2014年11月20日03時52分 朝日新聞デジタル
福島県内の除染で出た汚染土の中間貯蔵施設をめぐり、30年以内の県外最終処分を明記した改正法が19日、成立した。法制化は、地元が搬入受け入れの前提とした5項目の一つで、望月義夫環境相は「大きな一歩」。だが、政府が目標として掲げる来年1月の搬入開始ができるかは、極めて厳しい状況だ。
改正したのは、有害物質PCB(ポリ塩化ビフェニール)の処理をしている国100%出資の特殊会社「日本環境安全事業」(JESCO)の関連法。中間貯蔵の事業は国の責任で行うとした上で、その監督下で施設の管理運営も担わせる。社名も「中間貯蔵・環境安全事業」と改める。
さらに、「国は中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で最終処分するために必要な措置を講ずる」として、保管した汚染土などを県外に運び出して最終処分することを明記した。
成立後に望月環境相は「(目標とする)1月の搬入開始に努力を続ける」と話したあと、報告のため福島県に向かい内堀雅雄知事を訪ねた。
望月環境相は、同県いわき市で、内堀知事に条文を記した文書を手渡し「この法律は重要な一歩。(汚染土の搬入開始には)あと4項目あり、県や市町村と連絡を取りながら一日も早く取り組んでいきたい」と話した。内堀知事は「5項目のなかでも重要な要素で、早期成立をありがたく思っている」と応じた。
しかし、残る課題は多く、来年1月の搬入開始は相当困難だ。
福島県は9月、政府に対して中間貯蔵施設の建設受け入れを伝えた際、搬入受け入れの条件として5項目を示した。県外最終処分の法制化のほか、中間貯蔵施設などに関する交付金などの予算化▽国による搬入ルートの維持管理と周辺対策▽施設と輸送の安全性▽県および建設地になる大熊町と双葉町との安全協定案の合意。
今回の法案審議の途中でも話題になったが、環境省は「地元と調整中」などと答えるのみだった。今後行われる総選挙で予算審議などの遅れも必至。望月環境相は19日、1月搬入開始が極めて困難だと認めた上で「議員の地位はなくなるが環境大臣は続く。環境省一丸で努力する」と意気込みを語った。
残る4項目に加えて、最後まで残る課題とみられるのが、用地取得だ。
施設の予定地約16平方キロには、2365件の土地の地権者がいる。しかし9月末の段階で、避難先が特定できたのは1269人。現在も連絡先を探す作業を続けているが「何世代にもわたりさかのぼる必要があるなど、どうしても時間がかかる」(担当者)。環境省は、取得できた土地から仮置き場をつくって搬入を開始する考えだが、事実上の借地である地上権設定も含めて、まだ実際に契約に至った例はないという。
今月7日には竹下亘復興相が来年1月の目標に関して、「多分、見直すことになるだろう」と発言。政府内にも見直し論がくすぶっている。(奥村輝、根岸拓朗)
中間貯蔵施設巡る「県外処分」の改正法が成立
2014年11月19日 20時38分 読売新聞
東京電力福島第一原発事故に伴う除染で出た福島県内の汚染土などを保管する「中間貯蔵施設」を巡り、30年以内に施設から汚染土などを運び出して県外処分する規定を盛り込んだ改正日本環境安全事業株式会社法が19日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。
県外処分法制化は、施設の建設受け入れ条件として同県側が求めていた。改正法は施設を運営する同社の根拠法で、「30年以内に県外で最終処分を完了するために必要な措置を講じる」と明記された。望月環境相は19日午後、同県を訪れ、内堀雅雄知事に法改正を報告。内堀知事は「大変ありがたい」と歓迎する意向を示した。
政府は今後、地権者との用地交渉を急ぐ。ただ、登記簿などから判明した地権者約2300人のうち、所在を把握できたのは、まだ約1300人。特定は難航しており、来年1月の搬入開始目標の達成は不透明だ。
(管理人より)
日本の中で最も放射能汚染された県は福島県だということは科学的な事実です。http://savechild.net/archives/14364.html より
にもかかわらずわざわざ放射性廃棄物を福島より汚染の少ない県に拡散させるという法律が作られました。
件名日本環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案 種別法律案(内閣提出) 提出回次 187回提出番号5
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/187/meisai/m18703187005.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/187/pdf/5318750.pdf
(環境委員会)
日本環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案(閣法第五号)(衆議院送付)要旨
福島県においては、放射性物質に汚染された大量の土壌や廃棄物が発生し、直ちに最終処分することは困難であることから、これを安全に集中的に貯蔵・管理する中間貯蔵施設が不可欠であり、国の責任において、この中間貯蔵施設を整備し、管理運営を行うこととしている。
本法律案は、今後、中間貯蔵施設への搬入を開始するに当たって、地元の申入事項等に応えつつ、中間貯蔵を確実かつ適正に実施するため、法律において中間貯蔵施設に関する国の責務を規定し、その中核として「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」旨を明記するとともに、専門性を有し、国と一体となって事業を支援する組織が、中間貯蔵に係る事業を行えるようにする等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一、法律の題名を「中間貯蔵・環境安全事業株式会社法」に変更する。
二、国は、中間貯蔵及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理の確実かつ適正な実施の確保を図るため、万全の措置を講ずるものとし、特に、中間貯蔵施設を整備し、及びその安全を確保するとともに、当該施設の周辺の地域の住民その他の関係者の理解と協力を得るために必要な措置を講ずるほか、中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるものとする。
三、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(以下「会社」という。)の事業に、国、福島県、福島県内の市町村その他環境省令で定める者の委託を受けて、中間貯蔵を行うこと、並びに福島県内除去土壌等の収集及び運搬を行うこと等を追加する。
四、政府は、会社が中間貯蔵に係る事業又はポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係る事業を営む間、会社の発行済株式の総数を保有していなければならないものとする。
五、その他の措置として、政府の追加出資、区分経理の導入等所要の規定の整備を行う。
六、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/187/187-1119-v012.htm
自民、民主、公明、維新など全員賛成。
反対した議員だけここに抜粋します。
みんなの党( 12名) 賛成票 0 反対票 12 反対 反対 反対 ● 井上 義行 ● 行田 邦子 ● 田中 茂 ● 中西 健治 ● 松沢 成文 ● 松田 公太 ● 水野 賢一 ● 薬師寺みちよ ● 山口 和之 ● 山田 太郎 ● 和田 政宗 ● 渡辺美知太郎日本共産党( 11名) 賛成票 0 反対票 11 反対 反対 反対 ● 井上 哲士 ● 市田 忠義 ● 紙 智子 ● 吉良 よし子 ● 倉林 明子 ● 小池 晃 ● 田村 智子 ● 大門 実紀史 ● 辰已 孝太郎 ● 仁比 聡平 ● 山下 芳生
社会民主党・護憲連合( 3名) 賛成票 0 反対票 3 反対 反対 反対 ● 福島 みずほ ● 又市 征治 ● 吉田 忠智
各派に属しない議員( 4名) 反対票 2 反対 ● 糸数 慶子 ● 山本 太郎
※一応参考までに載せました。 この反対議員の全てが「自然エネルギー推進」というおかしさに気付いて欲しい。自然エネ推進が放射性物質の拡散に結びつき、原発を温存させることになぜ気づかないのでしょうか?
完全に「放射性物質の集中管理」とは真逆の方向に向かっています。
根拠法が作られたということは、「合法です」と言って、堂々と県外に拡散できるわけです。震災がれき広域処理の時もそうでした。
このパターンを作られてしまうことに市民は気づかなければなりません。
~法改正案⇒閣議決定⇒~法改正成立⇒根拠法ができたので合法だとしてゴリ押し
最終処分地が一箇所とは限りません。がれき広域処理のときのように、環境省がマッチングをするかもしれませんから、金目で手を挙げる自治体もいるかもしれません。
環境省に放射性物質関連を扱う権限を集中させることもこのパターンでやられています。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16574
http://www.env.go.jp/air/rmcm/conf_cm/01/mat03.pdf
権限が環境省に集中され、放射性廃棄物が国の事業として今後、全国にゴリ押しされるということになります。
国⇒JESCO⇒自治体・産廃企業
日本中が二次被曝させられるシステムがどんどん作られていきます。当然、安全な農作物が作れる食糧生産地も消滅していくことを意味します。
JESCOの事業所は関与しないといいながらも、実際には先のことまではわかりません。
http://www.jesconet.co.jp/company/pdf/prelease141119.pdf
それから除染廃棄物中間貯蔵施設について次のような論調で語る市民がいますが、それは完全に誤りです。
「永久貯蔵というと地元が怒るから30年先に県外処分と言っている、実際には揉めるので先送り」
震災がれき広域処理とPCB廃棄物処理を概観すれば上の考えが謝りだとはっきりとわかります。
法改正し、根拠法を作ったのはそこに利権があるからです。儲かる企業との癒着があるからこそ閣議決定するのです。ひっくり返せないようにする。
「選挙のタイミングで県外最終処分法廃案もありうる」というニュースが11/12頃流れていましたが、
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/11/post_11005.html
そんなアホな報道を丸のみして、まるで朗報みたいにツイッターのタイムラインに流している人が結構いました。
結果、11/19に県外最終処分法は、さっさときっちり成立。廃案になんかなるわけないのです!
放射性廃棄物の利権はもうすでにグローバル化してることを当ブログでも伝えてきたのに。 努力も虚しい!
2013年にJESCOが除染廃棄物の中間貯蔵施設建設をすることが決まってた?英の核廃棄物企業のサイトから
福島除染廃棄物の中間貯蔵施設問題。JESCOと英の核廃棄物管理委員会は2012年に情報交換していた事実。
除染廃棄物の県外最終処分は今後どうなるか。「政府を上げて全力で取り組む」⇒ゴリ押しするということ
さらに塩谷町の指定廃棄物最終処分場の反対運動が大きくニュースで取り上げられることで、ますます混乱させられています。
西日本の食料生産地を守る、放射性物質の集中管理をするという運動がおかしな方向へ誘導されているのがわかります。
塩谷町も西日本から比べたら猛烈な放射能汚染地域です。5桁も違うのです。その地域の指定廃棄物まで福島中間貯蔵施設に入れられたら、結局全国に拡散する量が増えるだけ。
栃木県塩谷町の指定廃棄物の見解。 福島の中間貯蔵施設に⇒県外最終処分に 集中管理と矛盾する一文
放射性物質の集中管理に関して世論がどうしてこんな変な方向性になるのか、よく考えなければなりません。
まず下の8つの日本地図をどうぞ。「~が思ってる汚染範囲」は~の地域の人の主観です。
まず集中管理を言うなら、実際には、長野県以西と北海道(上の放射能汚染の日本地図の赤文字で2桁以下のところ)に、福島の除染廃棄物や指定廃棄物を移動させては絶対にいけないはずです。
日本全体の事を考えると最も妥当なのは、一番汚染した県に無人エリアを作り、そこに最終処分場を作るということです。
それが集中管理です。そのエリア周辺に人が住んでいるかいないかはここでは言及しません。本当は移住しなければならないのですから。
塩谷町が思ってる汚染範囲の認識は以下かもしれません。福島の中間貯蔵施設に集中管理を求めるのなら、JESCO法改正にも同時に反対し、西日本に最終処分場を作ってはいけない、中間貯蔵施設を最終処分場にすべきだという内容の運動になっていなければおかしいのです。
県外最終処分法が成立した今、もはや塩谷町の運動は「集中管理を求める運動とは言えない」と私は思います。
中間貯蔵施設も、最終処分場もゼネコン仕事の巨大公共工事です。
作るのを最終処分場一つにすれば、血税をゼネコンに余分にばらまかなくてもすむのに・・・1000兆円の借金だらけの国のやることではありません。
何個も放射性廃棄物処分施設を新設するのは建設企業などの利権、さらに廃棄物企業の利権なのです。
30年以内に環境中に放射性物質をばらまく「実証実験」を繰り返し、税金を産廃企業に垂れ流す。全国で毒物リサイクルの道筋を作る。
除染技術実証事業の中身に驚愕!すでに福島県以外の企業でも除染土壌処理実験が行われていたという事実。さらに県外で最終処分場を新設するとして、放射性廃棄物利権を巨大化させる。
日本はこれから二次汚染、追加被爆、食べ物の汚染が避けられないという状況に法律を作って追い込まれていきます。
その法律を決めてるのは、大企業(財閥)と官僚に操られた、愚かな国会議員たち。どこまでも甘い汁を吸おうとする強欲議員。
これからは小さな生活者の視点と、国と企業の動きを概観する大きな視点で公害原因物質(放射能、重金属、化学物質)を捉えながら、市民がそれををどう食い止めるかにかかっていると私は思います。
ほとんどの人が「汚染はたいしたことない」もしくは「汚染はもう仕方ない」と思い込まされています。
だから自然エネルギーが汚染を拡散し、原発を温存している構造に気づくことができないし、その事実を真正面から見ようとしないのです。
市民一人ひとりが調査・考察することは大事です。
「ネット市民の妄想」と言われないように、頑張って調べていくことが大事です。
マスコミ記者だって提灯記事や誤報を書きまくるし、有名人や、有名環境NPOに任せておけば良いということもありません。間違ってることがあるからです。