が過度に高まると、発電量の急激な変化に対応できず、送電に悪影響が出るおそれがある。
このため九電は、一時的に太陽光発電などの電力受け入れを止めることを検討している。すでに資源エネルギー庁に状況を説明しており、太陽光発電が増えても電力を安定供給できるよう、送電設備の増強や他の電力会社との協力などを検討する。ただ、家庭用の太陽光発電設備は出力が小さいため、受け入れを続ける方向だ。(平林大輔)
(管理人より)
朝日新聞の報道ですが、これを読んだ一般市民はどのように解釈するでしょうか?
脱原発を目指す一般市民もそうでない市民も、「送配電の基礎知識」はほぼありません。電験〜種などの試験を受ける特別な人以外は知る必要がないからです。
コンセントに差し込めば全国どこでも電化製品は動くし、停電もほとんどない国に暮らしているので、その仕組みを知らないで電気を使っている人がほとんどというわけです。一般市民の送配電の知識が欠落しているところに福島原発事故がおきました。
事故のショックの中で、脱原発・脱被曝、放射能回避をめざす市民は、放射能の危険性を学ぶことで、国や学者が「放射能は安全だ」という嘘を市民に伝えていることを知りました。
そんな脱原発市民ですが、自然エネルギーや送配電の基礎のことは学んでいません。むしろ環境NPOの人間の話ばかり一方的に聴かされているという状況が続いています。映画やイベントや講演会などでも
「原発VS自然エネ」の対立軸が大宣伝されました。
そこでいったん、「原発VS自然エネ」は脇に置いて電力会社による再生エネ接続制限の報道を集めてみました。
接続制限は2013年から全国で起きていますね 北海道〜沖縄まで。
新聞は、「接続制限になると投資している企業が困る!対策を!」という論調ばかりですね。
どうして制限するのかという理由や仕組み、制限しないと具体的にどうなるかを解説している新聞報道はほぼありません。
下の記事、大分合同新聞だけは
「太陽光発電の導入が急速に進み、送電設備の容量が足りなくなる事例が続出」
「新規買い取りを続ければ、需給バランスが崩れて大規模停電につながる懸念」
と書いています。
そもそも「接続制限」ってなんのことかわからない人もいると思います。
そういった送配電の基礎知識がゼロな人はニュースを読んでも理解できないということです。
実は「系統安定化」のために接続制限をしているのですが、ニュースにその文字は、なぜかありません。
「系統」「安定」 という言葉も一般市民には馴染みのない言葉です。
そういう技術的なことがわからない人に、自然エネ推進の旗をふらせるのですから環境NPOなどの罪は重いと感じます。
次は、そういった基礎的なことも調べて記事を書きたいと思います。
あ〜まったく、自然エネの固定買取制度も、原発の総括原価方式と同じで、市民にとっては不公平で泥棒みたいな制度だな〜と思います。
山口県でも、次から次へメガソーラーが出来ています。
接続制限の日が近いかもしれませんね・・・
群馬)東電の接続制限で全国知事会が要望
朝日新聞 2014年8月22日03時00分
太陽光発電などによる送電希望の急増で県内の送電線の容量が不足し、東京電力が接続を制限している問題に関連し、全国知事会エネルギー政策特別委員会の委員長の大沢正明知事は21日、監督官庁の経済産業省の立岡恒良事務次官に、対策強化推進を求める要望書を渡した。
要望書では「一部の地域で系統接続量の限界に達し、他の多くの地域でも限界に達しつつあることが新たな再生可能エネルギー発電所設置の障害になっている」などと指摘している。
東電によると、管内で接続制限しているのは群馬、栃木、茨城、山梨、千葉の5県。群馬は日照時間が長く、広い土地も確保できるため、メガソーラーの建設が多いが、送電能力が足りず4月から接続制限している。
発電施設の接続制限 県内11市町村 誘致に影響懸念 東電 (リンク切れ) 上毛新聞 2014年4月29日(火)06:00
東京電力群馬支店が県内11市町村で、事業者が新設する発電施設の電線網への接続を制限していることが28日、分かった。太陽光発電の買い取り量が急増し、送電線の負担が過大になっているため。これほど広範囲な接続制限は東電として初めてという。同支店は対策工事を検討しているが、工事終了まで長期化する可能性があり、企業誘致に影響が出ることも懸念されている。
http://www.47news.jp/CI/201404/CI-20140429-00140.html より
太陽光の新規売電できず 沖電、接続超過を懸念
琉球新報 2014年7月25日
沖縄電力(浦添市、大嶺満社長)が、本島内の住宅用太陽光(出力10キロワット未満)を含む全ての太陽光発電設備の新規申し込みに対する回答を一時保留、送電網へ接続できない状態が4月1日から続いていることが、24日までに分かった。接続量が限界に近づいているための措置で、宮古島、石垣島、久米島は4月以前から新規接続できない状態が続いている。
沖電によると、2013年度末に消費税増税と売電価格の変動に伴う駆け込み需要で接続の申し込みが予想を大幅に上回り、接続可能量の超過が懸念されるための一時的な措置という。同社は「現在、接続の限界量を調査しており、検討結果次第で今後接続できない場合もある」と説明している。
新規接続の回答が一時保留となっているのは、4月1日以降の申し込み分。沖電によると24日現在、接続を承諾する回答のめどは立っていない。沖電は、5月ごろから窓口で新規接続申込者に口頭で回答の一時保留を伝えていたが、7月9日から同社支店の窓口で案内文を配布している。
沖縄電力の13年3月末の太陽光発電の出力は約7万7千キロワット(接続件数約1万5千件)だったが、14年3月末には約16万キロワット(約2万1千件)と倍増。天候によって出力が変化する太陽光発電の電力買い取り増に伴い、電気系統への影響が懸念されるため、新規接続申し込みを一時保留することにした。(佐々木健、長嶺真輝)
大型の太陽光発電、北電の受け入れ能力は4分の1のみ 日本経済新聞 2013/4/18 6:00
北海道電力は17日、売電申請のあった出力2000キロワット以上の太陽光発電所計画の4分の1しか発電電力を受け入れられないと発表した。北電はすでに156万キロワット分の計画を受け付けたが、上限は40万キロワットと初めて公表した。事業者の計画は再考を迫られる。再生エネルギー普及の先端地とし注目を集める北海道だが、容量設備の限界が大きな壁となっている。
3月末までに北電の送電網への接続を申し込んだメガソーラーの事業者は343件。このうち出力2000キロワット以上の計画が87件、156万キロワットあった。ただ北電は送電容量が小さいと指摘されており、内部で数字の精査を進めていた。
北電は固定価格買い取り制度が始まった昨年7月以来、メガソーラー計画を受け付けてきた。制度では発電した電力を買い取る義務があるが、接続できるのは4分の1だけで、残り4分の3は「接続拒否するしかない」(北電)。
建設を始めている案件はほとんどないとみられるが、実際に土地賃借の契約を結んだ事業者がいる可能性がある。北電と契約できなければ計画は再考が求められる。今後、各事業者には説明をする予定という。
経済産業省は昨年12月、北電に受け入れ量の拡大策を検討するよう指示した。
並行して北電の発電所に200億円程度を投じ、世界初の大型蓄電池を設置することが決まった。だが上限値は4万キロワット程度しか上乗せできないとみられる。
道内は土地が広く日射量が多いため、道内外の企業が相次ぎ太陽光発電所の設置を計画していた。経済効果があるため官民挙げて誘致活動をしてきただけに、北電の設備の限界は大きな痛手となる。
北電は今後1件当たりの出力を抑制して、多くの事業者と契約する方針だ。出力を抑える期間が年30日超になった場合、従来は金銭補償が必要だったが、経産省はこのルールを撤廃する。北電と事業者との協議を円滑に進める狙い。
一方、500〜2000キロワット未満の太陽光発電所の受け付けは3月末時点で28.9万キロワット(256件)。2000キロワット以上の受け入れ分を除いた容量は30万キロワットで、問題はないという。
日本経済新聞 電子版 2013年7月19日
4月に大型のメガソーラー(大規模太陽光発電所)からの電力受け入れに制限を設けた北海道電力が、地域によっては中小規模の太陽光発電所からも電力を買えなくなったことが明らかになった。北海道電の設備の容量が小さいうえ、買電を求める太陽光発電事業者が能力以上に集まったため送電網に接続できない地域が出てきた。
太陽光で発電した電力の接続可能量がゼロとなったのは稚内から増毛を結ぶ道北地域、大雪山地域、静内から襟裳岬の地域など広範囲に及ぶ。
北海道電は4月、出力2000キロワット以上のメガソーラーについては計画の4分の1しか電力を購入できないと発表した。今回明らかになった地域では50〜2000キロワット規模の出力の事業者でも接続できない。3月末までに接続協議が終わった事業者に大きな影響はない。
北海道電、再生エネ普及へ高い壁 一部地域での接続「限界」
道内一部地域で北海道電力の送電網への再生エネルギーの接続が限界に達したことで、再生エネ普及への課題が改めて浮き彫りになった。北電は電力需要に合わせて送電網を築いており、人口が少ない地域は送電容量が小さくなる傾向にある。限界に達したのは人口が少なく、送電容量が小さかったり、容量以上に再生エネ事業者の参入が多かった地域だ。
北電は4月、出力2千キロワット以上の大規模太陽光発電所との接続に計40万キロワットの枠を設けた。道東地域は太陽光発電所の適地として注目を集めるが、今後は出力2千キロワット未満の中小型発電所でも売電の接続はできなくなる。枠から漏れた事業者が、出力を落として発電計画を続けようとすることも困難となる可能性がある。
十勝地域の一部も範囲に入り、バイオマス発電が盛んだが時間帯により発電を抑えるよう求められることになりそうだ。
北電は経済産業省の補助により、変電所に世界最大級の蓄電池を設置する計画だが、これは道全体の需給を調整するのが目的。地域送電網の課題は解決しない。