2015/11/25 11:24 福島民報
東京電力が福島第一原発構内に建設していた廃棄物焼却施設が完成し、25日に試験運転を開始する。
施設では廃炉作業で作業員が使用した防護服や梱包(こんぽう)材など工事で出た廃材を焼却する。1時間当たり最大600キロを処理できる。放射性物質は100万分の1以下まで低減できる。
来年3月に本格稼働する予定。
2015/11/26 09:16 福島民報
飯舘村など6市町村の放射性廃棄物を受け入れる焼却減容化施設の火入れ式は25日、同村蕨平(わらびだいら)で行われた。
施設を運営する環境省や村民合わせて約100人が出席した。丸川珠代環境相と内堀雅雄知事、菅野典雄村長、小林香福島市長がそれぞれあいさつし、点火スイッチを押した。丸川環境相は「福島の復興に重要な施設だ。安全に運用する」と述べた。県の安全性検査を受け、来月15日ごろに稼働する。
放射性物質を含んだ廃棄物を広域的に集約して処理する施設は初めて。飯舘村の除染廃棄物や家屋の廃材、福島と南相馬、伊達、国見、川俣の5市町の稲わら、福島と南相馬、国見の3市町の下水汚泥を焼却する。処理能力は1日当たり240トン。
3年間にわたり使用し、廃棄物の残量に応じて最大で2年間延長する。焼却灰は放射性物質濃度が1キロ当たり10万ベクレル以下の場合、富岡町の管理型処分場に移送する計画。10万ベクレル超は中間貯蔵施設に搬出する。
(管理人より) 福島県では、本来燃やしてはいけない放射性廃棄物が焼却されます。フクイチ現場で使った使用済みタイベックなどのゴミを燃やす焼却炉が完成しました。それまでに、タイベックのゴミの山が何度も報道されていて、「ゴミがたまるから仕方ない」という流れが作られました。
それから除染廃棄物の焼却減容化施設です。どちらも排ガスは危険で、焼却灰は驚く程の放射性物質濃度になることは間違いありません。
除染する(今でも放射性降下物がある中で、そもそも除染は無理)
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除染廃棄物の山ができる。居住は無理なのに住み続けさせられる(放射能汚染された下水汚泥やゴミ焼却灰が出る)
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ゴミの山がどうしようもない状況になった上で減容化という目的で焼却する
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焼却炉の新設、 灰などのため場の新設が必要になる
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焼却炉、中間貯蔵施設、管理型処分場の新設
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公共工事で、原発メーカーやゼネコン儲かる、排ガスにより周辺地域に放射性物質が拡散、さらに、除染廃棄物が再利用されると、放射性物質の拡散
国が、焼却による放射性物質の拡散、その危険性を認めていないからこういったことがまかり通るのです。
以下、この件に関して調査されたエンジニア樗木博一さんの文書を転載します。
焼却施設から排出される放射性セシウムが不検出となる問題の件
2015-09-09 樗木博一
1. 現在、放射性物質を含む廃棄物が一般の焼却施設で焼却されていますが、放射能の知見のない環境省がJIS Z 8808 「排ガス中のダスト濃度の測定方法」という本来は放射性物質を測定する方法ではない方法で焼却施設から排出される排ガス中の放射性物質を測定するよう、環境省告示第百十一号で指定しています。この測定方法では、排ガス中の放射性セシウムは原理的に検出することができません。
このことから、私は、原子力発電所で用いられている排ガス測定技術と同じ原理の測定装置で排ガス中の放射性物質を測定する実験を提案してきました。
・平成25年8月23日福島県鮫川村環境省仮設焼却施設にて、環境省・日立造船と排ガス測定について打ち合わせ
・平成26年11月14日盛岡市・産業環境常任委員会にて説明
など。 しかしながら、この技術を一般焼却施設への適用することは、環境省告示第百十一号によって、一般焼却施設における排ガス中の放射性物質を測定する方法が指定されているということを理由の一つとして、環境省や東北・関東の自治体から実験を拒否されてきました。
[環境省告示第百十一号の文言]
平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則(平成二十三年環境省令第三十三号)第二十五条第一項第五号ロの規定に基づき、処分に伴い生じた排ガスを排出する場合における排ガス中の事故由来放射性物質の濃度の測定方法を次のように定め、平成二十四年一月一日から適用する。
平成二十三年十二月二十八日
環境大臣細野豪志
処分に伴い生じた排ガスを排出する場合における排ガス中の事故由来放射性物質の濃度の測定方法
平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則第二十五条第一項第五号ロの環境大臣が定める方法は、日本工業規格Z八八〇八に定める方法により試料を採取し、ゲルマニウム半導体検出器を用いて測定する方法とする。
2. 原子力発電所で用いられている排ガス中の放射性物質測定技術の一般焼却施設への適用
上記1 の経験を踏まえて、原子力発電所で用いられている排ガス中の放射性物質測定技術の一般焼却施設への適用の試み、あるいは実績は本当にないのか調べてみました。
環境省のサイトには放射能を含む廃棄物を焼却する事業を推進するために、焼却しても放射性セシウムが大気中に排出されないという、とんでもないおバカ理論(物理や化学の基礎的知識を有する方であればすぐにわかります)が公開されています。しかし、本当は、環境省には放射能に関する知見や技術はありません。
放射能に関する知見や技術を持っているのは、電力会社の原子力部門に所属するごく一部の人間と原子力発電所に機器を納入している業者(メーカー)です。
こういったところが、復興予算の獲得をねらって動かないはずはないと考えて、調べてみました。
すると、東電が発起人となってできた除染・廃棄物技術協議会 測定管理SWGがとりまとめた資料 測定管理SWG
焼却施設の測定ポイントと測定機器 測定管理SWG のP.1の番号11、詳細はP.13 において DGM-151 ガンマ線ガスモニタ(製造者は日立アロカメディカル、販売者は千代田テクノル)として提案されていることがわかりました。
(参考)
●除染・廃棄物技術協議会は、東電が発起人となってできた技術協議会で関連する企業が参加しています。復興事業の予算獲得が目的で作られたものでしょう。
幹事会員株式会社アトックス
鹿島建設株式会社
大成建設株式会社(代表幹事)
東京パワーテクノロジー株式会社
DOWAエコシステム株式会社
日本ガイシ株式会社
発起人
東京電力株式会社
事務局株式会社三菱総合研究所
一般会員株式会社IHI
旭化成ジオテック株式会社
アジア航測株式会社
東起業株式会社
株式会社安藤・間
株式会社市川環境エンジニアリング
いであ株式会社
ウツエバルブサービス株式会社
株式会社宇徳
エコボンド環境工学リサーチ株式会社
エヌエス環境株式会社
応用地質株式会社
株式会社オオスミ
株式会社大林組
株式会社大本組
株式会社奥村組
株式会社上組
株式会社環境管理センター
キャンベラジャパン株式会社
株式会社熊谷組
株式会社クレハ環境
株式会社京葉興業
原燃輸送株式会社
株式会社鴻池組
株式会社神戸製鋼所
五洋建設株式会社
佐藤工業株式会社
山九株式会社
JFEエンジニアリング株式会社
JFE環境株式会社
シグマテック株式会社
株式会社シービーエス
清水建設株式会社
株式会社神鋼環境ソリューション
西武建設株式会社
太平洋セメント株式会社
大豊建設株式会社
株式会社竹中工務店
株式会社竹中土木
株式会社千代田テクノル
鉄建建設株式会社
東亜建設工業株式会社
東急建設株式会社
株式会社東芝
東洋建設株式会社
戸田建設株式会社
西松建設株式会社
日揮株式会社
日曹金属化学株式会社
株式会社日本環境調査研究所
日本国土開発株式会社
株式会社日本遮蔽技研
日本通運株式会社
日本マタイ株式会社
株式会社パスコ
日立アロカメディカル株式会社
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
株式会社日立製作所
日立造船株式会社
株式会社日立物流
株式会社福田組
株式会社フジタ
富士通株式会社
富士電機株式会社
ポニー工業株式会社
株式会社堀場製作所
前田建設工業株式会社
前田工繊株式会社
丸紅テツゲン株式会社
三井住友建設株式会社
株式会社三菱化学テクノリサーチ
三菱重工業株式会社
三菱電機プラントエンジニアリング株式会社
三菱マテリアル株式会社
名工建設株式会社
株式会社RSC(ラジエーション・シールド・コンサルタンツ)
りんかい日産建設株式会社
若築建設株式会社
●2014年10月30日にこの協議会のシンポジウムが開催されています。 東電、企業に加えて、
環境省 福島環境再生事務所 所長 関谷毅史 氏
環境省顧問(前事務次官) 谷津龍太郎 氏
郡山市生活環境部 部長 吉田正美 氏
も参加しています。
講演2「郡山市における除染の進捗状況と今後の課題」
といった資料も公開されています。
3. 販売者千代田テクノル 福島復興支援本部 企画課にDGM-151 ガンマ線ガスモニタの納入実績を電話にて問い合わせてみました。
「納入実績はあるが、いくつもの業者を経由して納入しているので、千代田テクノルとしては最終納入先は把握していない。また、納入台数についても答えられない。」
という返事でした。
ガンマ線ガスモニタが一般の焼却施設に導入されていることはわかりました。
4. 福島県 県中浄化センターの排ガス放射能濃度自動観測装置
ネット検索してみたところ、福島県 県中浄化センターに県中浄化センターで稼働している汚泥溶融施設の排ガス放射能濃度を常時観測する自動観測装置が設置されていることがわかりました。
福島県県中流域下水道建設事務所の土木部(局・委員会)公共工事契約結果情報(平成25年度)
26年3月20日完成
第13-41520-0035号 流域下水道維持管理(汚泥放射能対策) 機械設備 随意契約
契約日 H26.1.30
予定価格 60,685,800
契約金額 60,375,000
落札率 99.48%
契約相手方 水ing(株)東北支店 (県外)
入札参加数 1
福島県の平成25年度入札結果における上記工事(完成26年3月20日)の備考の資料 の2ページ目を見てみました。
「本工事は、現在、県中浄化センターで稼働している汚泥溶融施設の排ガス放射能濃度を常時観測するため、自動観測装置を当該施設内に設置するものである。」 となっています。
環境省告示第百十一号および「放射能濃度等測定方法ガイドライン」で示された排ガス測定方法では、採取装置でサンプルを採取し、ゲルマニウム半導体検出器にサンプルをかけて測定を行うといったバッチ処理を行うので、「常時観測」ということはできません。
このことから、県中浄化センターの排ガス放射能濃度自動観測装置は、連続測定が可能なガンマ線ガスモニタ(製造者は日立アロカメディカル、販売者は千代田テクノル)、あるいは同種の原子力発電所で用いられている排ガス測定技術ではないかと考えられます。
そうすると、県中浄化センターは、環境省告示第百十一号および「放射能濃度等測定方法ガイドライン」を無視した測定行為をしているということになりますが、そうならないよう、測定ではなく、観測だといった理由を付けて問題を回避しているのではないかと考えます。
なお、現在、環境省告示第百十一号および「放射能濃度等測定方法ガイドライン」で示された測定方法による、県中浄化センターの汚泥溶融施設の排ガス測定の結果は、公開されていますが、排ガス放射能濃度自動観測装置による測定結果は、公表されていません。
据え付け調整試験時の排ガスを通さない状態での測定データおよび運転時の測定データが明らかになれば、排ガス中に放射性セシウムが含まれていることを確認できる可能性があります。
5. 福島県の県中浄化センターの排ガス放射能濃度自動観測装置見学レポート
福島県の県中浄化センターの排ガス放射能濃度自動観測装置を見学に行かれた「放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会」から排ガス放射能濃度自動観測装置のモニタ画面の写真3枚をいただきました。
(福島県では、県中浄化センターの排ガス放射能濃度自動観測装置のデータは非公開としています。)
「環境省告示第百十一号」および「放射能濃度等測定方法ガイドライン」で示された排ガス測定方法では、排ガス中の放射性セシウムを検出できませんが、「放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会」から送っていただいた3枚の写真(別紙画像参照)
上:2015/08/25 14:57:32
中:2015/08/25 14:57:37
下:2015/08/25 14:58:32
の内、
上:2015/08/25 14:57:32 と
中:2015/08/25 14:57:37 に
瞬時レベルですが、排ガス中に放射性物質が存在する(14Bq/m3)ことが排ガス放射能濃度自動観測装置のモニタ画面に表示されていました。
なお、「放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会」のブログ には3枚の写真の内、放射性物質が検出されていない写真下:2015/08/25 14:58:32だけしか掲載されていませんでしたが、2015年9月8日確認してみると、下記の記載があり、この写真も削除されていました。
(写真を載せていましたが、郡山市下水道部より規定により削除するよう要請があり、やむを得ず削除しました。しかし本来は広く公開し自由に撮影できるようにすべきと考えます)
以上
除染・廃棄物技術協議会の中は完全に原子力ムラですね
郡山市の行政から放射性物質が排ガスの中に存在するというデータを情報公開するなという圧力までかけられていることに絶望します
市民が調べた事実を、市民で共有するしかありません。メディアが報じることはないのですから。
原発事故から5年、ブログやツイッターで発信し続けてきましたが、これが現状です。
どうか、諦めず、この事実を共有していただけたらと思います。
ただただ、命と環境を守るという市民の立場で・・・・