2016年2月24日 中日新聞
愛知万博会場跡地の「海上の森」(瀬戸市)に隣接する民有林が無許可で伐採され、太陽光発電施設が建設された問題で、造成地の一部斜面が崩れかかり、海上の森へ土砂が流出する恐れがあることが分かった。県は無許可で開発した名古屋市守山区の建設業者に、流出を防ぐための応急対策を求めた。
県森林保全課によると、十七日の立ち入り調査で、造成地の南西側ののり面が約百メートルにわたり崩壊する可能性があると判断した。のり面が崩れれば、土砂がのり面の下を流れる沢を通じ、海上の森へ流出する恐れがある。
立ち入り調査は県と瀬戸市が合同で実施した。業者に無許可開発した面積の測量と応急対策を指示し、業者は十日前後で対応する考えを示したという。
県などによると、業者は二〇一三年七月、瀬戸市から計画の中止勧告を受けながら、森林を伐採するなど無許可で開発し、約二・三ヘクタールの造成地で発電していた。森林法や砂防法に基づく県の許可も得ていなかった。
大村秀章知事は二十三日の定例記者会見で「明確な法令違反。事実関係を把握した上で厳正に対処する」と説明。県が建設計画を把握しながら、市の中止勧告を理由に「中止されたと思っていた」(土地水資源課)として追跡調査せず、関係部局間で情報が共有されなかったことに「連携不足は間違いない。今後の教訓だ」と述べた。
県は今後、造成地の開発状況を確認した上で、必要に応じて土砂流出を防ぐための沈砂池や排水設備、緑地帯の設置などを求め、行政指導する。
(赤川肇)
2016年2月27日 中日新聞
愛知万博会場跡地の「海上の森」(瀬戸市海上町)に隣接する民有地が無許可で伐採され、太陽光発電施設が建設された問題で、名古屋市の建設会社が二十六日、造成地の測量結果を県に報告した。しかし、これを基に県が現地確認したところ、切り土や盛り土といった土地改変の跡が報告と整合せず、県は測量のやり直しと来週中の再報告を求めた。
県は無許可開発を受けて十七日に立ち入り調査し、正確な測量のほか、海上の森への土砂流出の恐れがある南西側斜面の応急対策を指示していた。同社は二十四日に土砂流出を防ぐための高さ六十センチの柵を百メートルにわたり施し、二十六日に測量結果を書面で提出した。
県は施設面積を二・三ヘクタール程度と推定。このうち約一ヘクタールが施設建設時に改変されたとみられるが、同社の報告について「内容が不十分だった」との理由で明らかにしなかった。
同社は本紙の取材に、太陽光パネルの設置面積は約一ヘクタールで、「設置する際、一部伐採はしたが、土地を削った箇所はない」と説明。一方、二十六日に現地確認した県の担当者は「土地を削った箇所はある。ただ、規模や時期までは判断できない」と話した。
(赤川肇)
(管理人より) 海上の森メガソーラー問題の続報です。業者は「伐採はしたが土地を削った箇所はない」と言っているようですが、造成しなければソーラーパネルは並べられませんから、削ったということです。
山田征さんの論考にもあるように
「雑木林であったとしたら、根こそぎ木を切った後、表面の腐葉土数十センチをはぎ取り、やせ土を出した上でパネル設置となります。(腐葉土は販売に回す、と聞いています)パネル畑に草木は禁物ですから常時除草剤が使われるか、他の方法で草の生えない対策がとられます。発電能力の低下を防ぐため、パネルの表面が曇らないよう化学薬品を塗ります。当然それらは大地を汚染します。風車建設が海をダメにするのと同じように、パネル設置による海の汚染、または土砂崩れなどの被害が日本各地で起きています」
メガソーラーを作るということはそういうことです。↑
土砂流出の例☟
高知県土佐清水市緑が丘のメガソーラーの為に削られた山から泥が海に流出。大岐の浜にも建設計画。 より中日新聞の続報を見ると、行政などは 「土砂流出対策」だけすればいいという方向の話になっていますが、問題はそれだけではありません。
もともとあった、残土置き場よりも奥に相当広げています。右側の変電所の塔よりもまだ奥まであります。
こうして見ると、メガソーラーのとなりの変電所施設も、相当造成していますので、建設会社としてはなんとも思わないのでしょうね。
このように、「今までも開発をやってきたのだから」とか「自分の所有してる土地だからなにしても自由」とか「たいしたことない」とか「必要なものだから」とかそういった感覚で各地で造成が行われてきたのでしょう。
水脈や生態系のことは無視で。
日本という国は、発電所というものを天下御免で、どんな場所にも作れるようにしてしまったということです。
私は、地元の住民ではありませんが、自然を大切にしたい一人の市民として思うことを書いています。
追記 2016/3/1 建設会社は産廃業者でもあり、海上の森の端、変電所のとなりに位置する所有地で産廃を処理し、ためていたわけです。
「産廃とメガソーラーは結びつく」ということを私たち市民は認識する必要があると私は思います。
有害物質を使っていないかどうか、周辺の水質検査や土壌検査などもした方がいいのではないでしょうか?
造成にコンクリート廃材 瀬戸・無許可太陽光施設
中日新聞 2016年3月1日
愛知万博会場跡地の「海上の森」(瀬戸市海上町)に隣接する民有林が無許可で伐採され、太陽光発電施設が建設された問題で、名古屋市守山区の建設会社がコンクリート廃材の再生資材を土地造成に使用していたことが、県の調査で分かった。県は廃棄物処理法に基づき、造成の経緯や使われた再生資材を県に報告するよう指示した。
県廃棄物監視指導室によると、同社は産廃処理業者として、海上町内で、がれき類の移動式粉砕機や汚泥を資源化する移動式造粒固化機を所有する。県は二十四日に廃棄物処理法に基づく立ち入り検査をし、コンクリート廃材を細かく砕いた再生資材が太陽光施設の造成地に使われていることを確認した。
移動式破砕機の設置場所として許可した地点が、太陽光施設と重複する可能性があることも明らかになり、同社は設置場所の変更を届け出たという。
県は現在、二・三ヘクタール程度とみられる太陽光施設の造成地について正確な測量と土砂流出対策を求め、今後さらに森林法などに基づく防災対策などを指導する方針。
大村秀章知事は二十九日の定例記者会見で「法令に基づき必要な是正を講じるよう指導する」と説明。太陽光施設の撤去まで求める可能性を問われ、「予断を持って言うことは控えなければならない」と述べた。
(赤川肇)