“放射能汚染灰” 柏市の苦悩 (NHK 首都圏ネットワーク 2011年11月30日 放送)の文字おこしと動画リンク
http://cgi4.nhk.or.jp/eco-channel/jp/movie/play.cgi?movie=j_shutonet_20111130_1575
【文字おこし】
千葉県柏市にあるゴミ焼却場。原発事故のあと、(ゴミ焼却場の)作業員たちは防護服を身につけなければならなくなりました。作業員たちが向かった先にあるのは、高い濃度の放射性物質が含まれている焼却灰です。作業員たちは保管用のドラム缶に詰める作業に追われています。
焼却灰からはこれまでに、最高で70800ベクレル/kgの放射性物質が検出されました。首都圏で最も高い値です。
国が埋め立ての目安としている8000ベクレルを大きく上回るため埋め立て処理ができません。
ドラム缶の表面の放射線量は1時間あたり4マイクロシーベルト。1年に換算すると、一般の人が浴びる放射線の限度1ミリシーベルト/年をはるかに超えています。このためコンクリートの建物の中で保管を続けています。
なぜ、焼却灰の中から高濃度の放射性物質が検出されているのか。
原因は焼却施設の性能の高さにあります。ゴミを超高温で燃やす過程で放射性物質が濃縮されてしまうのです。
そのしくみです。焼却場でゴミは900度で燃やされ、その量は1/10に減ります。さらにその灰を1200度の超高温で溶かすことでゴミは元の量の1/100にまで減るのです。しかし、放射性物質は減らないため濃縮されてしまうのです。
施設の中で保管している焼却灰は現在ドラム缶で756本に達しています。
作業スペースや通路などに保管してきましたが、年内にもいっぱいになる見通しです。
作業員「ごらんのとおり、ここはメンテナンス通路です。機器類もありますので機器類のアクセスが取れないという状況になると思います。もういっぱいいっぱいの状態です」
柏市は東京電力に対して、灰の保管場所を確保するよう求めてきました。しかし、東京電力は「適当な用地の確保は極めて困難」と回答するだけでした。
一方、国も焼却灰の処分について、現状ではそれぞれの自治体が行うことが原則だとしています。その上で、放射性物質を含む灰の処分方法について、10万ベクレル以下の場合、コンクリートで固めるなどすれば安全に埋め立てできるという方針を示しました。
しかし、柏市には灰を固める施設はない上に、放射性廃棄物を扱った経験もありません。国が示した方針は、市にとっては実現不可能なものでした。
市職員「どこまで自治体がやればいいんだ。結局は枠組みは作られたけど、実務は全部自治体がやりなさいっていう状況が起こるとしたら、それは本当に我々にとっては大きな負担になると思います」
放射性物質を含む焼却灰と隣り合わせの生活に、住民たちは不安を募らせています。この日、市は住民向けの説明会を開きました。
柏市は、焼却場の外の放射線量に変化はないとしていますが、住民からは質問が相次ぎました。
住民「へたすると置きっぱなしになる可能性があるわけです」
住民「もうそれ以上入らない状況になってきているわけでしょ、そうなったらどうするのか、野積みをするような段階になるのではないでしょうか」
市職員「(焼却灰の)行き先がない、市外に出せない、市外に出した時にどの市に持っていくんだと問われると、どうしても持っていく場所がない。」
国から現実的な支援がない中、市は住民たちの不安の声に応えることができません。
放射性物質を含む焼却灰を少しでも減らすことができないか、柏市は今、苦肉の策をこうじています。放射性物質を多く含むと思われる落ち葉や草木を、一般のゴミと分けて回収しているのです。
回収された草木のほとんどは、焼却場で燃やさずに別の場所で一時保管しています。しかし、この場所も年内でいっぱいになる見通しです。
このままでは、ゴミ処理が止まるという最悪の事態に陥りかねない、一刻の猶予もない柏市は今日、国に厳しい現状を訴えました。
柏市 秋山浩保市長「・・・なんとか見通しをいただけないかと・・」
細野「・・・・・」
しかし、国から具体的な回答はありませんでした。
市職員「われわれがこれほどまで困っていることに対して、今の段階だと結果が出てない、それを市民の方々も(その影響を)受けてしまっている。その事実はきちんと受け止めてほしい、それは国に対しても東電も」
明日から12月。一年でゴミの量が最も増える時期です。ゴミの処理が止まるという最悪の事態を防ぐことはできるのか?柏市の苦悩は続きます。
焼却灰をめぐる問題は、柏市だけでなく首都圏全体で大きな問題となっています。
灰から1kgあたり8000ベクレルを超える放射性セシウムが検出された焼却場は関東地方で5つの都県の合わせて24の(焼却)施設。
NHKがこれらの施設に取材したところ、埋め立てできずに一時的に保管されている焼却灰は、
今日現在で合わせて5150トンにのぼっていることがわかりました。
これはこの一ヶ月だけでおよそ1.4倍に増えたことになります。これから一年で最もゴミが多くなる年末年始を迎え、焼却灰も一層増えることが予想されますが、放射性物質を含む焼却灰の処理について国などによる対策を一刻も早くすすめなければならない事態になっています。
管理人より
これは2011/11/30のNHKの放送です。地方に住んでる人はこのニュースを見ていないと思います。地方の人は首都圏の一般ゴミ焼却灰が、超高濃度になっているということすら知らないのかもしれません。 一般ゴミでさえ、この濃縮、汚染。NHKはこの原因を「超高温焼却で濃縮するため」としていますが、呆れました。
燃やしてるゴミが相当に放射能汚染されているということに言及されていません。
生ゴミはもとは食材から出たもの。食材が放射性廃棄物レベルに汚染されているから、灰に濃縮するということが大きい原因です。原因をあたかも焼却の仕組みだけが問題であったかのようにすり替えています。
「ゴミ自体が汚れてるから」ということにいっさい触れずに、焼却施設の性能の高さのせいにするNHK。これは問題だと思います。(文字おこし下線部)
しかも、震災がれきの焼却でも市民が散々調べて追求していますが、
バグフィルターを通り抜けて煙突から出される放射性物質に関してなんの言及もありません。(大気中に放射性物質を拡散していることには触れない)
70800ベクレル/kgの灰が出るなら、実際、排ガスにはどれだけの放射性物質が含まれているか、排ガスの検査はどうなっているのかは報道されていません。
焼却場の外の空間線量だけの問題にすり替えています。(文字おこし下線部)
問題は空中に浮遊する放射性の微粒子です。周辺住民の方はその微粒子に注意しなければならないのです。
しかも、もやせない落ち葉などは野積み、シートかぶせ程度。腐ったら土壌にセシウムなど濃縮⇒地下水に混入するのではないでしょうか?
ニュースの中でも「放射性物質は減らない」とこれだけは正しく言っているのでもっと追求して欲しかったです。煙突から漏れ出る放射性物質のことも。
首都圏では一般ゴミ焼却工場の煙突から放射性物質が再拡散していると思われます。(がれきの焼却以前に)
柏市はホットスポット。まずそれを認めなければ、被曝低減対策や、放射能防御の対策など進まないと思います。
国は現在何もしてませんが、今後、震災がれきを焼却した自治体に、こういった汚染灰を押し付けてくるのではないかと思います。要注意です。
柏市の秋山浩保市長が細野元環境大臣に申し入れていたのを見てゾッとしました。
このニュースから分かること
●福島第一原発から約200km離れたところにもホットスポットがあり、流通食材が放射能汚染されている。基準値以内のものでも十分汚染されており生ゴミの汚染がそれを証明している。首都圏も同じ。その点をNHKは触れない。
●ホットスポットでは草木落ち葉などにも焼却できないほどの汚染がある。
●灰に関して東電は何もしない。
●一般ゴミ焼却は地方自治体の自治事務。役所には放射性物質を扱える人はいない。ごみ焼却場職員は原発労働者と同じ被曝労働。
●自治体は、大気中に拡散する放射性微粒子に対して無視。灰は溜まる一方。
●住民説明会では煙突から出される空中浮遊の微粒子に着目しないように、空間線量の値に誘導する。
追記
2011.8.4【汚染】柏市が小学校や住宅街に隣接する最終処分場に「最高70800ベクレル/kgの放射能焼却灰」25トンを埋め立てていた
http://savechild.net/archives/6611.html
柏市はこの高濃度の放射性物質の含まれる焼却灰を2011年6/4〜6/22までに、3回にわたり柏市の最終処分場に25トンも、すでに埋め立てています。
http://savechild.net/archives/4930.html によると
2011年7月時点で「約2カ月で灰の保管スペースがなくなり、一般家庭などからの可燃ごみの受け入れが不可能になると予想される。」
と言ってますが、今度こそ本当に置き場がないのでしょう。
まさか「置いて応援」か?
追記
なんか柏市の焼却場に溜まってるドラム缶見てておかしいな・・・と、本当は緑色じゃなくて黄色いドラム缶でなければいけないのでは?
http://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/2e8d29e54062602c39640e265c78cacc より
柏市清掃工場 焼却灰の放射能量測定結果(平成23年8月分)
●柏市清掃工場(北部クリーンセンター)
流動床式焼却炉 (使用開始1991年)
飛灰固化物(採取8月17日)放射性セシウム合計値:3,420Bq/Kg
●柏市第二清掃工場(南部クリーンセンター)
ストーカ式+灰溶融(使用開始2005年) ←日立造船のアーク式
溶融飛灰固化物(採取8月22日)放射性セシウム合計値:33.300Bq/Kg
追記 2012年12月18日 現状を確認しました。
現在、焼却灰はドラム缶に入れて、収集事務所駐車場に作られた仮保管庫に移動されています。30センチの厚さのコンクリートの中に1800本の焼却灰のドラム缶があります。
1本が200kg、1800本 計36万トンの放射性廃棄物が保管され、仮保管庫は閉じられた状況。南部クリーンセンターは焼却を中止しています。
草木を分けて、北部の流動床型の焼却炉で対応しているが、国が最終処分場を用意するまでは、仮保管庫で保管するしかないそうです。
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080600/p013765.html
私はこの仮保管庫は何年持つのかと思いました。
「北部で焼却すると灰を溶融しないため埋め立てられるレベルになる。」と言われましたので、最終処分場のデータを見て見ましたが
びっくりしました。5センチの高さのところで0.41マイクロシーベルト/時。
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080400/p013620.html
測定結果(単位:マイクロシーベルト/時)測定日
測定高
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12月14日(金曜日)
5センチメートル
0.41 0.29 0.20 0.29 0.21 0.27 0.34 0.18 0.29 0.33 0.1550センチメートル
0.29 0.25 0.19 0.23 0.16 0.21 0.29 0.17 0.29 0.32 0.17 100センチメートル 0.21 0.18 0.17 0.24 0.17 0.18 0.29 0.19 0.28 0.31 0.18私は、煙突から出る煙の中にも放射性物質が含まれること、HEPAフィルターを付けることはできないのかということなど話しました。柏に友人がいます。大気浮遊じんをこれ以上増やさない方法を考えて欲しいです。
結局、ガス化溶融炉の南部クリーンセンターで草木と一緒に燃やすと8000ベクレル/kgを超えるので、草木を分けて別に貯めて、ゴミは北部クリーセンターで燃やして8000ベクレル/kg以下にして焼却灰を埋め立てているということです。
しかし、HPを見ても、もはや焼却灰の濃度は掲載されていません。空間線量だけ。もう濃度を市民に公開してません。排ガスのデータもどのくらいの頻度でどうやって測ってるかもHPではわかりません。
2012年の11月に環境大臣あてにホットスポット5市の市長が連名で緊急要望書を出しています。↓
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080100/p013435_d/fil/youbousho.pdf
避難できない人のために、追加の被曝を軽減する施策を考えなければ住民の健康は守ることができないと思います。
2012年6月の住民説明会の動画がありました。市長が仮保管庫、分別について説明。草木だけが原因というのも・・?
8000ベクレル/kg以下でも本来3.11以前なら十分ドラム缶レベルです。北部クリーンセンターの草木なしゴミで1400〜3420ベクレル/kgです。
十分高いです。
資料より
質疑応答より
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080100/p011870_d/fil/H240610shitugioutou.pdf
北九州市と同じで、どうやってどのくらいの頻度で排ガスを検査してるという説明は住民説明会ではなかったです。HPにも。
東電から市に放射性物質を含む焼却灰対策費用として賠償金が入金されていました。
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080100/p013460.html
まとめ
ホットスポット地域では、東電によって撒き散らされた人工放射性物質の影響で、本来焼却処分できるものが(雑草・草木枝など)できなくなっている。草木なしの一般生活ゴミの汚染レベルを行政はなぜか低く見積もっている。排ガスについて目を向けさせない。説明もほとんどない。最大着地濃度距離を試算したかどうかもわかりません。
ほかの市の対応より安心だという印象付けのような気がしました。「〜市さんの対応でも十分なんですが当市ではこんなにやってます」