イノシシ専用焼却施設の火入れ式でスイッチを押す立谷秀清・相馬市長(右から2人目)ら関係者=相馬市光陽3丁目
福島)相馬にイノシシ専用の焼却施設、1日から稼働
2016年4月1日03時00分 朝日新聞
東京電力福島第一原発事故後、駆除しても食用も処分も困難になっていたイノシシ専用の焼却施設が、相馬市光陽の工業団地内に完成した。1日から稼働する。
正式名称は「相馬方部衛生組合・有害鳥獣焼却場」。体重120キロの大型イノシシだと毎日3頭程度を焼却でき、年間最大600頭程度を処分していく計画。体内にある高濃度の放射性セシウムが飛灰に移行しても、フィルターで99%以上を回収できるという。
総工費約1億6千万円のうち、農林水産省からの補助金と復興交付金で6分の5をまかない、残りを市が負担した。
30日にあった完成式で、立谷秀清市長は「これで問題が解決したわけではなく、増え続けるイノシシに対し、しっかりした捕獲対策が必要だ。願わくば再び山の幸として食べられる日を待ちたい」と語った。
イノシシ専用の焼却施設の建物(30日、福島県相馬市で)
焼却炉の投入口
読売新聞 2016年03月31日 13時25分
農作物を荒らす有害鳥獣として捕獲されたイノシシを焼却処分する専用施設が福島県相馬市のごみ焼却施設「光陽クリーンセンター」内に完成し、30日、火入れ式が行われた。
施設は鉄骨2階計約240平方メートル。同市と新地町でつくる相馬方部衛生組合が復興交付金を使って昨年11月から建設を進めていた。イノシシを丸ごと処理できるように焼却炉の投入口を大きくし、燃え残りが出ないように炎が集中するように設計されている。
1日に処理できるのは60キロ程度のイノシシ3頭まで。ボタンを押して炉の扉を開けると、イノシシを載せるトレーが自動的にせり出すなど機械化されている。排気経路には、放射性物質を吸着するバグフィルターが取り付けられている。
東京電力福島第一原発事故の放射性物質が餌を通じて肉にたまるため、仕留めたイノシシを事故前のように食べることはできなくなっており、処分が問題になっている。公有地に埋め、ペット用焼却施設で焼いてきたが、土地の確保が難しく、ペット用は一度に燃やせる量が少ないため解体する手間がかかり、猟友会などが対応を求めていた。
式典で、立谷秀清市長は「悩みの一つが解決される。農作物の被害が出ないよう、猟友会などとさらに協力したい」と述べた。
(管理人より) 福島県では汚染イノシシの処分に困り、ずっとイノシシを焼却処分しています。ついに専用の焼却施設が作られました。復興交付金を膨大に使い、イノシシを燃やすのです。
一番新しい、イノシシの汚染状況を見てみます。
福島県 野生鳥獣の肉における放射性核種の濃度測定結果について
イノシシ179頭のうち141頭が基準値を超えています。
イノシシを焼いたあとの骨や灰はどうするのか記事に書かれていません。 バグフィルターでは放射性物質は防げないということはもうわかっています。
煙突がありませんね。構造はどうなっているんでしょうか。 放射性PM2.5はどのように流れていくかわかりません。川もあります。
航空地図 を見ると近くに下水処理場、サッカー場、メガソーラー、除染廃棄物置き場、産業廃棄物埋立処分場・・・・・このような場所でサッカーをしたらどうなるか・・・
グーグルストリートビュー この敷地のどこかわかりません。裏側かもしれませんが見えません。
イノシシが畑を荒らす、イノシシが民家を荒らす
↓
有害鳥獣なので駆除(猟銃で撃ち殺す、わなで捕獲)
↓
放射能汚染されているので食べることはできないから専用焼却施設を作ってイノシシ燃やす
という流れになっているわけですが、これは本当に正しいことなのでしょうか?ほとんどの人がこのことを考えもせず、「仕方ない」と無視しているようにしか見えません。人間が原発事故の際に豚を放置してしまい、それがイノブタになって数が増えてしまいました。生物を研究する専門家はどう考えているのでしょうか。人間が放射能汚染地に住み続けようとするためにこういったことが引き起こされているわけです。
私はこのままだと、行政は毒殺などしようと考えているのではないかと懸念します。鳥インフルエンザの流行を防ぐためという理由付けで、行政があっという間に公園の白鳥をすべて毒殺した例もあります。
市民も考え、専門家も知恵を絞り、これ以上環境汚染しなくて済むように解決策を提言して欲しいものです。
行政は、イノシシ専用焼却炉の稼働を「祝って」います。どうしようもありません。
警戒区域でイノシシ、イノブタ381頭捕獲 2015年03月11日水曜日 河北新報
2014年1月10日(金)NHK 避難区域で拡大するイノブタ被害 より転載
阿部 「原発事故からの復興を目指す福島で新たな問題が起きています。」
イノシシとブタが交配して生まれた「イノブタ」。原発周辺の地域で増殖しています。食べ物を求めて畑を掘り返し、牛舎に入り込んでエサを横取り。
金澤記者「きたきた。」 倉庫の扉を壊して、食べ荒らすなどイノブタによる被害が拡大しています。
阿部
「イノブタの被害が報告されているのは、こちら。原発周辺の、人が住むことができない避難区域です。避難区域の内、放射線量が比較的低い地域では、帰還へ向けた準備が今、進められていますが、イノブタが畑や家を荒らし、帰還の新たな障害になっています。」
鈴木
「イノブタは、原発事故のあと取り残されたブタやイノブタが、野生のイノシシと交配するなどして増えていると見られています。被害が最も深刻な、富岡町で取材しました。」
避難区域の福島県富岡町です。町の大部分は、日中に限って立ち入ることができます。
金澤記者「いたいた。」 町では、至る所にイノブタが出現しています。
金澤記者「大きいな。」
野生のイノシシと違って警戒心がなく、カメラマンが近づいても逃げません。このイノブタが、これまでの野生動物では考えられない被害をもたらしています。
避難先から自宅に通い、帰還へ向けた準備を進めている男性です。ある日、一時帰宅すると、家の中が荒らされていて驚きました。
松村直登さん「戸を閉めていたって開けるから。どろどろの足で家を上がり下りして。」
玄関に保存していたはずの砂糖や塩。調理用の油まで、あらゆる食料品を食べ散らかしていました。
松村直登さん 「イノシシは原則、家の中に入らない。イノシシは人間のにおいだけで嫌なのに、イノブタはにおいがあれば喜んでいる。」
イノシシ×ブタ 双方の特徴持つイノブタとは、いったいどんな生き物なのか。兵庫県南あわじ市の生産者を取材しました。
イノブタは、オスのイノシシとメスのブタを交尾させてつくります。豚肉よりも油がまろやかで、イノシシ肉よりも臭みが少ないといいます。生態の特徴は、雑食のイノシシに由来する旺盛な食欲。
「全部寄ってくるでしょう。」
そして、家畜のブタに似て、人を恐れないのも特徴です。このため、イノシシならば警戒して近寄らない家の中まで入り込み、なんでも食べてしまうのだと見られています。
さらに、避難区域での被害をより深刻にしているのが、強い繁殖力です。イノシシの倍の年間10頭前後の子どもを産むのです。
避難区域にイノブタ 新たな脅威震災当時、避難区域内でイノブタを飼育していた農家は富岡町の1軒だけ、その数は20頭余りでした。
しかし、住民たちは、現在富岡町で生息するイノブタは、少なくとも数百頭にのぼるとみています。さらに、イノブタの捕獲や目撃情報は、避難区域のあわせて5つの市と町に広がっています。
富岡町役場 黒澤真也農林水産係長
「野生のイノシシと交配して、いまの状況になったのかな。(住民の)帰還する気持ちをつなぎとめたいので、これ以上増やすことはできない。」
避難区域の市町村では、猟友会と協力して、イノブタの駆除活動を始めています。しかし、ワナの数が不足していたり、放射能の影響で作業時間が限られていたりと、効果は思うように上がっていません。
“イノブタ被害”が帰還意欲失わせる富岡町で増え続けるイノブタ。住民の帰還に向けた意欲さえも奪っています。畜産農家の坂本勝利さんです。
今は出荷はできなくとも、これまで飼育していた牛の世話を続けています。しかし、去年(2013年)の夏から、イノブタが牛舎に入り込み、牛のえさを食べてしまう被害に悩まされています。
畜産農家 坂本勝利さん
「イノブタにはほとほと。子牛のために餌をやったんだけれど、みんな食べられちゃう。」
エサ用にと、大量に仕入れた米も、すべて食べられてしまいました。これまで何度も追い払いましたが、すぐに戻ってくるため、もはやなすすべがありません。
このまま被害が続けば、資金面でも、精神的にも、帰還を諦めざるをえないと考えています。
畜産農家 坂本勝利さん
「こんなに戸まで壊しちゃって、ほとほと困りました。もう私は限界です。」
鈴木
「ここからは取材にあたった金澤記者とともにお伝えします。イノブタの被害、かなり深刻で、しかも対策もほとんど進んでいないということなんですね。これ何とかできないものなんでしょうか?」
金澤記者
「地元の市町村だけではイノブタの繁殖のスピードに、捕獲が追いついていないため、去年11月からは環境省も捕獲に乗り出しました。
ただ、そもそも避難区域にイノブタがいったい何頭生息しているのか、全く把握できていない状況です。さらに捕獲している地元の猟友会も、人手が不足しています。
原発周辺の野生動物は、放射能に汚染されていて食べることができないため、原発事故の前に比べて、ハンターの数が大幅に減っているんです。」
阿部
「しかし、このまま駆除できなければ、人が住めない状況にすらなってしまいかねませんよね?」
金澤記者
「はい。イノブタやイノシシは、春には出産のシーズンを迎えるため、さらに数が増える可能性があります。イノブタの生態に詳しい専門家は、手遅れになる前に対策を急ぐべきだと指摘しています。」
岐阜大学 連合獣医学研究科 石黒直隆教授
「人が住んでいない状況ですから、彼らにとっては生息域を広げている。頭数を減らしながら、元の環境に戻していく必要がある。ちょっと異常な状態ですね。」
金澤記者
「避難区域では、国が進める除染が大幅に遅れています。これに加えて、動物による被害が深刻化すれば、住民の帰還がますます深刻化することになります。捕獲の態勢を大幅に拡充するなど、被害を食い止める本格的な対応が今、求められます。」