福島県田村市の田村森林組合敷地内にできた高さ5メートルのバークの山=2012年7月、栗田慎一撮影
原発事故:福島の製材樹皮4万トン滞留 特措法の想定外
http://mainichi.jp/select/news/20120803k0000m040141000c.html
毎日新聞 2012年08月03日 02時30分(最終更新 08月03日 02時51分)
東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響で、製材時に生じる樹皮(バーク)が行き場を失い、福島県内の木材業者の敷地に計約4万トン山積みされて保管されていることが、県と県木材協同組合連合会(県木連、約220社)の調査でわかった。放射性物質を国が除去することなどを定めた放射性物質汚染対処特別措置法は、このような事態を想定しておらず、滞留バークは毎月数千トンずつ増え続けている。県木連は「業界の対応だけでは限界がある」として、東電に対策を求めている。
バークはスギやヒノキなどの表皮を3〜5ミリはいだもの。家畜飼料や肥料などに使われるが、放射性セシウムの濃度が1キロ当たり400ベクレルを超えると出荷が禁じられ、滞留バークの多くがこの基準を上回っている。東電は汚染されたバークについて、保管場所設置費を損害賠償対象にしたが、処分や引き取りには応じていない。
県木連によると、バークはセシウム濃度の基準値を下回っても買い手がつかず、滞留量は増加の一途。焼却後の灰が同8000ベクレル以下の場合、国は一般廃棄物処分場での埋め立てを認めているが、焼却施設側が受け入れを拒否するケースが相次いでいる。
県木連の宗形芳明専務理事は「バークの体積を圧縮したり、敷地に余裕のある事業者が引き取るなどしてきたが限界だ」と話す。県木連は東電に▽石炭火力発電所での混焼▽仮置き場を東電所有地に設置▽木質バイオマス専用焼却施設の建設−−などを要請している。東電広報部は「火力発電所での混焼は社内で検討中だ」としている。
バークの滞留は近隣県にも広がり、栃木県によると、3月末現在で計約3000トンが行き場がない状態だ。群馬県も「相当量が滞留している」という。
廃棄物の排出者責任に詳しい植田和弘・京都大大学院教授(環境経済学)は「将来の原子力事故も視野に入れ、国と東電は責任を持って法整備を含めた解決策を図るべきだ」と指摘している。【栗田慎一】
( 管理人より )このニュースは昨年のものですが、バークがいかにどうしようもないのかがわかります。栃木群馬でも発生しています。田村森林組合のバークの山はこの後どうなったのか、気になってグーグルストリートビューで見てみました。http://bit.ly/MpEtOv
2013年9月でこの状態でした。減っていたとしても増えていたとしても、なんともやりきれません。減ってたとしたらどこに行ったのか?どう処分したのか?
国策のバイオマス事業に問題があると指摘するやいなや、利害関係者は猛反発です。
「バイオマスと、汚染木を結びつけるな、バイオマス自体は悪くない!」と、バイオマス業者は考えているようです。事業の問題点を指摘する市民に対し、原発推進派の論理を使って押しつぶそうとしてきました。利害関係者がいかに多いかがわかりました。
木質系、発酵系、エタノール系の業者とも、ツイッターでやり取りしましたが、まったく意見がかみ合いませんでした。汚染に目をつぶったり、廃棄物の利用は絶対必要だと、汚染地域に住み続けるためにバイオマスの必要性を主張する業者もいました。エネルギー収支に関してはどの業者も答えませんでした。
わたしは、別に「反バイオマス」のため、とか「反対すること自体が目的」で、実態を伝えているわけではありません。
「被曝を追加させない」ために、「西日本の土と水を守る」ために、汚染された木に注目し、その行方を追いかけなければならないこと、バイオマスに関わる政治のしくみを検証し、バイオマス技術そのものも同時に検証しなければならないということを伝えているのです。
放射能汚染地域とそうでない地域の明確な区分がされておらず、木材の規制も流通もゆるゆるの現状で、日本全体のバイオマスの安全が確保できるとは到底言い難い状況です。
汚染地域のバイオマス利害関係者がどんなに否定しても、その仕事に従事し続ける限り、自らも追加被曝させられ、他人にも意図せず追加被曝を強要することにつながるのです。
集中管理すべき公害原因物質が、国により拡散中。 汚染木質チップ問題は国家による犯罪としか言いようがない・・・
↓このようにバークは、大型機械を化石燃料を使って動かし、粉砕されます。
バークを移動させるだけでも、大量のホコリが
2009年撮影2012年5月28日アップロード 「 いわきの資源 木質ペレット 」↑の動画を見ると、バークについて語られていました。
ペレットの元になる「おが」を乾燥するために 、米の乾燥機を転用した乾燥機を利用しているが、乾燥の際に80度のお湯を作る。そのために、灯油の代わりに「バーク」を燃やしている。
ペレットを作るのに、バークを燃やしてるんですね。汚染バークを燃やすペレット工場からも、放射性微粒子が再拡散する可能性があるということがわかります。
ペレットを製造するのも、まず工業製品の大型の機械が作られ、電気で動かしています。運ぶのも切り出すのも全て、機械で、動力に化石燃料が使われています。
バークを使った肥料についても調べてみました。
肥料中の放射性セシウムの暫定許容値:400 ベクレル/kg となっています。
肥料・土壌改良資材・培土の暫定許容値設定に関するQ&Ahttp://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/hiryo_info/cs_qa.html
主に牛糞肥料の検査結果
平成24年度までの結果 全国版(〜平成23年12月)(PDF:112KB) 全国版(平成24年1〜3月)(PDF:52KB) 全国版(平成24年4〜6月)(PDF:54KB) 全国版(平成24年7〜9月)(PDF:60KB) 全国版(平成24年10〜12月)(PDF:56KB) 平成25年度の結果 全国版(平成25年4月〜6月)(PDF:56KB) 全国版(平成25年7月〜9月)(PDF:54KB) 全国版(平成25年10月〜12月)(PDF:59KB)「みんなのデータサイト」から肥料や炭など検索してみました。
汚染木でも最も汚染度が高いバークについて、どのぐらい流通しているのかわかりません。検索していたらこんな資料が出てきました。
平成25年度国有林材の安定供給システム販売(第1回)公募結果
http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/apply/publicsale/wood/pdf/1kouhyou_.pdf
この関東森林管理局の資料を見ると、最も汚染の激しい福島県のバークが流通していることがわかります。福島だけでなく東北の汚染木が、住宅用の木、チップ、バイオマス、ベニヤ、製紙用のパルプなど、もう止めようがないほど加工製品化され流通しているという事実が浮かび上がります。
石炭火力発電所での混焼に木質バイオマスも使われていることは、昨年ブログにも書きましたが、
福島県いわき市の勿来火力発電所の石炭灰を 津久見市の太平洋セメントが受け入れ
福島県いわき市勿来火力発電所の石炭灰は、苅田町の三菱マテリアルにも来ていた!電凸
【証拠有り】宇部市対岸の苅田三菱マテリアルで東北の火力発電所からの石炭灰が燃やされています。
福島県の県木連が石炭火力発電所での混焼を求めていたという上の記事を読んで、驚いたので追加で調べてみました。
電気事業連合会HP電気事業のデータベース(INFOBASE)より
中国電力火力発電所に電凸した結果を記します。(昨年の11月)
中国電力 新小野田発電所(石炭火力発電所) http://www.energia.co.jp/onoda-h/other/gaiyo.html
オーストラリアからの輸入石炭と木質バイオマスを混焼。
木質バイオマスは山口県森林組合と日本樹木リサイクル協会経由で仕入れた、どこからかわからない5cmの木質チップ。 焼却灰はセメントリサイクルだそうです。
さらに、バークが身近な農地にまで迫って来ている可能性のある例を上げます。
炭素循環農法(たんじゅん農法)という、農地改良の指導として、各地で畑に木屑を埋め込む指導が行われています。
今年一月に、九州、糸島で行われた、お話会に参加した人の話を聞きました。
講師は、なんと、バイオマスで使えなかった東北の木くずなどを土壌改良のために畑に、機械を使って埋め込むなど、利用する方法を考えていて実験中だそうです。(まだ、初めて2年)
「被災地は大変なんだから、汚染木くずもどうにかして処理していかなければならない」と言って、そこを強調していたそうです。九州地区バイオマス関係者と話をしているということも言っていたそうです。
圃場整備の「助成金をもらおう」という話もあったそうです。
汚染を免れた九州の土に、「農地改良」と称して、このようなことが推進されようとしている動きに驚きました。
本来の炭素循環農法とはまったく違うと、参加者は言われてました。
七府省あげての、再生可能エネルギー事業の一端はこういうところにも現れています。
汚染木材を使えば、バイオマス事業者や農家さんなど、当事者にはそのつもりがなくても、危険性を知らなければ、結果的に放射能拡散に加担する事業となってしまうことを、どうかみなさん知らせてください。
「もう遅い」ではなく、どうかひとりでも多くの人にこの事実を共有してください。
土を汚したら、安全な野菜を作れなくなります。