愛知万博で守ったのに…「海上の森」隣に太陽光施設
朝日新聞 2016年2月16日04時04分
愛知万博の会場計画を大幅縮小して自然環境を保全した海上(かいしょ)の森(愛知県瀬戸市)に隣接する林地が切り開かれ、太陽光発電施設が建設されていた。瀬戸市は「環境万博の理念を継承するエリアにふさわしくない」と2013年に中止を勧告したが、その後の開発に市民の指摘で今月に気づき、調査に入る方針だ。
現場は海上の森の北東端に接する民有地。13年以前にあったヒノキやスギの林が幅約100メートル、奥行き約200メートル以上にわたり切り払われ、砂利で整地された斜面にパネルがびっしりと並ぶ。開発した名古屋市の建設業者によると、出力1174キロワットのメガソーラー。大型重機が10台ほどあり、一部は高さ約2メートルの有刺鉄線やフェンスで囲まれている。「監視中」「私有地」などと書かれた看板もある。
近くの沢の水は海上の森へ流れ、下流には湿地や県の自然環境保全地域がある。また、県は森全体を保全するため万博翌年の06年に条例を定めている。
瀬戸市によると、建設業者は13年1月、この民有地で既設の資材置き場2カ所を含む5ヘクタール強の森林を伐採して開発し、発電施設を造る計画を市に提出。市は同年7月、環境万博の理念や下流の環境への影響から、市土地利用調整条例に基づき中止を勧告した。
だが、その後の開発を今月に市民に指摘され、市は10日に現場を確認。「事実関係を把握し早急に立ち入り調査する」としている。一帯は市街化調整区域で、同条例により1千平方メートル以上の開発には市と事前協議が必要で、違反した場合は中止命令や罰金(最大30万円)を科すことができる。
この業者は取材に対し15日に回答し、開発を認めたが経緯については保留。今後の太陽光発電施設の増設は「予定はない」とし、周辺環境への配慮として「フェンス周囲への植樹を予定」などと説明している。
愛知県の担当部局、情報共有できず
この発電施設を見つけたのは、海上の森野鳥の会副代表の森島達男さん(65)ら。現場は森の外縁の道路沿いだが、森の中を自然観察で歩く人たちには最奥部で、目に触れにくかった。
森林法でも1ヘクタールを超える山林開発が規制されるが、愛知県の担当部局は「業者から相談はなく、知らなかった」。ただ、森にある県あいち海上の森センターは、計画段階で市から連絡を受け、その後の開発も森の巡視で把握していたが、「土砂流出などで県有地への影響がないことを確認していた」だけだった。
海上の森は愛知万博のメイン会場予定地だったが、オオタカの営巣確認などで貴重動植物への影響を懸念する声が高まったため、愛知県は会場を変更し跡地の住宅団地構想も撤回した。森島さんは「そこまでして保全した森の隣で、この開発はひどい」と怒る。(伊藤智章、百合草健二)
02月17日 19時17分 NHK 東海NEWS WEB
愛知万博の会場で、自然環境の保全が行われてきた愛知県瀬戸市の「海上の森」に、市が中止を勧告した太陽光発電の施設が建設されていた問題で、17日、市などが現地を調査したところ、木を伐採されるなどして開発された面積が約2万3000平方メートルに及ぶことが確認されました。
この問題は瀬戸市の「海上の森」の一角に名古屋市の建設会社が、条例にもとづいて市が中止を勧告した太陽光発電の施設を建設していたもので、17日、瀬戸市と愛知県の担当者が現地の立ち入り調査を実施しました。
その結果、開発された敷地の面積は約2万3000平方メートルにおよび、このうち少なくとも1万平方メートルは木を伐採して整地されたことが確認されました。
また、敷地内には太陽光パネルが4592枚設置されていたということです。
これを受けて市と県は、条例にのっとって土砂の流出の防止策をとることなどを指示しました。
会社側は「開発を進める手続きの認識を誤っていた。お騒がせして申し訳ない」と説明しているということです。
調査にあたった瀬戸市都市計画課の加藤孝介課長は「開発されて森林が様変わりしていた。中止勧告が受け止められず、非常に残念だ」と話しています。
瀬戸市は愛知県と協議をした上で今後の対応の検討を急ぐことにしています。
元万博会場隣接の森林、無許可で太陽光発電施設
読売新聞 2016年02月18日 07時51分
2005年に行われた愛・地球博(愛知万博)の会場となった愛知県瀬戸市の海上かいしょの森に隣接する森林に、名古屋市内の建設業者が無許可で太陽光発電施設を建設していたとして、県と瀬戸市は17日、森林法違反の疑いなどで施設に立ち入り調査した。
同市は「環境万博の理念にそぐわない」として13年に同社に中止を求めたが、無許可で建設していた。
発電施設は海上の森の北東に隣接する民有地にある。同社が13年1月に市に提出した計画概要によると、同社所有の約5ヘクタールを開発し、太陽光パネルを設置する内容。現在は高さ約2メートルのフェンスで囲まれており、敷地内に立ち入れない。
県と市によると、現場一帯は市街化調整区域で、県が万博の理念を受け、条例で保護を定めている海上の森に隣接。市土地利用調整条例では、1000平方メートル(0・1ヘクタール)以上の開発には市との事前協議が必要だが、市側は「環境万博の理念や下流の環境への影響が懸念される」として、13年7月に中止勧告した。
現場近くの沢の水は海上の森に流れており、施設建設で下流の湿地や森林などへの影響が心配されるという。
森林法では、1ヘクタールを超える開発には県との事前協議が必要だが、「事前の相談はなかった」(県土地水資源課)として立ち入り調査に踏み切った。業者に対し、正確な開発面積の測量と、伐採による土砂流出への対策を講じるよう命じた。 瀬戸市都市計画課の加藤孝介課長は「県とも協力して業者から事情を聞き、今後の対応を考えたい」としている。一方、建設業者は「法的な認識を誤っていた。お騒がせして申し訳ない。これ以上拡大するつもりはない」と県などに説明したという。
(管理人より) これはもう、公務員の信用失墜行為ですよね。中止勧告には法的な強制力はないんですね。
結局、<森にある県あいち海上の森センターは、計画段階で市から連絡を受け、その後の開発も森の巡視で把握していたが、「土砂流出などで県有地への影響がないことを確認していた」だけだった>
わけですから、県職員が黙認してるんですよね。市が中止勧告出してるのに、県が黙認。ある意味、こうなったら自治体も共犯者です。
「残念」って それだけかい! ☟
1ヘクタール=1万平方メートル、野球場ぐらいの広さを森林伐採したことになります
伐採した木をどうしたのでしょうか。バイオマス発電に売り飛ばしたかもしれませんね。業者名もどの記事にも書いてないのでわかりません。
Google衛星画像で見てみます。日時はわかりませんが、メガソーラーが作られる以前の画像です。
山の中をズームすると、近くに、伊藤忠セラテックの工場とか、電波受信の鉄塔?とか産業廃棄物の保管場所とかありました。 もしかしたらメガソーラーの場所はここと繋がってるのかもしれません。
朝日新聞の画像と、NHKのニュース動画の中に、産業廃棄物の保管場所にあった「黄色い箱」みたいなものが、メガソーラー周辺に見ることができます。
野鳥の会にメガソーラーを作る前に、反対して欲しかったと思います。
まあ、野鳥の会自体は、基本的に自然エネルギー賛成ですからね。 ここは押さえておきたいところです。エネルギー問題を読み解く鍵になります。
野鳥の会のスタンスはこれ☟(青文字引用) http://www.wbsj.org/activity/conservation/endangered-species/cs_hog/request_kiso20120130/
自然エネルギー導入促進の必要性を私どもはよく理解していますが、太陽光発電は都市近郊の貴重な平地の自然を犠牲にしなくても行えるはずです。
生物多様性の保全上、重要な自然環境を破壊しない立地で行うべきと考えます。
このなんとも言えないスタンス。それはこういう理由です。☟
日本野鳥の会は原発推進団体から助成金を得て自然エネルギー推進中。メガソーラーも市民発電所も、誰がどこでやろうが自然破壊の迷惑施設です。それなのに、この態度。
表向きの看板に騙されてばかりの市民。行政や新聞やテレビを盲信するからこうなるんです。壊された自然、生態系は元には戻りません。
業者は周辺環境への配慮として「フェンス周囲への植樹を予定」などと説明しているそうです。ありえないです。
自然を破壊しておいて「対策」も何もない!
「13年以前にあったヒノキやスギの林が幅約100メートル、奥行き約200メートル以上にわたり切り払われ、砂利で整地された斜面にパネルがびっしり」
こういう状態にしておいて、植樹て アホかと思います。
たった30万円の罰金なんて痛くも痒くもないでしょうね。売電利益がありますから!
こういうメガソーラー事業者にも、私たちの電気代に上乗せされた再エネ賦課金が回っていくんですよ!
もう嫌気がさしてきましたが、一応、自然破壊の記録としてブログ記事にしときました。
こうやって、再生可能エネルギーという名のもとに日本の自然破壊はどんどん進んでいきます。