http://www.asahi.com/articles/ASH853FCPH85TZNB008.html より
爆発でアスベストが飛散か 山口の工場火災で
2015.8.7 13:50 産経
山口県山陽小野田市の「中国アセチレン」の小野田工場で5日に起きた爆発火災事故で、同社は7日、工場内の多数のガスボンベが破裂し、ボンベに含まれるアスベスト(石綿)が飛び散ったとみられると発表し、謝罪した。飛散量は最大約120キロの可能性があるという。同県宇部市の本社で記者会見した。
同社によると、工場周辺で確認された白い固形物から基準値を下回るアスベストが確認された。工場から約100メートルの場所でも同様の白い固形物が見つかっている。
工場では爆発の危険性があるガス「アセチレン」を製造。約1200本のガスボンベがあり、うち約100本が破裂した。アスベストはガスボンベの強度を保つために使用されたとみられ、大半のものに含まれている。
同社は周辺住民に、降灰にアスベストが含まれている可能性があるとして、触れないように注意を呼び掛け、回収作業を進めている。
爆発火災の原因については、工場内の静電気が火元となった可能性があるとの見方を示した。
爆発ボンベにアスベスト、周辺に飛散か 山口のガス工場
朝日新聞デジタル 2015年8月7日14時30分
山口県山陽小野田市の中国アセチレン小野田工場で起きたガスボンベの爆発事故で、同社は7日、このボンベにアスベスト(石綿)が含まれていたことを明らかにした。周辺の空気中の濃度測定検査では、基準値以下だったという。
同工場では5日、火災でアセチレンガスのボンベに引火し、次々と爆発する事故が発生。同社によると、この事故で約100本のボンベが爆発、うち8割程度のボンベ内に石綿が含まれていた可能性がある。
同社が調査した結果、工場敷地の南約100メートルの地点で、石綿を含む白い固形物を発見した。山口県宇部市の健康福祉センターが6日に工場周辺で実施した検査では、空気1リットル中の石綿濃度は大気汚染防止法の基準を下回ったという。
同社は7日の記者会見で「直ちに健康への影響はないということだが、周辺施設へ飛散している可能性もあり、全力を挙げて回収していく」と話した。
山陽小野田・ガス工場爆発でアスベスト飛散
2015年8月7日 20:01 TYS
おととい、山陽小野田市のガス製造工場で爆発が起き1人がやけどをした事故で、健康に害のある石綿のアスベストが大量に飛散していたことが分かりました。中国アセチレンが会見で明らかにしました。この事故は、山陽小野田市にある中国アセチレンの工場で火災が発生して爆発が起き、従業員の34歳の男性が顔などにやけどをしたものです。中国アセチレンによりますと、重さが53キロのボンベおよそ100本が爆発し、工場の敷地内や周辺に飛び散りました。8割のボンベには、充填するガスを溶け込ませるためにアスベストが使われているということです。アスベストは、吸い込むと肺がんや悪性中皮腫の原因になるとされます。最大で120キロが飛び散った可能性があり、100メートル離れたところからも見つかったということです。中国アセチレンではアスベストの回収を進めていますが、白い粉や固形物を見つけた場合は触らずに、中国アセチレンや警察などに連絡するよう呼びかけています。また、現在、事故現場では可燃性物質を取り除く作業をしているため、本格的に調査を始めるのは1か月近く先になる見通しです。
(管理人より)
ガスボンベにアスベストが使われていて、それが爆発で飛散していたことがわかりました。
山口県山陽小野田市 中国アセチレン工場で爆発炎上 溶接などに使われるアセチレンガスを製造この記事にも書いてありますが、爆発当日のニュースではなぜか「ガスに毒性はない」と言い切った報道がなされていました。アスベストは公害原因物質で、毒物です。
【30年後】子どもに曝露後何年もたってから大きな被害をもたらすアスベスト~原因は強力α線被ばく【死亡】企業も自治体も消防もアスベストのことは爆発時点で知ってたはずなのに今日になって報道。アスベスト飛散のことを爆発「直後」に周辺住民に伝えたのでしょうか?
アスベストが飛び散ったしばらく後で伝えられても、もう外で吸い込んでしまってるかもしれません。 爆発直後に分かれば洗濯物とり込んだり、室内退避、マスクなどしたかもしれません。
「直ちに健康への影響はない」なんて会見は、福島原発事故の時と同じ。晩発性の健康被害を隠蔽する言い回し。
追記)アスベスト対応マスク
アス対応マスク (簡易マスクでアスは防げない) よりアスベストは湿った状態で地面にあるうちはさほど問題ではありませんが、乾燥して細かくなって空中に飛散してしまうと、花粉などより遙かに粒子が微細で花粉用の簡易マスクではアスベストの侵入を防げません。アスベストに対応しているマスクは「使い捨てタイプ」の物であっても「粉塵・防塵」という表記の他に「性能表示」の記載があるはずです。
本当はこういうマスクを周囲にすぐ配るべきではなかったのでしょうか??
追記) 宇部日報をアップします。 周辺住民に知らされたのは8/6の夕方になってから。対応が遅いと言わざるを得ません。
どうしてもっと早く知らせなかったのでしょうか?
5日朝 爆発火災
6日夕 周辺に広報車 「白い固形物があったら触らずに通報して」
7日 周辺住民にチラシ
TYSの夜のニュースを追記しました。なんと、本格的調査は一ヶ月先ですと!
ボンベにアスベストが使われていたことも知りませんでしたが、検索していて驚きました。
アセチレンガスのボンベのアスベストは問題化してたんですね、ずいぶん前から。
今から10年前の平成17年に日本産業ガス協会から厚生労働省に以下のような文書が出されています。
石綿含有製品の代替化の一層の促進についての報告 平成17年9月15日 日本産業ガス協会
「 固形マスにクリソタイルを使用」と書いてあります。
溶解アセチレンの特性 より
アセチレンガスは、酸素等の助燃性物質がなくても、加圧下では自己分解を起こして多量の熱を発生する活性に富んだガスですが、工業的には、アセトンまたはDMF(ジメチルフォルムアミド)を浸透させた多孔質の固形マスを詰めた容器に圧縮され、充填されています。仮に気相で分解爆発が起こっても、「溶解」された液相のガスにまでは伝わらないという、極めて高い安全性を確保した状態で流通・消費されています。
石綿(アスベスト)の性質
アスベストは、天然にできた鉱物繊維で、石綿(いしわた・せきめん)とも呼ばれています。耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性等の特性に優れ安価であるため、建設資材、電気製品、自動車、家庭用品等、様々な用途に広く使用されてきました。
しかし、空気中に飛散した石綿繊維を肺に吸入すると約20年から40年の潜伏期間を経た後に肺がんや中皮腫の病気を引き起こす確率が高いため、以前は ビル等の建築工事において、耐火被覆の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、こうした使用は1975年に原則禁止されました。
その後も、スレート材、ブレーキライニングなどで一部使用されていましたが、現在では、原則として製造・使用が禁止されています。
石綿(アスベスト)の種類
アスベストは大きく分けて蛇紋石系と角閃石系に分けられます。綿のように柔らかい蛇紋石系クリソタイル(白石綿)は比較的毒性が弱く、一部の用途に限っては2006年まで使用が認められていましたが、2008年までには全面禁止される予定です。角閃石系クロシドライト(青石綿) は最も毒性が強いとされ、1995年から製造も使用も禁止されています。
蛇紋石系serpentines クリソタイル(白石綿)
chrisotile Mg3Si2O5(OH)4
「比較的毒性が弱く」なんて書いてあっても、アセチレンボンベに入ってるクリソタイルは毒物ですからね。吸い込んでから何年も経って病気になるのです。
今回の爆発事故でアスベストが飛散した地域がどの程度かわかりませんが、吸い込んだり環境中に落ちたものが風で再飛散し、吸い込むこともあるでしょう。
工場周辺に学校もあります。それなのに山陽小野田市はそれでも、HPに何も事故に関して載せていません。 市民の命や環境よりも企業が大事なのでしょうか。
山陽小野田市は硫酸町やセメント町なんていう地名があるほどの企業城下町。
どんなに空気が臭かろうが、毒物が風で舞っていようが、声を上げる市民はいないのでしょう。
2008年に岩谷産業のHPにこういう文章があります。
アセチレンは分子式C2H2で、分子内に3重結合を持つ不飽和炭化水素であり、反応性が大きく極めて不安定な物質です。このため、酸素や窒素のように圧縮ガスとして充填すると、わずかなエネルギーで分解爆発を起こす可能性があります。溶解アセチレン容器とは、この不安定なガスを安定的に貯蔵するため、多孔性物質を詰めた容器に、溶剤としてアセトンまたはジメチルホルムアミドを染み込ませた容器で、ここにアセチレンを充填することで、アセチレンは溶剤に溶解し、安定的な貯蔵が可能になります。
従来のアセチレン容器では、多孔性物質の原料の一部としてアスベストを用いておりました。これは、容器内に完全に密閉されており、使用に際して人体に影響を与えるものではないため、現在でも既存のものに限り容器の使用が認められています。しかしながら、溶解アセチレン容器は約120万本が流通されていると推定され、これらの中にはかなりの経年となったものもあり代替の要求が市場からも寄せられておりました。これらの要求に対し、国内容器メーカーの生産能力だけでは、かなりの時間が必要となることが予測されます。
つまり、アスベストの代替化が進まず、今でもアスベスト入りのボンベが流通していたということです。2008年までにクリソタイルの使用は全面禁止予定と書いてあるのに実際はそうなっていなかった!
そんな中での、中国アセチレン工場の爆発事故。危険がわかってて流通してたってことです。
日本産業ガス協会のHPを見てみると
溶解アセチレンの作られ方 より
Q1 造船所で鉄の厚い板をアセチレンで切断しているのを見ましたが、このガスはどこで、どのようにつくるのですか? A1
ガス発生器の中で、カーバイドに水をかけ、連続的にアセチレンを発生させます。
反応式:CaC2(カーバイド)+2H2O(水)→C2H2(アセチレン)+Ca(OH)2(消石灰)
理論的には、純カーバイド1kgからアセチレン366リットルを発生します。発生したガスは、水洗で不純物(消石灰、硫化水素、等)が除去され、水分を取り除いた後、ホルダーに一時貯蔵されます。
また、作業中に気をつけることは何ですか? A2
ホルダーに貯蔵されたガスは、水封安全器や除水器、清浄器にて精製され、乾燥・圧縮等の工程を経てボンベに充填されます。
充填は、最高圧力を約2.45MPa以下で行い、充填終了後24時間静置し、15℃換算約1.5MPa以下の内圧にしてから純度分析を行い、合格したものが出荷されます。
アセチレンは、熱力学的に不安定で反応性の大きい物質なので、窒素のような中空容器に圧縮充填すると、わずかなエネルギーで爆発する危険性があります。
溶解アセチレン容器は、この危険性の大きいガスを安定に貯蔵するため、容器中に多孔物質(一般に“マス”と呼ばれる)を隙間なく充填して、これに溶剤としてアセトンを浸潤させています。この容器にアセチレンを圧縮充填すると、アセチレンは溶剤に溶解し、溶剤と多孔物質とによって安定化されて、安全に貯蔵されます。
Q3 溶接のとき、アセチレンはどのように使われますか? A3アセチレンは、酸素と混合することで約3,000℃以上の高温を得ることができるので、その特性(高温)を利用して、“溶断(切断)”や物体同士(主に鋼鉄)を溶融して結合させる“圧接”に使用されています。
金属加工に使われる溶接のアセチレンボンベは厄介な代物だということが、今回のアセチレンガス工場爆発事故で明らかになりました。
民家が密集してるところにアセチレンガス工場はありえないですね。みなさんのお近くにはありませんか? ⇒産業ガス部門の会員企業
そして 最終的なボンベの始末は、なんと、山口県の企業のようです。 ここにアスベスト入りのボンベが集まってくるのでしょうか???
最後の容器は産廃処理業者になっています。その先は不明。その間にアスベストが漏洩とかしないんでしょうかね?わかりません。
山口県は、高圧ガスを製造しているおよそ200の事業者に対し、安全確保の徹底を求める要請書を出したそうです。
しかし、このニュースにはアスベストに関して一切触れられていません。
NHK山口
5日、山陽小野田市の「中国アセチレン」の工場で起きた火災を受けて、県は高圧ガスを製造する県内の事業者に対して、安全の確保を徹底するよう要請を出しました。
5日、山陽小野田市の「中国アセチレン」の工場で、火が出て爆発し、およそ5時間にわたって燃え続け、34歳の男性社員が顔や左手の小指に軽いやけどを負いました。この火災を受け県は、高圧ガスを製造しているおよそ200の事業者に対し、安全確保の徹底を求める要請書を出しました。
要請書では▽今回の火災がガスを充てんする準備段階で起きている可能性があることから、危険性が高いことを念頭に置き作業には細心の注意を払うことや▽装置を取り扱う際はチェックリストを使うなどして異常な状態をいち早く発見することなどを求めています。
さらに▽大きな事故が万が一起きた際には、事業所だけでの対応には限界があるため、日ごろからの訓練を通じて消防などとの連携を深めておくことも要請しています。
県は「事故が起きると周辺に甚大な影響が出るだけに改めて安全対策の徹底をお願いしたい」と話しています。
08月07日 09時23分
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