ソーラー設置、愛知県などが現地調査 万博会場隣接
2016年2月17日16時20分 朝日新聞
愛知万博の会場計画を大幅縮小して自然環境を保全した「海上(かいしょ)の森」(愛知県瀬戸市)に隣接する林を、名古屋市の建設業者が伐採、造成して太陽光発電のためのソーラーパネルを大量に設置していたことがわかった。愛知県と瀬戸市は17日午後、環境への影響などを調べるため現地に入った。
市は2013年に開発計画を提出した業者に対し、下流の海上の森の環境に影響するおそれや「環境万博」の理念などから、土地利用調整条例により中止を勧告していた。
県によると森林法や砂防法に基づく手続きもなかったという。
この日の現地調査には県や市の職員ら二十数人が参加。業者が立ち会う中、ソーラーパネルがびっしり並ぶ造成地の規模などを調べた。森林法では1ヘクタールを超える開発を規制。また、現場は治水上、土壌流出に配慮すべきとされる砂防指定地で、土地の形状を変える場合は県の許可が必要だ。
愛知知事「明確な法令違反」 海上の森隣の太陽光施設
2016年2月23日15時18分 朝日新聞
愛知県の大村秀章知事は23日の記者会見で、愛知万博のあった海上(かいしょ)の森(同県瀬戸市)に隣接する林が伐採され太陽光発電施設が設置された問題について「明確な法令違反。瀬戸市と連携し、まず事業者に是正指導を行う」と述べた。県庁内で情報共有が不十分で対応が遅れたことも認めた。
太陽光発電施設を造ったフジ建設(名古屋市)について、知事は「無届けで2ヘクタールを開発してソーラーパネルを設置し、売電を行っている」と指摘。砂防関連の県条例で0・1ヘクタール超、森林法では1ヘクタール超の開発に知事の許可が必要だったとし、「法令に基づいて厳正に対処する」と強調した。
当面は応急処置として土砂流出などを防ぐ措置をフジ建設に急がせると説明。今後、発電施設が設置許可基準を満たすため、災害や環境悪化を防ぐための排水施設の設置などを指導していく方針を示した。
知事は、フジ建設から2012~13年に、今回の発電施設開発の相談が瀬戸市だけでなく県にもあったと説明。13年7月に瀬戸市が条例によりフジ建設に中止を勧告した後は「それ以上相談がなく、中止になったと判断した」と話した。
ただ、その後に県あいち海上の森センターが巡視で開発を把握していたにもかかわらず、県庁内で情報は共有されておらず、「連携不足は間違いない。今後の教訓にしなければならない」と語った。
海上の森隣接の太陽光施設、事後的許可へ 愛知県 2016年2月26日23時07分 朝日新聞
愛知万博のあった海上(かいしょ)の森(愛知県瀬戸市)に隣接する林が無許可で伐採され、太陽光発電施設が設置された問題で、愛知県は設置業者が許可基準を満たすよう災害防止対策などを取れば事後的に許可する方針だ。中止勧告を無視された瀬戸市は撤去を求められないか、なお検討している。
大村秀章知事は23日の記者会見で、設置したフジ建設(名古屋市)を「無届けで2ヘクタールを開発してソーラーパネルを設置し、売電している。明確な法令違反だ」と批判した。ただ、発電施設自体をどうするかは「災害発生、環境の著しい悪化がないよう、排水施設の設置などの是正指導をしていく」と語るにとどめた。
県は土砂流出を防ぐ応急措置を同社に要請中。県の砂防関係条例の担当者は「ソーラーパネル自体でなく、設置のための造成が土砂流出につながるかどうかが問題」とする。森林法や環境保全、土壌汚染に関する条例の担当各課も造成が各法令の基準を満たせば認める方針で、撤去要請は困難としている。
一方、瀬戸市の青山一郎副市長は「市民感情から言えば撤去してほしい」と話す。2013年にフジ建設の計画書を受け取った市は、「環境万博」の理念を継ぐ海上の森の環境に造成の土砂が影響を及ぼすおそれがあるとして、土地利用調整条例により中止を勧告していた。
条例では市は計画について住民説明会を開ける。それを不要と判断し、中止勧告をしたほど問題は自明だった。条例に撤去に関する条文はないが、副市長は「造り得にしてはいけない」と話す。
今月、現場を確認して告発した「海上の森野鳥の会」副代表の森島達男さん(65)は「けしからんと言っておいて、発電でもうける業者を認めるのか」と怒る。フジ建設は県にも計画段階で相談。その後、県の海上の森センターは開発を把握したが、県庁内で情報共有されなかった。森島さんらは開発を見過ごした県の責任も問い、伐採前の状態に戻すべきだとする抗議の申し入れをするつもりだ。
同社の広報担当は「現地調査で指示された土留め工事や測量をして今週末までに県、市に報告する。売電は続けている」と話す。
(管理人より) 前記事 海上の森に隣接する1万㎡の木を伐採し太陽光パネル4592枚設置。メガソーラー業者、中止勧告を無視
第一報では業者名は伏せられていましたが、少しずつ情報が出てきました。画像でみると、やっぱりフジ建設の産廃置き場のところです。
Googleの衛星写真を再度見てみます。
メガソーラーができる前の画像では、山になっている、これは残土でしょうか? これらをメガソーラーの造成に使って敷き詰めたんでしょうか?わかりません。この残土が元々なんだったのかも、ニュースを見てもわかりません。
産廃置き場のずっと奥と周辺部の木を伐採していることは画像を見るとわかります。隣は中部電力瀬戸変電所でした。
この続報を見ていると、つくづく、日本という国は自然を守るつもりはないんだなということがわかります。
以下 まとめると
●県の担当者 「ソーラーパネル自体でなく、設置のための造成が土砂流出につながるかどうかが問題」
●瀬戸市長 「市民感情から言えば撤去してほしい」
●副市長 「造り得にしてはいけない」
県のは変な理屈ですね。メガソーラーの設置は、そもそも自然破壊です。どこにつくろうが必ず造成なしではできません。なにかの跡地ですら、周りを造成します。木があれば伐採するし、まず工事用の道路が作られます。
あえて「ソーラーパネル自体ではなく」という文言を挟み込む意図は一体なんでしょうか? 国策再エネのイメージダウンにならないように職員の必死な様が見て取れます。
「土砂流出にならない造成」ならいいのでしょうか? 土砂流出にならない造成はそもそもありません。山を切り裂くのですから。
そうではないはずです。万博の際に、自然環境を破壊すれば生態系が壊れてしまうから、こういった開発をするなということになっていたはずです。
一旦壊れてしまった生態系は元には戻りません。伐採前の状態に戻すことは、いくら戻したくても現実的には不可能です。たとえ木を植えても20年はかかります。
「当初は産廃施設計画」 無許可太陽光施設、業者が経緯説明
2016/2/26 中日新聞
愛知万博会場跡地の「海上の森」(瀬戸市)に隣接する民有林を無許可で伐採し、太陽光発電施設を建設した名古屋市守山区の建設会社が二十五日、当初は産業廃棄物処理施設を建てるために土地を取得した経緯を明らかにした。本紙の取材に書面で回答した。
同社によると、二〇〇二年五月に五・一ヘクタールを取得した。だが「自然の叡智(えいち)」という万博のテーマを踏まえて産廃施設は困難と判断し、発電施設に変更した。
建設計画に対し一三年に瀬戸市から中止勧告された後、県への許認可申請もせずに建設した理由は「資材置き場として使っていた箇所に設置すれば、大規模な伐採や土地開発を伴わず、法的に問題ないと考えた」。太陽光パネルの設置面積を当初計画の五ヘクタールから一ヘクタールに縮小し、今年二月から稼働しているという。
また、土砂流出防止策を二十四日に施したと説明。南西側斜面の一部が崩れかかっているとして、県が十七日の立ち入り調査で応急対策を求めていた。
今回の問題で大村秀章知事は二十三日の定例会見で「明確な法令違反。厳正に対処する」と述べた。ただ、県は、同社が今後の行政指導に従い防災対策などを講じれば、発電施設の撤去まで求めるのは難しいとみている。
(赤川肇)
結局、造り得ということになっています。
建設会社は、発電施設=クリーン、「産廃施設よりまし」という認識で進めたんですね。 このようなことがまかり通ることが報じられたので、このパターンで今後も日本中の山にメガソーラーが作られるでしょうね。
私たちの知らない間に、「産廃よりまし」としてメガソーラーが、水源地に作られる近未来。
群馬県のように造成するのに、有害スラグが使われるかもしれません。
公害施設が作られる前に計画を白紙撤回させること以外には手はありません。
原発よりましなメガソーラー、産廃施設よりましなメガソーラー、この論理で日本中の自然が破壊されていっています。
私は、命と環境を守る立場でブログで発信してきましたが、疲れました。