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この放射線リスクモデルは、広島・長崎の原爆生存者のデータに基づいております。
しかしこの日本人の被爆者たちのデータというのは最初から捏造されていたということを言わねばなりません。
というのは、この広島・長崎の原爆生存者のデータというのは、1950年からはじめて統計化されたものだからです。
それまでに何万人もの人々がすでに亡くなっています。そしてこの1mSv/人/年ですとか20mSv/人/年という放射線安全概念というのは、もともとは戦場によって、兵士が何時間かあるいは、何日間か生き延びられればいいということを前提とした上での数字だということです。
それから原発作業員の放射線防護に関しては、労働現場においては、どういった放射線核種があるかということが
わかっているわけですから、より簡単に想定できるものです。
そこで第3の結論としましては、こういった公式の放射線被曝に関する概念といったものは、チェルノブイリですとか福島の人々に対して用いるには適切なものではないということです。
このあと、私の手元に2枚のスライドがありますが、今までお話して来たような理論的な専門から離れて実際的にどうなっているか見てみましょう。
2週間前に私のドイツの友人である、アルフレッド・ケルプライン博士という人がドイツの雑誌に発表したんですが、この論文のタイトルというのは、「福島における乳幼児の死亡」というものでした。ケルプライン博士が用いたデータは日本の厚生労働省によるものです。皆さんもこのデータを見ることができます。そして今どういうことになっているか見てみましょう。
これは2002年からの日本における乳幼児の死亡数です。
福島の事故が起きた直後、それから2ヶ月後に乳幼児の死亡数が非常に増加しております。
この今までの平均的な値から離れているということは、これは偶然ではなくて実際の統計上の事実です。
私は強調したいと思いますけれども、日本全体にとって、このデータは何を意味するんでしょうか。
これは日本全体の乳幼児死亡数の分布なんですけれども、東京ではこの平均値からの増加というのはもっと大きいものです。
そしてケルプライン博士の論文によれば、南ドイツのバイエルン地方においてもチェルノブイリ事故の2ヶ月後および10ヶ月後に同じような乳幼児死亡率の増加が見られたということです。
2番目の図ですが、これは出産数です。真ん中の太い線が日本の平均値を表しております。
それが福島の事故から9ヶ月経って日本の出産数は非常に減少しております
いまこの論文は発表されたばかりですので、いろんな方面から検討されるでしょう。
そして福島の制度がないという別の説明がされるかもしれません。しかし私は福島の事故以外の説明はありえないと考えています。
南ドイツの強度に汚染された地域でもこれと全く同じ統計が見られました。
これまで話したことから、そしてこのグラフから、みなさん自身で判断していただきたいと思います。
この自分の発表の中で私は、「低線量被曝は危険ではない」という概念についてずっと批判をしてきたわけですけれども、実際にこの2つのグラフによっても、「低線量被曝は危険だ」ということが示されているのではないでしょうか。
私は細かいところは、みな端折ってお話しましたのでもしご質問があれば、お返事しようと思います。
【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】 ?〜?
ヤブロコフ博士 参考資料 2012/12/15
http://www.foejapan.org/energy/evt/pdf/121215_a.pdf
市民社会にとってのチェルノブイリ原発事故の教訓 アレクセイ・V・ヤブロコフ
アルフレッド・ケルプライン博士 関連参考記事
木下黄太さんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/95b9bfbec0e065b54396a67b1684901d
http://d.hatena.ne.jp/eisberg/20110518/1305711941
放射線防護専門誌「放射線テレックス」12月号
フクシマ事故後の日本での新生児の死亡率
http://donpuchi.blogspot.de/