(管理人より)
タンクローリーの事故が相次いでいますのでブログで取り上げたいと思います。
危険物、毒物、劇物の表示があるタンクローリーは、少し遠出すると高速道路などで必ず出くわします。車間距離をあけて、早く離れようと努力していますが毎回恐ろしいなと思いながら車体を見ています。
そのタンクローリーの事故が4月からすでに3回起きています。静岡、岐阜、京都の3箇所。
時系列で見ていきます。
タンクローリー横転 富士宮の国道52号
(2015/4/17 12:00) 静岡新聞
17日午前5時10分ごろ、富士宮市内房の国道52号で、静岡市清水区の運輸会社のタンクローリーが横転、対向車線側のガードレールと電柱をなぎ倒し、斜面に落下した。男性運転手が車内に取り残され、富士宮市消防本部と富士宮署が救助と身元確認を急いでいる。
同署によると、タンクローリーはガソリンと灯油、軽油計1万8千リットルを積載し、静岡から山梨方面に向かっていた。車体は転覆した状態で止まった。事故の影響で灯油の一部が漏れ出したという。
現場は新東名新清水インターチェンジの北約4キロで、片側1車線の左カーブ。現場付近の上下線は通行止めになった。同署が事故原因を調べている。
運転手死亡 富士宮のタンクローリー転落事故
(2015/4/18 06:51) 静岡新聞
富士宮市内房の国道52号で17日早朝、タンクローリーが車道沿いの斜面に転落した事故で、富士宮署は同日、運転手の身元を静岡市葵区川合の男性(42)と特定した。男性は頭を強く打って死亡した。タンクから大量の石油が漏れ出し、近くを流れる内房境川にも影響が出た。
富士宮市消防本部によると、灯油とガソリン計1万4千リットルが流出したという。河川を管理する県と国はオイルフェンスと吸着マットを使って除去作業を行っている。
内房境川は富士川支流の1級河川で、渓流釣りのスポット。長谷川三男芝川観光漁協組合長は「生態系にどのような影響が出るか心配だ」と話した。
タンクローリー横転“ガソリン約6000リットル”流出
テレビ朝日 6月6日(土)11時49分
岐阜県関市で6日朝、タンクローリーが横転し、積んでいたガソリンの一部約6000リットルが流出しました。付近の住民に避難の指示が出ています。
警察によりますと、午前5時半ごろ、関市の交差点で右折をしようとしたタンクローリーが横転し、積んでいたガソリン1万4000リットルのうち約6000リットルが流出しました。
この影響で、付近の道路が通行止めになっています。また、消防は引火の恐れがあるとして、付近の住民に避難指示を出しました。
ガソリンの一部は近くを流れる川に流れ込んでいて、消防がオイルフェンスや土嚢(どのう)を使って川への流入を防ぐ作業にあたっています。
ニュース動画は消されてしまう可能性があるので早めに見ていただけたらと思います。
政府が進めるエネルギーミックス政策はこういった危険物を積んだタンクローリーの移動を増やすのではないかと懸念していました。
日本中で危険なものを運ぶ機会が増えるということです。こういった危険物を運ぶ車は、ひとたび事故を起こせば、必ず環境中に毒物を撒き散らすことになります。
運転手が亡くなる可能性も高い。
事故のあった富士宮市HPのお知らせ欄に事故のことが出ていません。トップページが焼きそば・・・って???
富士宮市HPで「タンクローリー」で検索して出てきたのはこれだけ 交通死亡事故速報
静岡県のHPで「タンクローリー」で検索しても関連はこれしかありませんでした。山梨県境における危険物運搬車両の横転事故について
自治体はたった2枚のPDFを出して、幕引きですか?・・・ オイルフェンス設置までしか書いていません。静岡新聞も続報なし。
家庭の台所でも、たとえ天ぷら油をスプーン1杯こぼしても、拭きとり作業は厄介です。 ずっとベタベタしています。
だとすると1万4000リットルの油が川に流出というのは、大惨事なのでは?!
結局、静岡で1万4000リットル、さらに岐阜で6000リットルも流出し川に流れたわけです。 運転手は一人亡くなりました。
運転ミスだけの問題ではないと思います。タンクローリーの事故で人命も失われ、環境も汚染したわけです。
河川油流出事故の実態 より 一部引用
2.河川油流出事故対策の遅れ
河川での油流出事故は、規模の大小はありますが、その数は驚くべき数字に上ります。それにもかかわらず、流出油処理資材・処理業務者、またその関係行政機関等で話題となり、
資材研究が行われ取りざたされるのはナホトカ号事故に代表される「海洋汚濁」の方です。その原因として、
流出量の規模が大きいこと (ナホトカ号事故では約1万キロリットル) 潮流、風、波等により、その拡散範囲が膨大なものになる そのため、自然破壊、漁業への影響、水鳥・水生生物への影響が計り知れない事 回収業務も大規模であり、なおかつ完全回収は不可能である事などが挙げられます。この為、海洋のそれに比べ、河川での事故対策は格段に遅れています。処理対策、事故発生時の処理マニュアルも無く、石油類を扱う業者にも、万一の漏油に備えての設備、処理資材備蓄、保険加入は義務づけられていないのが現状です。そしてなによりも、事故処理の経験を積んだ専門家がいないという問題があります。
しかし、河川で重油1万Lの流出は、処理費用平均数億円(油除去作業、漁業補償、発電ダム、飲料水取水制限など)と言われており、紛れもない大事故です。また、消防署の調査によると一つの一級河川周辺の貯油量の合計はゆうにナホトカ号事故の流出量を上回るのです。しかも、河川事故は、直接私たちの飲料水を犯しかねません。そのような危機管理体制の遅れが、計り知れない悲劇につながるのです。
4.油処理の代償
現在、流出油の回収は水面のオイルを集めるオイフェンスとオイルを吸着するオイルマットの併用が主流です。フェンスで抱え込んだ油の中に、毎回莫大な量のマットが放り込まれます。しかし、流れの速い河川では、果たしてこのオイルマットは効果的にオイルを回収することが出来るのでしょうか。
そう疑問を抱き、弊社は独自に流速の調節できる人口河川を制作、各社各種のオイルマットの油吸着実験を行いました。その結果、静水中ではよく油を吸収するマットでも、いったん僅かでも流速を持たせると、その吸着量は極端に低下し、また水面の薄い油膜ではほとんど吸着しないという事実が分かりました。
加えて、マットはポリプロピレンという高分子化学物質で作られており、その焼却処分には、吸着した油分が出すよりも遙かに多い煙を出します。結果的に空気汚染という大きな代償を払わなくてはならないのです。また、焼却費用もマットを購入する価格より高くついてしまいます。
川を油で汚すというのは取り返しのつかない汚染です。油を吸着させたものを燃やすと今度は大気汚染 鉛の汚染も気になります。
京都新聞 2015年06月10日 12時10分
10日午前5時すぎ、京都市伏見区桃山町因幡の府道で、福井県越前町の会社員男性(50)の大型トラックが、塩酸を積んだ大阪府岸和田市の会社員男性(39)のタンクローリーに追突した。タンクローリーの後部が破損し、約2時間半にわたって大量の塩酸が漏れ出した。市消防局は現場から半径100メートル以内を一時、警戒区域に設定し、屋内退避を呼び掛けた。
現場近くにいた伏見区の男性(36)が左手のしびれなどを訴え病院に運ばれた。京都市教育委員会によると、桃山中の生徒14人が頭痛や目の痛みなどの体調不良を訴えているという。
伏見署や市消防局によると府道沿いのコンビニ駐車場に入ろうとしたタンクローリーの左後方部に大型トラックが衝突したという。運転手2人にけがはなかった。積載されていた塩酸8800リットルのうち6500リットルが流出したとみられる。
市教委によると、現場から北西約500メートルの桃山東小と南約700メートルの桃山南小の2校が全校児童を自宅待機とし、授業開始を遅らせた。近くの複数の幼稚園が臨時休園となった。塩酸除去など事故処理のため、府道が一時、全面通行止めになり、京阪電鉄宇治線の上下線計6本で最大10分遅れる影響が出た。
路上に塩酸6500リットル流出 タンクローリーにトラック追突
産経新聞 6月10日(水)11時8分
10日午前5時5分ごろ、京都市伏見区桃山町因幡の府道で、大型トラックがタンクローリーに追突。タンクローリーに積んでいた大量の塩酸が流出した。京都市消防局によると、約6500リットルの塩酸が流れ出たとみられ、揮発した塩酸が付近に広がり、近くに住む30代の男性が気分不良を訴えて搬送されたが軽症とみられる。京都府警伏見署が事故原因を調べている。
同署によると、現場付近のコンビニに進入しようとしていたタンクローリーにトラックが衝突したとみられる。
現場は京阪電鉄六地蔵駅から北西約300メートルの片側1車線の道路。付近には揮発した塩酸による刺激臭が広がり、消防隊が周辺住民に向け「窓を閉めて、外出を控えるように」などと呼びかけた。消防隊は流出する塩酸をせき止めるため土嚢(どのう)を積むなど、対処に追われていた。
京都市教委によると、事故の影響を受け、周辺小中学校3校が安全確認ができるまで登校を見合わせる措置を取った。
事故でタンクローリーの塩酸漏れ出す 京都 6月10日 9時07分 10日朝、京都市伏見区で、塩酸を積んだタンクローリーに大型トラックが追突し、およそ6.5トンの塩酸が漏れ出しました。この事故で、住民1人が気分が悪いと訴えたほか、近くの中学校の生徒が登校後に目の痛みなどを訴えましたが、いずれも症状は軽いということです。 10日午前5時ごろ、京都市伏見区桃山町因幡の府道でおよそ8.5トンの塩酸を積んだタンクローリーに大型トラックが追突しました。この事故で、タンクローリーの後ろにある排水管が壊れて、およそ1時間半の間に6.5トンの塩酸が漏れ出し、消防がタンクローリーを近くのコンビニエンスストアの駐車場に移動させて放水を行いました。
事故のあと、現場近くに住む36歳の男性が「気分が悪い」と訴えたほか、近くの中学校の生徒14人が登校後に息苦しさや目の痛みなどを訴え、このうち11人が早退したということです。
いずれも症状は軽いということです。また、現場近くの幼稚園のなかには休園の措置を取ったところもありました。塩酸の一部は、側溝を通じて近くの山科川に流れ出たとみられ、国土交通省淀川河川事務所が水質に影響がないか調べています。
そして今日は京都で6500リットルもの塩酸が流出。 通学時間帯だったため子どもにも被害が及んでいます。
「近くの中学校の生徒14人が登校後に息苦しさや目の痛みなどを訴え、このうち11人が早退した」そうです。
塩酸の危険性 より 摂取 - 消化器を激しく侵し、致命的になりうる。 吸入 - 塩化水素に準じ、人体に有毒。多量に吸入した場合、肺水腫などを引き起こし、死に至る。 皮膚 - 腐食性があるので、化学熱傷の原因となる。 目 - 角膜溶解、角膜白濁、角膜上皮の激しい損傷を起こし、眼球穿孔や失明の危険がある。分類の名称 : 急性毒性物質、腐食性物質 環境影響 : 酸性溶液である為、水棲生物に対して有害な影響を及ぼす可能性がある。 有害性 : 眼、皮膚、気道に対して刺激性を有し、高濃度のガスを吸入すると、肺水腫を起こすことがある。これらの影響は遅れて現れる事がある。この物質は肺に影響を与え、慢性気管支炎を生じることがある。また歯を侵食する事がある。 物理的及び化学的危険性 : この水溶液は強酸であり、塩基と激しく反応し、腐食性を示す。酸化剤と激しく反応し、有毒なガス(塩素)を生成する。空気に触れると腐食性のフューム(塩酸)を発生する。多くの金属を侵して可燃性ガス(水素)を生成することが多くある。
タンクローリーの車体に書かれた文字からこの会社ではないかと思われます。 株式会社大晃運送
タンクローリー自体が安全運転していても、今回のように突っ込んでこられたら、結果的に同じことです。
京都の山科川は 山科川⇒宇治川⇒淀川⇒枚方の水道取水口となって 結局 また大阪府民の口に入るのではないでしょうか? 3月には工場から宇治川にシャンプーの原液が流れ込む事故もあったばかり。ブログにも書きました。↓
1万7千リットルものシャンプーの原液が宇治川に流出!生態系に影響がないはずがない!水を汚すな!まあ、晩発性の影響については、無視する国ですから、メディアも続報を出しませんし、行政のHPにも出ません。
「続報出ない=安全」ではないということは、私たちは原発事故で思い知ったはずですが、無関心な市民ばかり。
「気にすると住めない」と「安全バイアス」がかかってしまうんでしょう。見て見ぬふり。
タンクローリーが通学路のすぐそばを通ることはあります。私は、うちの子が小学校一年生の時、同じクラスの子が大型車両に轢かれそうになったところを、道路脇に抱えて逃げ込んだことがあります。どうにか間に合って良かったのですが、子どもは恐ろしいと気づかず平気で車の近くによっていくし、横断歩道も渡ろうとします。今でもあの時のことを思い出すとぞっとします。
「産業道路」という通称名の道路でしたので(それもまあ恐ろしい名前ですが)トラックもタンクローリーもしょっちゅう通学路の脇を通っています。
住んでる人は企業城下町なので気にもしていません。ε=(・д・`*)ハァ…
タンクローリーの移動する数が増えるということは、それだけ住民にリスクが増すということ。
タンクローリーのルートを変えればいいという話にすり替える人がいますが、根本的な解決になっていません。毒物を貯蔵しているタンクが増えるということです。
ここを読むと、タンクローリーが増えていることがわかります。↓
タンク・倉庫とも高い引き続き高い稼働率を維持、人手不足感も タンクコンテナによる輸入など「小口化」が進展、洗浄デポも活況
■ドライバー、作業員の人手不足感がじわりと浸透
物流業界で徐々に深刻さが増しているドライバーなどの人手不足は、危険物の輸送現場でもじわりと浸透しつつあるようだ。あるタンクターミナル会社では「ドライバーの不足感が増してきているほか、作業員の確保にも苦労している」と語る。このほか、「ローリーなどの協力会社ではドライバー不足となっている場合も多い」「倉庫内作業員については他産業との人手の取り合い感はある。危険品を間違いなく扱える現在作業員は貴重な人材であり、各社とも育成体制や待遇などを配慮して囲い込みを図っている」という声もある。
一方、特積み業界では一部で化学品の受注制限が進んでいるとも言われる。「従来、1伝票でドラム7~8本運べていたが、最近は5本程度に制限され、危険物の輸送キャパが減ってきている」という報告もある。こうした流れを受けて、特積み事業者が敬遠しがちな危険物や毒劇物専用の積合せ便を事業化する動きも出始めている。
■輸入などでタンクコンテナの活用が拡大タンクターミナル業界では、「大型化」と「小口化」双方の動きが進行している。タンクを大型化する動きがある一方、ISOタンクコンテナでの輸入増加(=小口化)を受け、タンクターミナルや危険物倉庫などの各企業では設備面で対応を強化している。
まず、大型化の背景には、タンク需給のタイト感が高まっていることがある。京浜地区で大手商社系タンクターミナルが閉鎖したことで、キャパシティが縮小。こうしたタイト感は全国にも波及している。さらに、石油化学プラントの生産を増やしている中東、シェールガス・オイルの生産を拡大する米国からの輸入増をにらみ、ケミカルタンクを大型化する動きもあるようだ。
一方、小型化・小ロット化が進む背景にはタンクコンテナによる輸送拡大がある。輸出では、日本国内で生産される商品はファインケミカルをはじめとする高付加価値、高単価商品の割合が高くなっていることから、タンカーによる大量輸送からタンクコンテナのような小口での輸送が拡大している。
一方、輸入では韓国・ウルサンのタンクターミナルを経由したISOタンクコンテナでの輸入が増えており、日本側ではタンクターミナル構内に受け入れ基地を整備する動きが増えている。海外からの輸入増加に対応して、国内ストック需要が増しているという構図だ。その一環から「マルチワークステーション」と呼ばれる詰め替え施設等の整備が進んでおり、こうした詰め替え(荷姿変更)需要を取り込む動きが活発化している。
また、燃料用タンクのケミカルタンクへの改造も目立っている。重油、軽油の需要減に対応し、需要増に応えるためケミカルタンクへと改造するケースがみられる。
このほか、タンクコンテナの活用が増えたことで、コンテナ洗浄デポに参入する動きも活発になっている。13年にはニヤクコーポレーション、今年に入って鈴与といった大手事業者も参入しており、このほかにも参入を検討している企業があるようだ。
さらに、ISOタンクコンテナのリース市場でも競争激化が目立っている。タンク購入価格が低いため、リースよりも購入を選択する荷主が増えており、特に汎用コンテナではその傾向が顕著だという。このため、特殊タンク市場にも既存のリース、オペレーターが参入し、その煽りで競争が激化しているようだ。
■危険物倉庫は内陸部、臨海エリアとの高い稼働率を維持昨年から今年にかけて、関東地区では危険物倉庫の新増設が目立った。14年は内陸型の「一般倉庫併設型」の危険物倉庫の竣工が相次ぎ、内陸エリアにおける旺盛な危険物保管需要が浮き彫りになった。具体的には、日本ロジステック「千葉センター」、愛宕倉庫「前橋事業所」、トーエイ物流「白岡物流センター」で一般倉庫に併設された危険物倉庫が稼働した。
一方、臨海エリア京浜地区で注目されたのは、今年1月に川崎市の浮島地区に竣工した丸一海運・東京化学品センター。危険物混載のパイオニアである同社が、ついに京浜地区の自社拠点(普通品倉庫と危険物倉庫の併設拠点)を設けたことが業界でも注目された。ただ、近年、横浜市鶴見区大黒町で危険物倉庫の新増設が続いたことも背景にあるのか、京浜地区の一部の倉庫で「保管量の単価が下がっている」という声もある。しかし、需要自体は旺盛で、各倉庫とも高い稼働率を維持しているようだ。
カーゴニュース 5月28日号
タンクコンテナという形で貯めておくわけですね。
積載式移動タンク貯蔵所(ISOコンテナ)とは 総務省消防庁よりhttp://www.fdma.go.jp/html/data/tuchi1304/130409kiho50.htm
小口での輸送が拡大していると書いてあります。危険物輸送のドライバーも足りない。つまり無理して働く事になるから、事故が増えるというわけです。
さらにこれから先、再生可能エネルギーが国策化していますので、電気自動車や燃料電池車が普及することになります。そうなれば液化水素を運搬するといった業務も発生することになります。
再エネに伴う工業製品が、日本中の工場で生産されますから、燃料だけでなくケミカルタンクも増えるでしょう。
ここを見ると↓ 水素を運ぶタンクローリーも増えるということがわかります
水素輸送のさまざまな形態を開発してきたイワタニ~輸送の合理化とシステム化で、大量供給を実現~ より抜粋
水素を輸送するための媒体としては、高圧水素ガスのほかに液化水素、金属水素化物などが考えられます。高圧水素ガスの次に、より効率的な輸送方法として当社が目を向けたのが、液化水素による輸送・貯蔵法でした。
水素をガス体で大量に輸送するには、約20MPaの高い圧力に耐えることができる大型のボンベを束ねたトレーラーに水素ガスを加圧充填して輸送することが一般的です。この場合、車両の大きさや重さから約3,000Sm3を一度に運ぶことが限界です。しかし、液化水素で輸送すると、液化された水素を凝縮するため飛躍的に輸送効率が上昇します。圧縮水素トレーラーと比べて最大約12倍の水素ガスを一度に運ぶことが可能となります。 水素はマイナス253℃(20.4K)で液体になります。高圧の水素ガスと違って、極低温の物性をもつ液化水素の輸送・貯蔵上、最も大きな問題となるのは、いかに運搬容器の断熱性能を高め、気化による損失・拡散を防ぐかです。
事故した場合の危険度がどうなのか書いていないってどういうことでしょうか?効率が良くなる分、1台が事故を起こした時の危険度は上がるのではないでしょうか?
液体水素
可燃性水素は純粋な状態では発火しにくいが、酸素と混ぜた場合容易に発火するため、危険度の点ではガソリンとそれほど変わらない。ガソリンの代替燃料とは成り得るが、燃料電池に用いられる灯油や携帯機器のバッテリーに利用するためには十分な安全対策が必要とされる。
液体で貯める方法水素を液体にすると、気体の状態の1/800の体積になります。そこで液体の状態で搭載してしまおうというのが、液体タンクの考え方です。そうすると、同じ大きさの容器の中に、気体の状態で搭載するよりたくさんの量を貯めることができます。
ただし気体を液体の状態にするには超低温に冷やさねばならず、水素の場合はマイナス253度です。そこまで冷やすだけでもものすごいエネルギーが必要になる上に、その状態を保つのもたいへんです。タンク内の温度が上がるとどんどん気体になっていきます(この現象を「ボイルオフ」と呼びます)から、断熱が万全でないと、タンクが爆発する恐れもあります。
断熱が万全でないと、タンクが爆発する恐れ
これから産廃トラックだけでなく、タンクローリーにも注意が必要だということで、きょうはここまで。
追記 ブログを読んだ方から
「放射能汚染廃棄物の産業利用が始まって以降、タンクローリー車自体の稼働がものすごく増えています。
燃料としてのガスや石油製品を運ぶものも増えているし、廃液を運ぶものもとても増えている。車の後部に積み荷が書いてあります。
「危」マークを紙に書いてガムテープで荷台に張って輸送しているトラックも見かけます。本業は別なのでしょう。
今後も日本全体で交通事故は確実に増えていくはずです。」
工業生産が増えれば増えるほど、最後には始末に負えない廃液が出ます。
そういう廃液を運ぶタンクローリーが、どんどん街中を走って人々を危険にさらし、田舎道を走って事故をして川や田畑を汚すのが私たちの近未来。
工業生産の上流を止めることを市民が考えなければどうしようもないところまで来ています。