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産業技術総合研究所 加藤和彦工学博士 「太陽光パネルの寿命は技術的に定義されていません」

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(管理人より)

電力小売り自由化に伴い、太陽光発電の電力を買いたいという市民がたくさんいると思われますので、今日は、太陽光発電研究の総本山である「産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター」のリーダーの意見を読んでみます。

当然、太陽光発電推進の立場ですので、太陽光発電を普及するという前提の話となっています。

 

太陽光発電システムの健全な普及をめざして ~PVRessQ!活動の紹介  より転載

独立行政法人産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター

システムチーム チーム長 加藤 和彦様

PVシステムの耐久性、寿命とは?

東日本大震災とそれにともなう福島第一原子力発電所の事故を契機に、わが国では太陽光発電システム(PVシステム)の導入が拡大していますが、みなさんは、太陽電池パネルの「品質」について考えたことはあるでしょうか。「パネル効率」を思い浮かべる方が多いと思いますが、これは設置面積に多少の影響を及ぼすだけです。PVシステムに求められる役割が「クリーンな電力をより多く生産すること」であることを考えれば、最も大切な品質は「耐久性・寿命」であることにすぐに気がつくでしょう。「パネルの寿命は20年以上」という話を巷ではよく耳にしますが、実際にはパネルの寿命は技術的に定義されていません。
また、PVシステムのメリットの一つとして「メンテナンス・フリー」「メンテナンスが簡単」ということがよくいわれていますが、これも再考する必要があります。わが国の普及の中心である住宅用PVシステムの場合、パネルは屋根上にありユーザが間近にみることができません。また、可動部分がなく運転中は無音で、発電電力は気象状況や周辺環境によって時々刻々と変化します。したがって、パネル・システムの性能低下や不具合の発生をユーザ自身が把握できない、言い換えると、メンテナンスが必要か否かを判断することが難しい工業製品なのです。 

PVRessQ!の立ち上げ

「PVシステムの耐久性・寿命とは?」「本当にPVシステムにメンテナンスは不要なのか?」という問題意識から、筆者は他の同志とともに2006年頃より”PVRessQ!”という活動を展開しています。これは”PV – Reliable, Safe and Sustainable Quality!”を略したもので、「PVシステムに、信頼できて、安全で、持続可能な品質をもたせたい!」という願いが込められています。
具体的には、実運用されている住宅用PVシステムの不具合(性能低下や故障など)調査を行い、それをもとに現地での不具合診断技術や保守点検方法を提案することを目標としています。これまでに約30件の住宅用PVシステムを調査しましたが、そのほとんどで何らかの不具合を発見しています。
また、住宅用PVシステムの発電性能や不具合に関する統計調査も行っています。たとえば、私たちが以前に実施した1993年から2006年に全国に設置された483台の住宅用PVシステムを対象にした統計調査では、20%のPVシステムで10年以内にパワーコンディショナの修理・交換が実施されていたこと、15%のPVシステムで10年以内にパネルが1枚以上交換されていたことがわかりました。
政府や業界の普及の考え方が「つけたらおしまい」であるため、このような設置後の運用・保守に関する本格的な調査は行われていませんが、少なくともわれわれの調査結果をみるかぎり、現状のPVシステムを「メンテナンス・フリー」ということには大いに疑問があります。

埼玉県内の住宅用PVシステム (1998年設置、2.9kW)
図1 埼玉県内の住宅用PVシステム
(1998年設置、2.9kW)

現地調査の事例も紹介しましょう。図1は2008年に訪問した埼玉県内のある住宅用PVシステムの概観です。設置業者による保守点検では「異常なし」との判定でしたが、われわれの調査では、パネル内部回路のはんだ接続不良などが原因で全20枚のパネルの10枚に不具合があることを確認しました。その後、この10枚は製造メーカによって無償交換されましたが、残りの10枚については「同様な不具合は起きない」との製造メーカの見解で交換されませんでした。しかし、2011年に再調査を実施したところ、交換されなかった5枚のパネルに同様な不具合が発生していることがわかりました。
また、当所には2004年4月に運転を開始したPVシステムがあります。4kW程度の住宅用PVシステム211台で1MW規模を構成するというユニークな導入形態であることから「メガ・ソーラタウン」と呼んでいます。
運転開始から約7年が経過した2011年6月末現在でわれわれが確認している不具合は、パネルが5,645枚中197枚(3.5%)、パワーコンディショナが211台中19台(9%)です。

図2 産総研内で観察されたパネルの不具合(赤外線カメラ画像)
図2 産総研内で観察されたパネルの
不具合(赤外線カメラ画像)

図2はあるパネルの不具合の様子です。このパネルは内部回路のはんだ接続不良に端を発し、バイパス・ダイオードのオープン故障へと不具合が進行した結果、昼間においてパネル内の温度が局所的に500℃以上に達する状態が約半年間にわたって継続しました。表面ガラスも激しく割れていましたが、これは急激な温度上昇によるものと思われます。パネルは難燃性が高いそうなので、パネル自身は発火しないかも知れませんが、近傍に枯れ葉などの可燃物がある場合には安全上のリスクが高まることが危惧されます。太陽電池パネルは光があたると勝手に電気を発生する性質のものですが、現状のパネルにはスイッチのようなものもないため、それを人為的に止めることができないのです。
PVシステムは屋外で相応のエネルギーを発生するものであるにも関わらず、その不具合を見つけるのが非常に困難な工業製品です。そのような製品を長期にわたって安全に利用するには、専門技術者が適切な保守点検を実施する必要がありますが、50kW未満のシステムは法律上の義務がないことから、実態把握や保守点検技術の開発もなされていません。

PVシステムの健全な普及拡大には、まず実態把握とその情報の共有、そしてそれにもとづく実用的な保守点検技術の開発が急務と考え、いまも日夜活動を続けています。

 

上の文章から、重要な点を抜き出します。(引用青文字)

 

「パネルの寿命は20年以上」という話を巷ではよく耳にしますが、実際にはパネルの寿命は技術的に定義されていません。

パネル・システムの性能低下や不具合の発生をユーザ自身が把握できない、言い換えると、メンテナンスが必要か否かを判断することが難しい工業製品なのです。 

PVシステムは屋外で相応のエネルギーを発生するものであるにも関わらず、その不具合を見つけるのが非常に困難な工業製品です。

現状のPVシステムを「メンテナンス・フリー」ということには大いに疑問があります。

 

彼の著書 『太陽光発電システムの不具合事例ファイル』のP142~のあとがきにも、ほぼ上と同じ内容の文章が使われているのですが、そこにはこう書いてあります。☟(引用青文字)


実は工業製品としての太陽電池モジュールの寿命は定義されていないのです。

それでも太陽電池メーカーは、太陽電池モジュールの性能を(多くが10年間)まで保証してくれています。

結局、太陽光発電システムが適正に保守点検される場面がなく、購入した太陽電池モジュールがメーカ保証範囲の性能を維持しているかを確認する機会もないのが実情です。


加藤氏の経歴を見ると、通産省のニューサンシャイン計画からずっと再生エネルギー技術に人生を捧げてきた人物。その彼が2010年の時点で、このように実情を吐露している訳です。

「何年もつかわからない工業製品にメーカーが10年保証してくれている」と。

これは販売業者の口車に乗せられて、売電利益に目がくらんで太陽光パネルを買った人にとっては、聞き捨てならない専門家の発言だと思います。

 

「PVシステムに、信頼できて、安全で、持続可能な品質をもたせたい!」という願い と彼が言っているということは

「太陽光パネルが持続可能ではない」ということを証明しています。

国や環境NPOの市民が言ってることと真逆です。

 

 

これは、太陽光発電の本質的な問題ですので、彼の著書の「おわりに」というあとがきのページを画像で引用します。(赤線強調は管理人による)

 

 

 

 

 

 このあとがきの中で、加藤氏は、「わが国の太陽光発電がエネルギー・環境対策としてどれだけ貢献しているのかについては誰も知らない」 と言っているのです  

仮に、CO2地球温暖化が正しいと仮定しても、太陽光発電の環境問題への貢献性をはっきりと否定しているのです。

日本という国を代表して、何年も太陽光発電の研究を、人生をかけて行ってきた研究者が、太陽光発電は環境問題の役に立ってるかどうかわからないと言ってるわけです。

 

これは無責任だと言わざるを得ません 

 

あとがきで正直に、太陽光発電の真実、実態を伝えてくれたことに関しては、その部分はありがたいと思いますが、この2010年の著書のあとがきの最後は、やはり技術者として保守点検の問題にすり替え、

技術開発のバラ色の夢を語って締めくくっています。 

この本が出版されたあと、東日本大震災、福島第一原発事故、再生可能エネルギー特措法と続き、”ソーラーバブル”が起きました。

太陽光発電がこれだけの本質的な問題を抱えているとわかっていながら、それを国策とすることを、なぜ彼は許したのでしょうか?

「技術者は謙虚であれ」と言うなら、国策化するのを反対して欲しかったと思います。

こういった技術者の「夢」は、市民にとっては正直、大迷惑です。税金はみんなの財産です。 よくない技術の開発に使って欲しくありません。

技術を技術でカバーしようとするのは、問題が大きくなるだけで、大きな無駄が出ます。

再生可能エネルギー関連の事業に、膨大な国費が投じられ、それが結果的にメガソーラーによる大規模な自然破壊、個人のソーラーパネルによる様々な公害を生み出している現実は、このブログでも書き尽くしています。

 

 

もちろん、加藤氏の本には、太陽光発電のライフサイクル全体についての考察部分は一切ありません。

この加藤氏のサイトには、やや私的な意見も見られますが、あくまで太陽光発電を推進するという前提のサイトです。  ⇒ PVRessQ


彼のテレビでのこの画像は、台風でソーラーパネルが飛んだ時のインタビューです。

 



電力小売り自由化で、太陽光発電の会社を選ぼうとする市民は、こういうことを知らされていません。


 









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