(管理人より)昨夜、茅ヶ崎のチタン工場で火災が起きていました。夜中の火災は煙が見えないため、火災の規模を市民が認識しにくいといった状況があります。報道を見ていくことにします。
神奈川のチタン工場で火事、砂を使った消火活動続く
神奈川のチタン工場で火事、砂を使った消火活動続く
TBS系JNN 6月18日(木)6時54分配信
17日夜遅く、神奈川県茅ヶ崎市の工場で火事が発生し、現在も消火活動が続いています。けが人はいないということです。17日午後10時45分ごろ、JR北茅ヶ崎駅近くで「黒い煙が見えている」と110番通報がありました。
警察などによりますと、チタン製品製造メーカー「東邦チタニウム」の、チタンの粉じんを保管している建物が1棟燃えているということで、化学車を含む消防車などが合わせて17台出動しています。けが人はいないということです。
熱を持ったチタンの粉じんに水をかけると爆発を起こす可能性があるため、現在は砂を使っての消火活動が続けられています。
現場には火の気はなかったことから、警察は事故と放火の両面を視野に捜査を進める方針です。(18日05:30)
最終更新:6月18日(木)12時15分
金属の火事に水をかけられないことは、このブログでもずっと言い続けてきましたが、今回も同じように砂の対応。これです↓
神奈川・茅ケ崎で工場火災 相模線が一時運転見合わせ
2015年6月18日02時07分 朝日新聞
17日午後10時45分ごろ、神奈川県茅ヶ崎市茅ケ崎3丁目の東邦チタニウム茅ケ崎工場で火が出ていると、110番通報があった。消防車などが出動。けが人は確認されていない。近くを走るJR相模線が一時運転を見合わせた。
茅ヶ崎市消防本部や県警によると、放水すると危険な物質の可能性があるため、消火活動はせず、延焼防止対策をして、火勢が弱まるのを待っているという。
火災事故の影響でJRも止まっています。上空にヘリを飛ばしてたようです。
https://twitter.com/happyanimal1204/status/611191096136216576
爆発の危険があるということで道路も封鎖され、交通規制がかけられています。
https://twitter.com/Bellceretaku/status/611181869304930308?autoplay=true
https://twitter.com/1007xKazuki/status/611206112797298688
ツイッターに画像が上がっていました。見えにくいですがかなり高くまで煙が上がっており、
目撃した市民の方が、「ボンボン爆発音」「相模線から見える。工場火災は怖い。黒煙と臭いがすごい」とツイートしています。
https://twitter.com/moco_rua/status/611173546631376896
このようにメディアの報道は、「けが人なし」をタイトルに持ってきて安心させたり、NHKのように「工場の周りの住宅などに延焼するおそれはない」と安心させるような言い回しをしています。↓
結局 12時間以上燃え続けました。 その間、有毒な煙は出続けたということです
どのくらいの煙がどの方向に流れたか、有毒ガスではないか、爆発の危険があったのかなどという記述は、ニュース記事のどこにもありません。
今回火事があった建物は、チタンの粉じんを保管しているところです。
製品安全データシート より
チタン(粉末・乾性のもの)⇒ 「火災時に刺激性、腐食性、毒性のガスを発生するおそれがある。分解生成物を吸入すると、重傷や死に至るおそれがある。」
原子力規制委員会HP 自然起源の放射性物質を含む物の流通について を見ると
放射能濃度 チタン鉄鉱では,238Uで1.5 Bq/g程度,232Thで1 Bq/g程度 と書いてあります。
つまり、放射性ウラン238 1,500Bq/kg 放射性トリウム232 1,000Bq/kg
チタン鉱 自然起源放射性物質(NORM)データベース:独立行政法人 放射線医学総合研究所 より
放射性物質を含む金属の粉塵が燃えて、煙になって周囲に飛散しているのに、メディアはなぜニュースでその危険性を伝えないのでしょうか?
テレビしか見ない人は、その危険性を知ることはできません。
明らかに周辺の空気を汚染しているのに、問題を過小評価するような報道に嫌気がさしてきます。
周囲の住民に知らせることで窓を閉めたり洗濯物を取り込んだり、マスクをしたりできたはずです。
今回火災事故を起こした東邦チタニウムは2013年にも事故を起こしています。
東邦チタニウム株式会社 CSRレポート2014 の24p を見ると
2013年6月4日、東邦チタニウム茅ヶ崎工場において、四塩化チタンの漏洩事故が起きています。
今年また周辺住民に迷惑をかけたことになります。 CSR報告書2015に書いて終わりでしょうか。
日本チタン協会 トラブル事例と対策 を見ると日本中のチタン工場で燃焼・火災事故が起こっています。
燃焼・火災 チタン製圧力容器やバルブ(潜水ボンベやレギュレータなど)発火 チタンパイプを溶断していたら、着火し持続燃焼 チタンビレットの研削粉に着火 チタン粉の混合中、発火 鱗片チタン粉末が発火 チタン合金鋳塊の燃焼 チタン板のバフ研磨粉の発火 切削切粉の燃焼 粉末チタン発火チタンは製造工程でたくさんのゴミが出ます。 ↓いくつかチタン廃棄物についての記事をアップしておきます。
酸化チタンの製造工程から排出される廃棄物の放射能が最初に問題になったのは1990年でした。高レベル処分場の拒否条例を求める岡山の市民運動が、産廃処分場で異常な放射線を検出して発覚。チタン鉱石には不純物としてウランやトリウムが含まれており、これが汚泥や鉱さい中に移行したことが分かりました。
チタン関連工場 会社名主工場所在地処分場(推定) 酸化チタン工場 テイカ 岡山市 岡山県内民間処分場 古河機械金属 大阪市 大阪湾フェニックス神戸沖処分場 富士チタン工業 神戸市 神戸市内自社処分場 石原産業 四日市市 県環境保全事業団三田最終処分場 堺化学 いわき市 いわき市内自社処分場 チタン工業 宇部市 山口市内自社処分場 ジェムコ 秋田市 秋田県内自社処分場 金属チタン工場 東邦チタニウム 茅ヶ崎市 ? 大阪チタニウムテクノロジーズ 尼崎市 ? 当時の科学技術庁は、原子力安全局次長を座長に動燃事業団、原研、アイソトープ協会等の委員で構成する「チタン鉱石問題検討会」を設置し、チタン関連の工場や処分場の放射線量は十分低く、労働者等の健康被害もなく、安全上問題はないとの報告をまとめます。これを受けて、91年6月、科技庁、厚生省、通産省、労働省の4省庁が処理方針をまとめ、関係自治体やメーカーに通知(以下「4省庁通知」という)を出し、「廃棄物の空間放射線量率が1時間当たり0.14マイクログレイ以下に限り、放射線を測定、記録したうえで工場外に搬出できる」との基準が設けられました。
4省庁通知の最大の問題は、放射性のチタン廃棄物を、廃棄物処理法の定義に反して産業廃棄物と位置づけた点にあります。廃棄物処理法の廃棄物の定義では「放射性物質及びこれによって汚染された物を除く」と明記してあり、この条文には放射能濃度の定めがないため本来いかなる低レベルのものであっても産業廃棄物として処分してはならないと解釈されます。ところが、4省庁通知で、この定義に反して0.14マイクログレイ以下のチタン廃棄物を産業廃棄物とすることを認めてしまったのです。
問題のチタン鉱石や廃棄物は、ウランやトリウムを含むわけですから、本来は原子炉等規制法の「核原料物質」に該当します。ただし、低レベルであるため原子炉等規制法施行令で届出が免除され、チタン鉱石、廃棄物は何の規制も受けてこなかったのです。4省庁通知の0.14マイクログレイ毎時という基準は、一般人の被曝限度である年間1ミリシーベルトから算出されています。低レベル放射性廃棄物のスソ切り処分よりも100倍甘い値が採用されていることになります。
チタン廃棄物から漏れる放射性物質の恐怖
◆チタン鉱石から抽出野積みの「フェロシルト」
’05年11月。愛知県瀬戸市下半田川町の住民は驚いた。雨のあと、川が突然真っ赤に流れ出したからだ。「犯人」は、源流が流れる谷間を埋め尽くした「フェロシルト」という赤茶けた汚泥状の物体だ。作ったのは、酸化チタン製造トップメーカーの石原産業(大阪市)。
酸化チタンは、冷蔵庫や洗濯機などの「白物」に欠かせない顔料の原料だ。チタン鉱石から硫酸を使いチタンを抽出すると、最終処分場行きの膨大な産廃が排出される。石原産業はこれを化学処理し、造成工事の路盤材などに利用する「リサイクル商品」として’02年から「フェロシルト」との名称で愛知県や岐阜県、三重県などの東海地方で販売を始めていた。
ところが、その販売の実態は、「保管」と称しての不法投棄そのもの。東海各県の谷にフェロシルトの山が野積みされたのだ。
チタン鉱石にはもともと、ウランやトリウムなどの放射性物質が含まれている。そこで、市民団体が調査してみると、フェロシルトにもそれらの含有が明らかになった。しかし、石原産業も行政も「放射線値は国の基準以内」として根本的対処をしなかった。
この見解に異を唱えたのが、京都大学原子炉実験所の小出裕章氏。小出氏は、愛知県のフェロシルトが積まれた現場から下半田川町までの川を2~3km歩き、調査した10か所すべてで川砂からトリウムを検出した。
「トリウムの半減期は140億年、汚染は永遠にその土地に留まる」
事態が急転したのは’06年6月。野積みされたフェロシルトから、環境基準の15倍もの六価クロムが検出されるに至り、ようやく行政も腰を上げ、石原産業は72万tの全量撤去に追い込まれた。
小出氏はこう語る。
「本来、産廃処分場に行かねばならないチタン鉱石の膨大なクズの始末に困った企業が、『リサイクル商品』として売ることで産廃に対する管理の手抜きをした。始末できない廃物、放射性物質が生じる行為自体をやめるべき」
◆膨大なチタン廃棄物からウラン、トリウム検出
’90年7月。岡山県邑久郡邑久町の錦海塩田跡地にある産廃最終処分場で、毎時5μSvという通常値の50倍もの放射線量が測定された。
埋められていたのは、放射性チタン廃棄物。チタン鉱石から硫酸を使ってチタンを抽出したあとに排出される汚泥や鉱さいのことだ。その量26万t。
ところが、ここだけではなかった。岡山県内だけで10か所で140万t。岡山県外でも大阪湾、兵庫県神戸市、三重県四日市市、福島県いわき市、山口県山口市、秋田県岩城町、神奈川県茅ヶ崎市、兵庫県尼崎市と全国各地の「酸化チタン」工場周辺が廃棄した膨大な量のチタン廃棄物すべてからウランやトリウムが検出されたのだ。
ところが、科学技術庁(当時)は、「チタン関連の工場や処分場の放射線量は十分低く、労働者等の健康被害もない」との「安全宣言」を出し、この問題を収束させた。
’91年6月には、科技庁、厚生省、通産省、労働省の4省庁が、関係自治体やメーカーに「チタン廃棄物の放射線量が年間1mSv以下の場合は、工場外に搬出できる」「それ以上の場合は自社で回収する」との基準を示した。これにより、放射性廃棄物であるチタン廃棄物は普通の産廃として位置づけられることになったのだ。通常、ウランやトリウムなどの「核原料物質」は、原子炉等規制法の下で厳重な管理が求められるはずなのに。
この件で、岡山県の市民団体の調査に協力した京都大学原子炉実験所の小出裕章氏は、こう語っている。
「そもそも、廃棄物の総量が大きな危険をはらんでいます。酸化チタンの生成過程で排出される放射性廃棄物は年間で60万t。ドラム缶に換算すると300万本ですよ。これがどれほどすごい量かというと、原発からの放射性廃棄物はドラム缶にして年間2万本にもならない。企業とすれば、適正な処理よりも捨てるほうが楽なわけです」
現在、チタン廃棄物は管理型最終処分場に運ばれているが、場所によっては、処分場から赤い水が流れてくる地区もあるという。多くの住民はそれが放射線を放っていることすら知らないはずだ。
チタンという金属は、産業には役に立つレアメタルという扱いになっていますが、実態は放射性物質を含んでいるため始末に負えない廃棄物が出て、火災事故が起きた場合は砂を掛けるしかないという悲惨な状態になるということです。
東邦チタニウムのCSR報告書を見ても、実際のところ放射性廃棄物をどうしているかはわかりませんでしたが一応、廃棄物に関するところを抜粋して貼り付けておきます。
p29より
汚泥が 年間400トン とか・・・・ 埋め立て 年間400トン どこに埋めてるか書いてありません。